柔らかく優しく甘く ②

そしてこちらの転載です(*´ω`*)

 

なんで中々進まないの?という疑問は横においてください←

 

さぁ、行ってらっしゃいませ!

 

 

 

***************

 

 

 

 

 

「おっ、うまい!今日のごはんはうまいな!誰が作ったんだ?」

「はい!私です!」

 

給仕をしながら夕鈴が振り返って答える。

 

「嬢ちゃんかい?見ない顔だな。」

「はい!今日から此方に御世話になってます。汀夕鈴と申します。よろしくお願いします!」

「そうかい。可愛いうえに料理も上手と来たか!良い新人が入ったな!」

「ありがとうございます!頑張ります!!」

 

くるくると動き回りながら調子よく答えている夕鈴に使用人の男たちの顔が綻ぶ。

 

「ちょっと!あんたたち!夕鈴ちゃんは弟の為に稼がなきゃいけないんだから、変な気は起こしちゃだめよ!」

「え~、いいじゃねぇか。」

 

顔なじみの使用人同士、夕鈴の事で会話が弾んでいた。

 

「あ、あの、変な気って何ですか?」

「・・・っ、ぶっ、あっはっははは~~~!!!」

 

夕鈴のにぶちん過ぎる問いかけに使用人たちから盛大な笑いが起こった。

 

 

 

 

 

*********

 

 

 

 

 

氾家で働き始めてしばらく。

屋敷の内部にも慣れ、仕事にも慣れて来て、少しの時間ができるようになっていた。

 

夕鈴は余る時間がもったいないと、普通なら休み時間に回すのだろうけど、そこは彼女らしく、一緒に働く仲間の為に小腹が空いたときにつまめるものを作っていた。

一口で放り込める大きさに作った、野菜をたっぷり入れたお焼きや饅頭、餡をたっぷり詰めた蒸しパンなど、下町では当たり前に食べられるものだ。

 

氾家ではその日使用人用に用意された食材をその日のうちに使い切って良いと言われていた。

たまにご主人様に用意された良い食材であっても、ご主人様が気に入らなかったり、急な予定変更で余ったりしたものが使用人用として回ってくることもままあって。

駄目にしてしまうのももったいないと、夕鈴は全ての食材を使い切れるよう工夫していた。

そこは主婦歴の長い自分の腕の見せ所だと思っていた。

 

が、如何せん。

名門氾家だけあって、余るときの量も結構な量で。

そこで思いついたのが、つまみ易いものを作る事であった。

また汁の出ない持ち運びやすいものにすれば、皆持って帰れる、と結構評判であった。

 

「ふんふんふーん。」

 

その日もまた、夕鈴は余った高級食材で簡単なものを作っていた。

 

「こんなものが余るなんて、さすが貴族は違うわ。」

 

今日はお肉が余ったと使用人に回って来ていた。

昼食でも使ったのだがまだあったので、夕鈴は肉饅頭をこさえていた。

野菜もたっぷり入れて、かさ増しすることも忘れない。

これなら、帰るときにでも小腹に入れられるだろうと考えての事だった。

 

「わぁ、とても良い匂いですね。」

 

一人だと思っていた作業場に急に可愛らしい声が響いて驚いて振り向く。

 

「あ、びっくりさせてしまいましたわね。あまりにも良い匂いでしたので、つい釣られて来てしまいましたわ。」

 

見るとそこには可愛らしい少女が立っていた。

一見しただけでわかる質の良い衣服を身に纏い、髪の毛は双環に結われ、これまたいくらなんだか想像もつかないくらい煌びやかな装飾品が頭を飾っている。

 

誰なのかは知らなかったが、兎に角身分はずっと上と判断した夕鈴は頭を垂れた。

 

「あら、そんな。頭を上げて?私は紅珠。ここの屋敷の主人の娘よ。あなたは・・・?」

「あ!すみません!!私は汀夕鈴と申します。最近此方に下女としてお世話になってます。お嬢様とは知らず失礼をいたしました。」

「いいの。私はいつもは別邸に居るんですもの。知らなくても仕方のないことよ。それより・・・この良い匂いのする食べ物は何?」

「これは肉饅頭です。御存じないですか?下町では一般的な、いわゆる庶民の味です。」

「庶民の味・・・。こんなに良い匂いなのに私は見たことも口にしたこともありませんわ。・・・そうですわ!!夕鈴、それ1つ私に頂けないかしら?」

「へ?これ、ですか?」

「ええ!私食べてみたいわ。」

 

