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道程2

さぁ、サクサクと更新します('◇')ゞ


昨日から少し涼しい我が界隈。


陽射しだけは刺すように痛いですが、暑さが緩んできたような?


気のせいですか?だよね~。


だって11月になっても半袖だもんね~(*´ω`*)



**************




「お妃さま、陛下がお渡になられました。」


「妃よ、今戻った。」


「お帰りなさいませ、陛下。遅くまでお疲れ様です。」


 


今夜も演技が始まる。


 


「君の花のような笑顔が見れるなら遅くまでの政務も悪くない。」


 


相変わらず毎日甘い。顔が赤くなってしまう。


 


「嬉しゅうございます。お越しくださりありがとうございます。」


「君の顔を見ないと一日は終わらない。寂しくはなかったか?」


「と、とても寂しゅうございました・・・」

 


閨を何度も共にするようになってもやっぱり狼陛下の言葉には腰が砕けそうだ。

 


「そうか。それでこの様な憂い顔なのか?何かあったか?」

 


_______でも。

 


さあ、汀夕鈴!!一世一代の大芝居よ!

 


「・・・陛下。あの・・・。」


「妃よ、どうした?」

 


侍女さんたちがいる間に話さなければ。

 


「あ、あの、今日回廊で大臣たちがお話をしているのをお聞きしました。」


「何を?君が傷つくようなことか?」


「あ、いえ、本当のことなので。あの、その、なかなか私が懐妊しないと。役立たずの下っ端妃はいらないと・・・」


「ふん、またか。誰だ?その様なことを言う者は。頭と胴が離れねばわからぬか?」


「いえ、あの、私のことはいいのです!大丈夫です。」


「君の大丈夫は信用できない!」

 


優しい陛下。大好き。

 


_______でも。言わなきゃ。

 


「いえ、大丈夫です。そんなことよりも、その、陛下が・・・」


「私が・・・?」


「あの、その・・・ふ、不能なのではないか、と。または種がないのでないか、と。」

 


部屋の気温が一気に落ちた気がする。

 


「・・・暇人どもめ。君が気にする必要はない。」


「いえ!陛下が貶められるようなことがあってはいけません。私は嫌です!そんなことはないと証明しなければ!」


「ふむ。今まで以上に君を愛でてみるとするか?」

 


妖艶に微笑む。

 

駄目、この目には弱い。

  


「いえ、私では役に立たないかもしれません。」

 


目を伏せて涙目で訴える。心臓が痛い。

  

 

でも、本当のことだから・・・



________さあ、言うのよ、夕鈴!


 


「差し出がましいとは重々承知の上で申し上げます。」


「なんだ?」


「その方はこうも言っておりました。隣国から素晴らしい縁談が申し込まれている、と。かの国の皇女様を正妃様としてお迎えし御子がお生まれになれば陛下に対して何の疑念を持つこともない、と。別に他に誰か妃に迎え、その御子でもよいと。とにかく御子がいないことが問題であると。」


「ふ、そういうことか。君がいればそれでいい。子どもに君を取られるのは嫌だからな。」



そういうと陛下は軽く手を振り侍女を下げた。

 


とりあえず種はうまくまけたようだ。一仕事終わった____。

 


「ゆーりん、どうしたの急に。」


「いえ、急に、ではありません。ずっと考えてきたことです。そろそろ国も落ち着き、国庫も潤ってきたと耳にしています。そろそろ陛下もご自分の幸せを考えてもよろしいのではないですか?」


「ゆーりんがいればそれで楽しいよ。癒されるし。こうしているだけで。」

 


そう言うと陛下は私の腰をさらい自分の膝上に座らせる。

 


私の頭や首筋に顔を近づけてすりすりすることが今では日課のようになっている。

 


「そういうわけにもいきませんよ。陛下、王様は後宮を持ってお世継ぎを作ることもお仕事なのでしょう?ご正妃様をお迎えになり後宮を整えた方がよろしいのではないですか?それに・・・」


「それに?」


「私のほかにもお妃さまがいらっしゃれば、大臣たちも安心でしょうし、私への風当たりが減ったりしませんか?お世継ぎができれば、一人くらい寵妃がいても文句は言われないかもしれませんよ。」