料理長が作ったものならば未だしも、素人の自分が作った庶民料理などお嬢様に食べさせるわけにはいかない。

どうにか断ろうと夕鈴は決意した。

 

「でも、お嬢様のお口に入れるようなものでは・・・。」

「いいの!私がいいと言ってるのよ。御父様でも止めることは出来ませんわ!」

 

何故か鼻息荒く言い放った貴族の姫様が可愛らしく、夕鈴は知らず笑みが零れた。

先程の決意もどこへやら、気が付くと蒸したての肉饅頭を藁半紙で包み差し出していた。

 

「熱いのでお気を付け下さい。それから、たくさんあるので、お気に召すかはわかりませんが、幾つか一緒にお包みしております。お気に召さない場合は処分していただいてよろしいですので。」

「わぁ!ありがとう!早速頂いてまいりますわ。」

 

嬉しそうに下女である夕鈴にきちんとお礼を言って踵を返すお嬢様にあっけにとられつつも、こんな下働きの者にさえお礼を言ってくれるお嬢様のファンになった夕鈴であった。

 

 

 

 

 

*********

 

 

 

 

 

「夕鈴!夕鈴!ああ、ここに居たのかい。」

「はい、どうしました?」

 

使用人頭が大声で夕鈴を探し回っていた。

 

「夕鈴!よくわからないんだけどね、お嬢様があんたを探してるみたいなんだよ。」

「へ?」

「会ったことがあるのかい?」

「え、ええ。この間、肉饅頭が良い匂いだとおっしゃるので分けて差し上げましたが・・・。」

「ま、まさか、美味しくなかったとかって、く、苦情じゃないだろうね・・・?」

「ええ?そ、そんな・・・、ま、まさか、ですよ、ね・・・。」

「と、取り敢えずお待ちになってらっしゃるから急いでいきな。」

「わ、わかりました。」

 

今日も何かつまめるものでも拵えよう、とウキウキだった夕鈴の心は今やどよーんと落ち込んでいた。

もしも苦情だとしたら、折角普通よりも良いお給金の貰えるこの御屋敷で働けなくなるかもしれない。

そうしたら、青慎の学問所にかかるお金が・・・。

 

考えれば考えるほど思考は落ち込んでいき、紅珠が待つ部屋の前に付いたころには項垂れて涙が零れそうになっていた。

 

「・・・失礼いたします。夕鈴です。」

 

バターン。

 

夕鈴が言うが早いか否か、凄まじいスピードで扉が開き紅珠が飛び出してきた。

 

「夕鈴!!」

 

自分の名を呼びながら紅珠が嬉しそうな顔で飛びついて来て何が何だか分からなくクラクラしてしまう。

 

「紅珠・・・夕鈴が驚いているよ。」

「ああ、夕鈴!貴女ですわね。ごめんなさい、驚かせてしまって。此方へ。」

 

紅珠が夕鈴の手を引き部屋の中の椅子のところまで誘うと座るように促した。

 

「紅珠、君はいつも思い付きで行動しすぎる。そこが可愛いのだが。」

「嫌ですわ、お兄様ったら。」

「あ、あの・・・。」

 

何やら気が付いたら座っていたが、見目麗しい紅珠の側にこれまた優雅な美丈夫が佇んでいる。

 

「ああ、僕は水月、紅珠の兄になります。よろしくね。」

「は、はい!私は汀夕鈴と申します。あの、下女としてこちらにお世話になってます。ですが、あの、私をお呼びとお聞きしたのですが。」

「そうでしたわ!夕鈴!この間の肉饅頭ですのよ!」

「っ、お、お口に合いませんでしたか?申し訳ありません!!あ、あの・・・。」

「ぜんっぜん、違いますわ!とても美味しかったんですの。それで、また作っていただきたくてこうして来たのですわ!折角なので兄にも食べていただきたくて。」

「僕は別に・・・。」

「お兄様!夕鈴の作る肉饅頭はとっても美味しいんですのよ!私、黎翔様にも食べていただきたくて!!」

「ああ、陛下にね。では僕は毒見・・・いや失礼、味見係かい?」

「そうなんですの!お兄様が美味しいとおっしゃられるなら、黎翔様にさし上げても差し支えないかと思って。」

「ふぅ。仕方ない。本当は料理長が作ったもの以外あまり口に入れたくはないのだがね。可愛い妹の頼みだし。夕鈴、僕のぶんもお願いするよ。」

 

色々とおかしな会話がされていた気がする。

毒見って、毒見?