「・・・ゆーりんはそれでいいの?僕が他の姫を娶ってもここにいてくれる?」


「はい、いますよ。大丈夫です。あなたにとって必要な間はここにいますよ。」

 


前半は嘘。後半は本当。

 


「本当に?」


「はい。どこにいても、どんなことがあっても、私はあなたの味方です。」


「そっか。ここ最近毎日李順が縁談話を勧めてくるから面倒だったけど、夕鈴が傍にいてくれるなら話を進めようかな?」


「・・・はい。後宮も賑やかになりますね。楽しみ・・・です。」



頑張って笑う。上手に笑えているだろうか?

 


「もう、この話はおしまい!!」

 


陛下は一秒でも惜しいというように私を抱き上げ寝所に連れていかれる。

 


甘い時間の始まり。

 


偽りの、それでも手放したくなかった二人の時間。

 


もう少しだけ。陛下に本当の幸せが訪れるまで。

 

 

 

______これでいいのよね?


 

 

 

陛下は幸せになれるのよね?


 

 

 

 

*************

 

  

 

つづく 

 

 


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道程1 プロローグ

暫くこちらの更新を頑張ってみようと思います('◇')ゞ


っていうか、放置しすぎですね。


さて、今日から暫く続くのは、【臨時花嫁】【パラレル】のお話です。


とても辛いお話になります。


オリキャラも出てきますし、陛下が本誌とは違って後宮に妃を迎えるお話です。


でも、私はハッピーエンドじゃないとだめなので、最後はハッピーですよ。


それまで付き合いますとも!という方はお進みくださいませ。




**************





_______あの日。



私の借金の返済が終わり、下町に帰る予定だったあの日。

 


私は半ば強引に狼陛下に食べられてしまった。

 


逃げようと思えば逃げられたかもしれない。


だけど、組み敷かれた瞬間に、淡い恋心は滝のように流れ出て溢れてしまった。


気が付かないふりをして後宮から去るつもりだったのに、暴かれてしまった私の初恋。


初めての痛みよりも、報われない恋に気が付いてしまったことが辛かった。


戯れに下町娘に手を出してしまわれたであろう王様に、庶民の私が何を望むことができるのだろう?


身体は繋がっても、心まで欲しいなんて言えない。


 



それでも、御傍に。


 



少しでも長く居たいと思ってしまったから。


 



陛下に臨時花嫁のままでいさせて欲しいとお願いをした。


弟のためにバイトをしなきゃならないからと理由をつけて。


心やさしい王様は了承してくれて、李順さんには二人の関係は秘密にしてくれた。


陛下の役に立てるならと囮も買って出た。


何も持っていないから。そんなことしかできないけど。


 


 


 



あの日から随分時は流れて、陛下との思い出は重なり心に降り積もっている。


閨を共にする日々も増え、夫婦演技も演技ではなくて本当のようなものだ。


 



でも。


 



それでも、陛下とともに朝を迎えたことは一度もない。


 



ただの一度も。


 



私が眠ると陛下は自室に戻られる。


それが花が咲き乱れるべき後宮では当たり前の姿で。


妃の部屋で寝起きする王などいないのだろう。


 



わかってる。


 



その度思い知る。


ここは私の居場所ではないって。


 


妃教育で理解はしていても心が付いていかない。


私の想い描く夫婦像とあまりにも違いすぎて心がちぎれそうだ。


陛下は相変わらず無駄に優しいけれど、それは境界線があるからだと思う。


 


傍に居ることを望んだのは私。


陛下は気まぐれに応じてくれたにすぎない。


これ以上を望んじゃいけない。


 


寵愛を受けているにもかかわらず懐妊する気配のない妃など邪魔な存在だろう。


最近ではあからさまに蔑んだ目つきで、聞こえるように噂話をする人が増えた。


私はバイトだ。


間違っても懐妊なんてしないように手を回されていることは知っている。


 


そしてそれは陛下も了承の上で、ということも。


 


日々心は傷つき、治るのを待たずに次をこさえる。


それでも、それでも私は陛下の味方でいる。


好きでいることに、愛していることになんら変わりはない。


 

 


だけど、でもね、陛下。


 



私はもう苦しくて笑えなくなりそうです。


あなたの前では頑張って笑います。


笑顔が好きだって言ってくれたから。


だけど、毎夜寝台の上で冷たくなった隣に縋り付いて泣いています。


 


そろそろ国内も落ち着いてきて、臨時花嫁も要らなくなる日も近いって李順さんが言っていました。


 


隣国から良い縁談が来ていると。


 


陛下とは従妹に当たる方で、子供のころから交流があると。


陛下に憧れて、是非貰ってやってくれないかと隣国王直々に書簡が送られてきたと。


いい機会だから、陛下の了承が得られ次第、他の妃の入宮も進めて後宮を早期に整えることになるだろうと。


私の退宮の時期等については今後ゆっくり詰めていきましょうと。


持参金もさることながら、御子が楽しみですねと、嬉しそうにおっしゃられていました。

 

 

 


 


わかってる。

 

 


私は本物には成り得ないって。

 

 

 

 

 

****************

 

 

 

つづく

 

 

読後の苦情は受け付けませんよ~(;´∀`)


リクSS 夢現 後編

暫くほったらかしになってしまって申し訳ないです。

ちょっと・・・うん。

さて、私、ブログ超初心者で、いろいろと習いながらやっているのですが、こないだ少しいじっていたら、拍手コメントというのを見つけまして・・・

見てみたら、日付が6月って・・・((+_+))

くれは様~(ノД`)・゜・。

いつもあちらでも優しいコメントをたくさんいただいているのにもかかわらず気が付かずにすみません~。

そして、こんな辺境ほったらかしブログにまで足を延ばしてくださってありがとうございます!!

ということで・・・←どういうこと?

続きです。

 

 

****************

 

 

ふぅ。どうしたらいいものか・・・。

 

この破壊的に可愛い夕鈴を置いて政務に戻るなどどう考えたってできそうにない。

無理においていったとしたら、どれ程泣かれ縋りついてくるか。

考えると頬は緩むが、常にはない夕鈴の態から考えるに、とんでもなく大騒ぎにもなりかねない気がする。

こうなったらこの状況を楽しんだ方がよっぽど健康的なんじゃないかと思う。

 

うん、きっと、そうだ。

 

こうなったら早くここから移動した方がいい。

あの優秀すぎる側近に見つかったら夕鈴まで悪く言われてしまう。

そしてこの可愛い夕鈴が頬を真っ赤にして涙を零し僕に助けを求めてくるに違いない。

それを想像するだけで嗜虐心を煽って身体のどことは言えないところが疼く気もするけど、そうなると理性を総動員しただけでは間に合わないかもしれないし、それだったら政務をさぼった方が良い。

想像しただけでこうだと実際そうなったら絶対にヤバいことは確実だ。

 

未だ僕の膝の上で胸に顔を埋めてうっとりとしている夕鈴を抱え上げるとあまり誰も来ない後宮の奥庭に向かった。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「ほら、夕鈴。ここなら誰も来ないよ。」

 

落ち着かせるようになるべく優しく言って四阿の椅子に彼女をおろして自分もすぐ隣に座った。

 

「本当ですか?」

「うん。ここは忘れられている庭だから・・・、っっ。」

 

すぐ隣に座っているだけでは物足りないとばかりに夕鈴は僕の腕を絡めとりぎゅーぎゅー抱き付いてくる。

どこと認識すると自制心が持ちそうにもない柔らかい所が腕に押し付けられ瞬時固まってしまった。

 

「ゆ、ゆーりん?」

「はい、陛下。」

 

口付けをしたくなるほど柔らかそうで美味しそうな頬を赤く染め真っ直ぐにうっとりとした瞳で見つめてくる。

 

____やばい、やばい、やばすぎる!!

 

余りにも可愛く自分にとって都合のよい彼女にどうやったら我慢できるのか。

溜息をつけば少しはこの激情も治まるかもしれないが、そんなものつこうものなら今の夕鈴なら多分、いや絶対にうるっと泣き出してしまうだろう。

いや、それもまた可愛いだろうけど。

それはそれで見てみたいものだとは思うが、そうなると自分の自制心がどこまで持つのかさっぱり予想できない。

 