黎翔様・・・って?誰?っていうか、水月様は『陛下』っておっしゃらなかったかしら?

『陛下』?

『陛下』って、陛下?

『黎翔様』って、え?国王陛下?

ああ!確か、珀黎翔って・・・。

ええ~~~~~!!!!!

 

「あら?夕鈴?」

「ん?なにか目を回してるね。正気に戻ってくれないかな?」

「嫌ですわ、お兄様。少しくらいは心配してください。夕鈴の作ったものがいいんですから。」

「はい、はい。ではお茶でも入れて差し上げようか。」

「それはいいですわ。お兄様の入れたお茶は世界一美味しいですものね。」

「僕をおだてて何をさせようと企んでいるのかな?この御姫様は。」

「ふふ、嫌ですわ、お兄様ったら。お味見と助言だけでよろしいのですよ。」

 

そんなキラキラな会話がされている横で夕鈴の頭は許容量をオーバーし、中々正気を取り戻すことは出来ずにいた。

 

 

 

 

 

*************

 

 

続く

スポンサーサイト

恋慕~狼の憂い~

どうもこんばんは!

 

日中は殿の甘えたが大爆発で何もできないまんまるこです←

 

もう少し書けると思ったのになにもできないじゃん!

 

今日は、昨日の「恋慕」の陛下サイドを持ってきました。

 

あくまで私の主観ですから、違う!と思っても無視していただけたら幸いです(*´ω`*)

 

 

【本誌沿い】

【第87話妄想】

【本誌ネタバレ】←最重要注意事項です

【微エロ】←少しでも駄目な方はやっぱり回れ右

 

 

 

*************

 

 

「おかえりなさいませ!」

 

眉間に皺を寄せて見入っていた書物から顔を上げて、ぱぁっと咲き誇るような笑顔で僕を迎えてくれる君が好き。

 

「陛下は寒がりだから仕方ありませんね。」

 

君に触れていたくてついてしまった嘘を未だに信じて甘えさせてくれる君が好き。

 

「も、もう、いい、です・・・」

 

兎に角どこもかしこも触れていたくて構いだおす僕に、顔を真っ赤にして拒絶にならない拒絶をする様は僕の心をざわつかせる。

ともすれば顔を出しそうな自分を押さえつけ、必死に笑みを貼りつける。

 

もうあんな――――

彼女のいない色のない世界に戻ることなんて考えられない。

怖がる兎を捕らえ、真綿に包むように守り抜くと決めたから。

 

甘えるように見つめながら口付けを施す。

 

「ねぇ、ちゅっ・・・、いい?」

 

君が僕を怖がって、後宮という檻から逃げ出さないように。

 

 

 

 

 

「嫌だったらいつでもやめるから・・・」

 

それは閨の最中何度も僕が口にする言葉。

初心な夕鈴の限界を知りたくて、僕は何度も確認する。

口ではそんなことを言いつつも、本当は止められる気なんてちっともしない。

夕鈴に関しての感情は、制御できないから。

彼女の香りを、温もりを、味を知ってしまったら、自制心なんてひとかけらも残るわけもない。

それでも彼女に嫌われるのが嫌で、つい儀式的に言葉を紡いでしまう。

 

本当は・・・

 

その愛らしい唇を息ができなくなっても貪っていたい。

その白くきめ細やかな肌を舐めつくしたい。

政務も無視してナカの温もりにただ溺れていたい。

君が泣いても叫んでも、閨につなぎとめて心行くまで堪能したい。

全身くまなく僕の所有印を紅く咲き乱れさせたい。

 

けれど、そんな欲望はきっと君を怖がらせるから。

 

少しでも嫌われるのがこんなに怖いなんて、狼陛下が聞いてあきれるけれど。

 

閨での夕鈴が全身を紅く染めるのも。

涙目で僕を見つめるのも。

漏らす吐息の一つ一つも。

少しの刺激で跳ねる腰つきも。

零れる蜜の香しさも。

 

全てが僕を煽り、理性を奪おうとする。

 

毎日、知らなかった彼女が垣間見れて、僕はまた君に恋をする。

 

だから――――

 

だから気が付かないでいて。

ずるい僕に。

 

染み一つない雪景色の様に綺麗な君の心を守りたい。

 