____兎に角、今日は早めに夕餉を取り寝所に向かわすことにしよう!

 

____長くなると自分の自制心が負ける。

 

____絶対に負ける!

 

そう心に誓った僕は、日が傾くまでの数時間、戦場にいるよりも、狸どもの相手をするよりもずっと疲労することになる。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

結局、夕餉を共に取る最中も僕から離れたがらない夕鈴を膝の上に乗せ、お互い食べさせ合いながら緊張の時間を過ごすことになってしまった。

と言っても、その頃にはこの状況に少しは慣れ、大分楽しんでいたのは間違いではない。

術にかかっていると言っても、常の様に直ぐに赤くなる彼女が必死になって僕に願いを口にするのはとても可愛らしく、だんだんとそれが自然になってきていた。

彼女の口から零れる言葉は愛らしく、術のせいとはいえ彼女らしく可愛らしい我儘ばかりだった。

 

____これくらいならいつだって叶えてあげられるのに・・・。

 

たったこれ位も言えないほど彼女は遠慮しているのかと寂しくもなるが、そこがまた彼女らしくて可愛いんだから、僕も相当溺れているなと苦笑してしまう。

 

物思いに耽っていると湯あみから戻ってきた夕鈴がそっと僕の手を包みこんだ。

 

「陛下。・・・、眠りましょう?」

「う、うん。もう夜も遅いし、今日はずっと四阿で過ごして疲れたでしょう?お休み、夕鈴。」

 

そう言って僕の手を包み込んでいた夕鈴の手を引き寄せ口付けを落として寝所に誘う。

抱き上げて甘い温もりを胸に染み込ませ、それからゆっくりと寝台に下ろした。

顔を近付けて額に口付けをし、真っ赤になったのを確認してから身を起こす。

 

「お休み。」

 

そう言って寝台から下りようとした時・・・。

 

クイッ。

 

袖が引っ張られる感覚があった。

振り返ると顔を赤らめた彼女が僕の袖を一生懸命握りしめて目を閉じている。

 

「ど、どうしたの?夕鈴?」

「あ、あの、その・・・。」

「ん?」

「ひ、一人で眠るのは寂しいです・・・。あの、眠るまで、側にいて・・・?」

 

心臓が爆発するかと思った。

なんだこの破壊力・・・。

これはまずい・・・。

非常にまずいが意を決した夕鈴が話してくれる様子はない。

 

「だ、駄目ですか?」

 

なんてウルッと見つめられて断れるか?

いやできない。

 

「じゃあ、夕鈴が眠るまで、手を繋いでいるよ。」

「は、はい!」

 

嬉しそうに笑う彼女に僕まで破顔してしまう。

 

「今度こそ、お休み、夕鈴。」

「お休みなさいませ、陛下。」

 

そういうと彼女のきらきらとした瞳は閉じられて、ちょっと寂しくなったけど、寝顔を見守る了承を得られたのだからそれはそれで嬉しかった。

 

そうしてしばらく沈黙が流れて。

 

「あの、陛下・・・。」

「夕鈴、眠れない?やっぱり僕いない方がいいかな?」

 

中々眠らない夕鈴に不安になってしまってついしょんぼりとした態度を取ってしまう。

 

「ち、違います!あの、陛下、陛下こそお疲れなのに、私なんかの為に付きあわせてしまって悪いなって。」

「え?そんなことないよ!!・・・妃の安らぎを護るのは私の仕事だ。」

 

狼で迫れば彼女が否とは言えなくなるだろうとわざと狼で答える。

 

「あ、ありがとうございます。」

「わかったら夕鈴は寝て、ね?」

 

殊更優しく言って彼女の手を握り強く握り直した。

 

「で、では、陛下!あの、その・・・。い、・・・。」

「い?」

「い、一緒に、ね、寝ませんか?」

「へ?」

「ですから、陛下もお疲れでしょう?あの、私が眠るまででいいので。ほら、この寝台大きいですし、一緒に眠れますよ。」

「い、いや、それは、そのさすがに、ね?」

 

なんていう事を言うんだ。

それは流石に理性を保つことが難しすぎる!!

 

「い、嫌、ですか?そ、そうですよね。私なんて、ただの庶民ですもの。すみません。無茶を申しまして。陛下を疲れさせたいわけではないんです。もう今日は部屋へお戻りくださいませ。」

 

さっきまで恥ずかしそうに染まっていた頬から血色が消え、今度は青ざめている。

コロコロ変わる彼女の表情を見るのは楽しいけど、こんな悲しそうな顔をさせたいわけじゃない。

 

「わ、わかった!!うん!一緒に寝よう。ね?夕鈴が眠ったら、僕行くから。」

「は、はい!ありがとうございます!!」

 

掛け布を上げて僕が入りやすいように招いてくれる。

全く、この兎は・・・。

ここまで全幅の信頼を寄せられては手は出せないな。

 

ドキドキする心臓をどうにか抑え手を繋いぐと、彼女はほっとしたような顔をして眠りについた。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「ぎゃ、ぎゃ、むぐっ・・・。」

「しっ、夕鈴!叫んじゃだめだよ。わかる?」

 

朝起きてまどろみの中、背中に何か温かいものがあって心地がいいなと擦り寄った。

覚醒すると自分の目の前に誰かの腕があって、一つは首の下からのび、もう一つは腰をがっちりと捕まえていて。

訳も分からず叫ぼうとしたら口を塞がれて・・・。

 

「ぼ、僕だよ。落ち着いて?」

 

愛しい人に抱きしめられて眠っていたという事実にどう落ち着けばいいのか分からないけど、取り敢えず叫ぶことだけは踏みとどまる。

 

「夕鈴、昨日、浩大に暗示かけられたでしょう?」

 

ゆっくりと昨日の記憶をたどる。

 

「あ、はい。・・・あれ?で、陛下がいらっしゃって、ん?」

「・・・覚えてない?」

「え~っと、陛下がいらっしゃったところまでは覚えていますが・・・。その後、って、え?」

「はぁ~~~~~。だよね、夕鈴だもんね。」

 

なんだか物凄く落ち込んだように見える陛下がぼそぼそと話し始めた。

 

「いや、うん。実はね・・・。」

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「では妃よ、行ってくる。共に参りたいが、昨日の事もあるし、今日は此方で過ごしてくれ。」

「は、はい。陛下。私も寂しゅうございますが、お国の為頑張って下さい。行ってらっしゃいませ。」

 

あれから事の次第を聞き、落ち着いたところで共に朝餉を取り、いつものように夫婦演技をして陛下を見送り部屋へ戻った。

 

「おっきさっきちゃーん!!」

「っ!浩大!!もう!びっくりさせないでよ!」

「え~?オレの方がびっくりだよ?ん?」

「な、何がよ?」

「え?バレてない、とか思ってないよね?オレ、優秀な隠密だし、暗示はかけられるけど、それって自分にだけなんだよね~。」

「・・・。」

「・・・。」

 

優秀な隠密はニヤニヤと此方を伺うような目つきだ。

 

「~~~~~もう!わかったわよ!これ全部あげるから!!」

 

卓の上にあった上等な高級なお菓子を全て差し出す。

 

「話が早くて助かるね~。んじゃ、黙ってるから、暫く、ヨロシクね?」

 

ホクホク顔でお菓子を全て懐に入れ窓から飛び去っていく隠密を見て、暫くっていつまで?と震えが来た。

 

そう、本当は、暗示なんかにはかかっていなかった。

ちょっと甘えたら、陛下が嬉しそうな顔をして甘やかしてくれたから、つい欲張って調子に乗ってしまったのだ。

ただの甘い夢・・・。

 

私の本当の望み・・・。

 

 

 

***************

 

 

リクは原作寄りで夕鈴が積極的に陛下に甘える!でした!

 

翻弄される陛下が好物です( *´艸`)

 

 


リクSS 夢現 前編

こんにちは!

おひさしぶりです!まんまるこです!

こちらは殆ど放置ですみません。

あちらでの更新で手いっぱいでして・・・。

今日は旧盆で仕事が休みなので、旦那の実家でPC広げております←それもどうなのか?