でもその為に、僕が隠している僕に気が付かないでいて。

 

きっと君を怖がらせてしまう。

そして君を怖がらせたとしても、もう君を手放せない自分が怖いんだ。

 

だから僕は今日も窺う。

 

「大丈夫?嫌じゃない?」

 

君に嫌われるくらいなら・・・

 

君に逃げられるくらいなら・・・

 

 

 

 

 

「・・・ちょっと、外走ってくる。」

 

これくらいなんてことない。

 

悟られないように、怯えられないように。

 

だから気が付かないで。

 

後宮が、『檻』だということに・・・

 

 

 

 

***************

 

終 



恋慕~兎の覚悟~

こんばんは!

 

今日、本誌が届いたんですよ!

 

監禁プレイに一滴の潤いをありがとう!神よ!!←作者様

 

で、ちょっと悶えて考えました。

 

いつも私の書く陛下ってめっちゃいけいけですよね?←世代を感じる

違うんだ?そうなんだ?

 

読まれてない方にはなんのこっちゃですね。

 

ちょっと書いてみようと思ったら、鍵付きまではいかないお話になってしまいました←(。-人-。) ゴメンネ

激しくネタバレはしていませんが、本誌からの妄想なので、ネタバレNGの方は回れ右でお願いします。

 

もしも、これ鍵つけた方がいいのでは?というご意見がありましたらご連絡くださいませ。

 

会長のお陰で感覚がおかしくなっているかもしれない←

 

では、いってらっしゃいませ!

 

 

 

【本誌沿い】

【第87話妄想】

【本誌ネタバレ】←最重要注意事項です

【微エロ】←少しでも駄目な方はやっぱり回れ右

 

 

 

************

 

 

 

「ただいま、夕鈴。」

 

貴方の緊張を解いた顔が好き。

 

「寒いから夕鈴はこっち。」

 

子犬の顔をして甘えてくれるのが好き。

 

「ほら、手が冷たいよ。」

 

ふぅーって、私の指先に息を吹きかけてにっこり笑う優しいあなたが好き。

 

真っ赤になった私を見て頬を緩め、そのまま指先に口付けを落とされるのも好き。

 

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ。

 

「ねぇ、ちゅっ、・・・いい?」

 

何度も繰り返される指先への口付けのあとで、窺うように上目遣いで尋ねられるのも。

恥ずかしいけど、好き――――。

 

「は、い・・・。」

 

陛下にされて嫌なことなんてない。

こんなに優しく甘く束縛してくる人を断れるわけない。

 

私が是と答えると、陛下は満面の笑みで私を抱き上げ寝所に向かう。

 

 

 

 

 

ギシッ――――

 

二人の重さで僅かに軋む寝台の音に羞恥心が募る。

 

「寒くない?」

 

少しだけ季節が移ろってから、陛下はいつも私にそう問いかけながら掛け布を優しく掛けてくれる。

その後、必ずぎゅうって強く抱きしめてくれるから、安心して身を任せる。

私の力が抜けたころを見計らって、一旦灯りを消すために離れる瞬間が本当は寂しいなんて、恥ずかしくて言えないけれど。

 

「夕鈴・・・」

 

月の明かりに照らされて浮き上がる陛下の輪郭にすら見惚れる。

そっと瞼に頬に、それから唇に、口付けの雨が降る。

嬉しくて両腕を陛下の首に回すと、口付けが少しずつ荒々しくなって陛下の吐息が漏れるのが堪らなく愛おしい。

優しい口付けのあと、そっと忍び込もうとする舌先に必死になって応える。

気が付けば夜衣は肌蹴られていて、陛下の舌は這うように首筋を舐めながら吸い付いてくる。

双丘にたどり着いた唇は、そっと私の頂に口付け、優しく何度も吸いつき舐められる。

 

「んっ、あ、やっ。」

 

まだ慣れない感触と感情につい声が出てしまう。

 

「夕鈴、これ嫌?だめ?」

 

胸元から顔を上げて恐る恐るといった感じで聞いてくる陛下に否と言えるわけもない。

それに、本当は嫌なんじゃなくて、陛下によって与えられるものに慣れなくて恥ずかしいだけだ。

本物の夫婦だと感じられる、この時間が私にとってとても大切で。

ドキドキするけれど嬉しいとまだ素直に伝えることは出来ないけれど。

 

「嫌じゃ、ない、ですっ///」

 