ということで。

こちらは、キリリクで書かせていただいたお話です。

 

 

 

 

【臨時花嫁】 

 

 

 

 

_____後宮立入禁止区域。

 

今日も夕鈴は掃除に勤しんでいた。

そして、老師と浩大は夕鈴をからかって楽しむことに勤しんでいた。

 

「だから、お妃よ、たまには陛下に甘えてみよ。」

「む、無理です!何言ってくれてるんですか?」

「甘えることも陛下を癒すことになるのだぞ。わからぬのか。」

「わかりません!わかりたくもありません!!なんで甘えなきゃいけないんですか!!」

「馬鹿者!!妻に甘えられて嫌な夫などいるものか!たまにはしなだれかかったり、自分から抱き付いたりせんか!」

「そ、そ、そ、そんなことできません!」

「これ、妃とは王を癒すものぞ。これくらいせんでどうする。」

「わ、私は偽物です!!そんな事は本物のお妃様がすることです。私がやっても陛下は癒されません!!」

 

自分で言った言葉に胸がツキンと痛んだのを夕鈴は気が付かない振りをしてまた掃除を続けた。

 

「え~、へーか喜ぶと思うけどなぁ。お妃ちゃんやってみれば?」

「な、な、何を?む、無理よ!そんな恥ずかしいこと・・・」

「んじゃさ、オレっちが暗示かけてやるからさ。そしたら恥ずかしくないんじゃネ?」

「・・・」

 

先程まで兎に角無理だと言い張っていた夕鈴がピタッと動きを止め思案しだしたのを見て、もうひと押しだな、と優秀な隠密はほくそ笑む。

 

「オレって優秀な隠密だからさ、必要とあれば暗示をかけることもあるんだヨ。お妃ちゃんにもかかると思うぜ。そしたらお妃ちゃんは恥ずかしがらずにへーかを癒してあげられるじゃん。」

「・・・」

「どお?」

「それは良い!お妃、すぐにかけてもらえ!!」

「で、でも・・・本当に陛下は私に甘えられたいのかしら?御迷惑じゃないかしら?」

「何を言っとる!さっきから申しておろうが!陛下はお前さんに甘えられたいのじゃ!!」

「本当に?」

「ああ、たまには甘えてもいいんじゃねぇの?いっつも甘えてくれない、他人行儀だって落ち込んでたぜ~。」

 

浩大が最後に言った言葉が響いたのか夕鈴の雑巾を持つ手に力が入った。

夕鈴はどうしようか暫く考え込んでいたが、俯いていた顔を上げると挑むような目つきで言った。

 

「わ、わかったわ!私、やってみる!!浩大!!今すぐかけて。」

 

心が決まれば早いもので、今度は浩大の襟首を掴んでゆさゆさ揺らす。

 

「ちょ、ちょっと!苦じぃ~、離して・・・」

「あ、ご、ごめん・・・。と、兎に角!早くしてちょうだい!!」

 

鼻息も荒く腰に手を当て仁王立ちして暗示を掛けろと言い放つ夕鈴を見て、これは楽しくなりそうだな、と浩大はニヤッと笑った。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

「ほい、これでかかったはずだよ。」

「へ?何も変わってないみたいだけど?」

「ん~ん、大丈夫だよ。ま、ちょっと待ちなヨ。取り敢えずいつも通り過ごしてなヨ。」

「・・・」

 

怪しさ満載の浩大の暗示に訝しげな目線を送りつつ掃除に戻ろうと雑巾を再び持った時だった。

 

「わが妃は楽しそうだな。」

 

後ろから胸に秘めた想いの主である人の声が響いた。

その途端、心臓がドクンといつもよりもずっと高く鳴った気がした。

ドキドキが止まらず、声を聞いただけだと言うのに頬が熱くなるのを感じる。

 

「へ、陛下!!」

「ん?」

 

名前を呼ぶと応えてくれる、それが嬉しい。

そう思った瞬間夕鈴は駆けだしていた。

 

「ゆ、夕鈴?ど、どうしたの?」

 

急に抱き付いてきた夕鈴に驚き固まってしまった陛下をなおもぎゅーぎゅーと抱きしめながら夕鈴が答えた。

 

「陛下~、あ、会いたかったです。お会いできて嬉しいです。」

「・・・???」

「さ、寂しかったです。ぎゅって、ぎゅってしてください。」

 

何事かと思いながらも、頬を染め涙を目に溜めて上目遣いで見上げながら懇願する夕鈴に勝てるわけもなく、陛下は夕鈴を抱きしめ長椅子に座ると膝の上で横抱きにした。

すると夕鈴は満足そうに笑って陛下の襟元を掴み胸に顔を埋め幸せそうな顔をしている。

困り顔の陛下を見てニヤニヤと笑う浩大と老師を冷たいオーラを纏いながら睨み付けた。

 

「・・・子細を。」

 

 

 

 

********

 

 

 

 

「はぁ~。お前たちは余計なことを・・・。」

 

浩大と老師の話を聞いている間も夕鈴はぎゅーぎゅーと抱き付いて来ては頬を摺り寄せたり可愛らしい頬を染めてて見上げてくる。

そんな常とは違う甘えてすり寄ってくる夕鈴に嬉しいやら困ったやらで陛下は困惑していた。

愛しい娘に甘えられて嬉しくないわけはないが、これは術によるもので、彼女自身がやりたくてやっているものではないだろう。そう思うと悲しくもなってきた。

 

「兎に角、早く彼女を元に戻せ。身が持たん。」

「え~、楽しんじゃえばいいじゃん?こんなお妃ちゃん二度とお目にかかれないかもヨ~。」

 

浩大の言う事も一理ある、とは思う。

しっかり者で甘えることが苦手な夕鈴が自分にこんなに甘えて縋ることなど考えられない。

でも、僕が欲しいのは夕鈴の心であって、偽りの何かではないのだ。

嫌われても泣かれても、それが彼女の心であれば僕は受け入れたいと思う。

それくらいには彼女が大事なのだ。

だから、これはなんか違う気がする。

 

葛藤している陛下を見て取った浩大はニヤニヤと笑う顔を崩すことなく告げた。

 

「でもサ、へーか。オレがかけたのは心を解放する暗示だヨ。お妃ちゃんの中にへーかに甘えたいって気持ちがちびっともなければこんな事しないはずだぜ~。」

「・・・」

「って事で!」

 

窓枠を蹴って屋根に上がった浩大に向けて小刀を放つも掠らせることもなく逃げて行った。

 

「一晩寝れば解けるからさ~。」

 

あはははと能天気な笑い声を残して気配を消した隠密に殺意がわく。

部屋の中に目を向けると老師も同じように姿を消しており溜息を零すことしか出来ない。

 

「はぁ~。」

「わ、私のせいで陛下の御心を煩わせてしまってるんですね?す、すみません。お、下りますね。」

 

どうしたらいいのか頭が痛くなり大きく溜息をつくと、先程まで嬉しそうに擦り寄ってきていた夕鈴が泣きそうな顔をして膝から下りようとワタワタしだした。

 

「ち、違うよ!ゆうりんは何も悪くないよ。このままいて?」

 

子犬の態で顔を覗き込むとほっとした顔をしてまた僕の胸に顔を寄せて上目遣いで笑う。

破壊的に可愛い。可愛すぎる。これはやばい。

本能が頭をもたげるのをどうにか制して抱きしめるだけに留まるよう努力する。

____努力、は、した。

頭に口付けを落とすと恥ずかしそうな顔をしながらも嬉しそうに笑う君の赤く染まった頬が美味しそうだったから、つい頬にも口付けて、ついでに顔中に口付けを落としてしまった。

一瞬キョトンとした夕鈴にヤバい!と思ったが彼女の反応は僕の予想とは違って。

更に頬を真っ赤にしたのは思った通りだったけれど。

その後、僕の手をそっと包み込むと口付けた彼女の頬に重なるように置いて涙目で見上げて来て微笑むのだから理性を総動員しなければならなかった。

 

____これってどんな拷問なの?

 

 

 

 

**********

 

 

 

さぁ?どんな拷問なんですかね?

 

続きます。