そう言うので精一杯なのに。

 

「良かった。嫌だったら言ってね?いつでもやめるから。」

 

私のために言ってくれているのはわかるけど、最近ちょっと寂しい。

いつでもやめられるって言われるのは、ちょっと嫌。

ここまで高められて、先を期待してしまうようになった自分が恥ずかしい。

 

私の奥深くに侵入して一つになっている時も。

 

「痛くない?大丈夫?」

 

どんな時でも気を使ってくれる優しい貴方が好き。

 

でも・・・

 

「痛かったらすぐに言ってね、やめるから。」

 

情欲の籠った眼差しで、優しく何度も口付けを繰り返しながら私を窺うように動く陛下。

何かに耐えているような、そんな気がして、少し寂しい。

 

「夕鈴、大丈夫だった?もう痛くない?」

 

そう言って優しく抱きしめてくれる陛下。

何度となく関係をもっていても、貴方は最初の頃と変わらず私の身体の調子を気にして聞いてくる。

 

そう、気を使ってくれている・・・

 

でもそれって、臨時妃の時と同じ気がして・・・

 

ああ、だから寂しいのか、と合点がいく。

 

優しく見つめるその視線に。

どこまでも甘く口説いてくる貴方に。

閨の後、優しく抱きしめてくれる貴方の腕の中の心地よさに。

 

私はすっかり騙されてしまっていた・・・?

 

真綿でくるむように大事にされて。

後宮に閉じこもることで余計なことから自然に遠ざかって。

 

離れていた時に気が付いた、貴方の優しさを。

分かっていてそばにいるのに、甘受するだけになってしまっていた・・・?

 

私、すっかり忘れていた・・・?

 

最初に惹かれたのは、王宮で凛として近寄りがたい狼陛下だったのに。

冷酷非情と揶揄される孤高の王を、だけども私はどうしようもなく好きになったのに。

皆が恐れるその人を、架空の人格だと思っていた貴方を、それでも好きで。

妃にだけ甘えてくれる貴方が大好きで。

そんな貴方が私の前で見せてくれる子犬が大好きで。

 

今もまた・・・

暫く隠されていただろう貴方を見ることができて、歓喜で胸が打ち震える。

 

私、そんなに弱くない。

 

貴方がいればどこでもいい。

 

どんな貴方でも、そう。

 

丸ごと愛してる――――

 

 

 

*************

 

 

 

柔らかく優しく甘く ①

こんにちは!

 

こちらもあちらからの転載になります。

 

あちらでは『YYA』と略称で読んで頂くことも多かったお話です(#^^#)

 

設定は、本誌沿い、パラレル。

もしも陛下に婚約者がいたら・・・です←

 

ああ、うちこんなんばっかりですよ。

 

でもハッピーエンドしか書けないのでご安心してくださいませ。

 

これも長いな。

確認したら41話ですってよ、奥様!!←誰?

 

転載頑張ります!

 

では行ってらっしゃいませ!

 

【本誌沿い】

【パラレル】

【陛下に婚約者】←気を付けて!

 

 

 

************ 

 

 

 

 

 

 

「黎翔様、お見送りありがとうございます。今日はお忙しいのにお会いするお時間を作っていただき、とても嬉しゅうございました。次は是非、私の琴の演奏をお聞かせしたいですわ。」

「うむ。あまり時間が取れなくて悪かった。君の琴の音を楽しみに政務に励むとしよう。」

「ふふ、それでは失礼いたしますね。」

 

花のような笑顔を向け王宮から去っていったのは、この国の大貴族ともいえる氾家の長姫であり、今や正妃候補、いやほぼ決定と言ってもいい氾紅珠であった。

 

その氾紅珠を見送った人物こそ白陽国国王陛下、珀黎翔、その人であった。

 

「紅珠様は本当に陛下の事をお慕いしているようですね。」

「・・・、見張ってなくても戻るつもりだったぞ。」

「毎回そうであれば私の苦労も減ると言うものですがね。」

「・・・。」

 

食えないセリフを口元を引きつらせながら言う側近を人睨みすると踵を返し政務室へと向かった。

 

 

 

 

*********

 

 

 

 

 

夜半過ぎ、政務室__________

 

 

「陛下、即位後のざわつきも落ち着きましたし、そろそろ御正妃様をお迎えになられてはいかがですか?」

 

今日の決済が済んだ書簡を片付けながら李順が言った。

 

「・・・紅珠を、か?」

「ええ。紅珠様は彼女が生まれた時からの許嫁ですし、付き合いもそれなりにこなしてきております。何分、辺境に飛ばされた皇子の許嫁であり続けた方です。義理を通さねば、氾家が黙っていないでしょう。」

「でも、紅珠はこっちの僕は知らないんだよ?めんどくさい。」

 

急に雰囲気をコロッと変えた陛下は机に突っ伏して口を尖らせて不満を口にする。

 

「またそんなことを。それを言われるのでしたら、どなたが来ても同じでしょう。」

「お前、もう少し優しくしろ。」

「優しくして何か私に特になることがありますか?」

「・・・。」

「睨んでも何も変わりませんよ。紅珠様を妃として迎えることは決定事項です。そうでしょう?」

「まぁ、仕方ないか。」

「紅珠様といらっしゃる時は随分とお優しい顔をなさっておりますよ。何が不満なんです?」

 

顔を少し横に逸らしながら小声でつぶやく。

 

「・・・~~~。」

「は?」

「だから~~~。」

「聞こえませんが?はっきりと仰ってください。」

「だから、紅珠にはそそられないんだ!!」

「は?」

「・・・女を感じない。あれは妹みたいな、いや、どうでもいいその辺の女たちと変わらん。」

「どうでもいいその辺の女たちとあれこれおやりになってきたのですから大丈夫なのではないですか?」

「・・・身もふたもない言い方をするな。」

「ですが、事実です。」

 

昔からずっと付き従っている側近のしれっとした物言いに言い返す事を諦めるしかない。

 

大体、その辺にいるどうでもいい女たちと関係を持ったのは一度や二度ではないのは事実で。

だからといって、特定の誰かがいたこともない。

基本的に一度寝たら堕胎薬を無理矢理にでも飲ませて放り投げてきたのだ。

生理現象を解消する手段にしかすぎず、そこには善も悪も存在せず、ただその事実があると言うだけで、何の影響のある事でもない。

 

「・・・もう少し妖艶であるとか、胸だけでもあるとかだったら他の女と同じで抱けるかもしれんが。」

「はぁ~。もう少し成長しましたらそうなりますよ。兎に角!王宮を大掃除してから彼女を御正妃様としてお迎えいたしましょう。良いですね?」

「良いも何も、もう決定事項なんだろう。好きにするが良い。」

「娶るのは貴方なんですよ。少しくらいは喜んでください。」

「それは無理だ。そこに私の意志など介在しない。それで良い。」

 

王宮の闇に住まうのに感情などは邪魔以外の何物でもない。

物にせよ、人にせよ、執着することは自分の身の破滅につながるのだ。

 

「御意。それでは、まず、王宮の大掃除の方法ですが・・・。」

 

 

 

 

 

*********

 

 

 

 

 

下町、章安区______

 

「おう!夕鈴ちゃんじゃないか!こんな朝早くからどうしたんだい?」

「おじちゃん、おはよう!今日から貴族の御屋敷で下女として働くことになったの!知ってる?あの氾家よ!」

「え?あの大貴族のかい?そりゃあ、やりがいがあるねぇ。」

「そうなの!!今までよりもお給料もいいし、私、青慎の為にも頑張るわ!」

 

急ぎ足で歩きながらも胸の前で握り拳を作り突き上げ鼻息も荒く答える。

 

「おう!行ってらっしゃい!」

「行ってきます!っ、きゃっ!」

 

急ぎ足で歩いていた上に、振り返りながら話をしていた夕鈴は何かにぶつかって尻餅をついてしまった。

 

「あ、ごめんね。大丈夫?」

 

そう言って手を差し伸べてきたのは背の高い美丈夫の男性だった。

 

「い、いえ!あの、此方こそすみませんでした。余所見をしてしまって。お怪我はありませんか?」

 

差し伸べてくれた手を無視するのもいかがなものかと思ったが、見知らぬ男性の手を取ることは憚れて、お尻に付いた埃を払いながら自分で立ち上がり頭を下げた。

 

相手の男性はキョトンと夕鈴と自分の手を交互に見つめている。

 

「いや、僕は何ともないよ。君は大丈夫?転んだけど、傷はない?」

 

無礼にも差し出した手を無視した夕鈴にも優しく微笑みかけ心配されるとなんだか恥ずかしくて居た堪れない気持ちになった。

 

「あ、はい。大丈夫です!すみませんでした!あの、私、急ぎますので!!失礼します。本当にすみませんでした。」

 

思いっきり頭を下げると目的地に向かってまた急ぎ足で、今度は駆けるというくらいの勢いで歩き出した。

この辺りで働くよりも若干お給料の良い貴族の御屋敷での勤めを逃がしたら大変である。

 

____この動悸は急いでいるからであって、あの人がかっこいいからじゃないんだから!!

 

夕鈴はなんでか自分に言い訳しながら新しい職場に向かった。

 

 

 

 

 

*********

 

 

 

 

 

「おはようございます!今日からお世話になります!汀夕鈴と申します!」

「あ、迷わず来れたかい?」

 

使用人頭の女性が振り向き迎え入れてくれる。

 

「はい!あの、私は何をすればいいのでしょう?」

「そうね、まずは掃除をしてもらって、それから・・・。貴女、確かお料理できたわよね?」

「はい!うちは母が居ないので、ずっと私が作ってきました!」

「じゃあ、大丈夫かしら?ご主人様たちの食事は料理長が作るんだけど、使用人の賄いは使用人が作っているの。料理が上手だった子がやめてしまってね。頼めるかい?」

「はい!お料理は大好きなので!ただ、お口に合うか・・・。」

「大丈夫、大丈夫!取り敢えず今日は頼むよ。食べてからまた考えるさ。」

「わかりました!」

「昼ご飯が必要なのは30人分くらいだね。それに間に合うよう自分で考えてやってくれればそれでいいよ。使用人用の台所があるからそこを使ってね。使ってもいい具材もそこにあるから、好きなように作ってちょうだい。」

「はい!飯店でも働いていたので、どうにかなると思います!」

「楽しみにしてるよ。じゃあ、まず屋敷の中の説明からするからついておいで。」

 

そう言うと使用人頭は夕鈴を従えて屋敷のあれこれを説明した。

 

 

 

 

**************** 

 

 

 

つづく

SS 夫婦の形

大遅刻ですね・・・((+_+))

仕事が強制的に休みなので、ちょっと書庫を覗いてみたら、あれこれ転がっていました←忘れてた

大遅刻ですがもしよろしければどうぞ。

 

 

 

【本誌沿い】

【臨時花嫁】

 

 

 

**************




「陛下。あのですね、明日は夫婦の日なんだそうです。」
「へぇ。そうなんだ。」
「それでですね、考えたんですけど、あの、私、偽物なんですけど、明日は本物と思って過ごしてみたらどうかと。」
「え?本物?」

夕鈴が頬を紅く染めながら提案してきた内容に黎翔は内心浮き足立つのを気がつかれないように驚いた顔をして見せた。

「へ、陛下もですね、もう少しして落ち着いたら、御正妃様を迎えるでしょうし、その練習です!」

鼻息も荒く夕鈴から出た言葉に嫌な気持ちしか起きない。
全くこの兎は変なことを考えるものだ。
そう思いながらも、握りこぶしを作ってあーでもないこーでもないと話し続けている彼女はきっと引かないのだろう。
仕方ない。

「ねぇ、ゆーりん。わかってる?正妃ってどんな人が来るか。」
「もちろんです!教養高く、司書に通じ、楽に明るく、素敵なお姫様です。」
「ゆーりんの言うお姫様だと、こっちの僕は出せないんだけど。」

伺うように覗き込むと、まずったなという顔でしばし考え込む君がいて。
諦めてくれるかと思ったのに君から出た言葉はやはり想像していたのとは違った。

「ならば、それが出せるようになれるよう練習しましょう!」





*************




「妃よ。今戻った。」

昨日約束した通りに準備して、陛下の帰りを待っていた。
その内容とは、一般的なお姫様設定。
お茶を入れるのは私ではなく侍女で、一緒に出すお菓子は手作りではなく後宮御用達の物だ。
一通り、熱い夫婦の演技をし、お茶を入れてもらったところで陛下が侍女を下げた。

「後は、陛下どうしたらいいんでしょう?」
「そうだなぁ。子作りとか?」
「それは本当に本物が来た時にお願いします。」
「え?ダメなの?つまんないなぁ。」
「つまんないではありません。」
「うーん。じゃあ向かいに座れば?」

陛下に言われるまま卓を挟んで向かいに座る。
いつもなら、今日は何してた?とか陛下が話題を振ってくれるけど、今日はそんなこともなく。
沈黙が重くのしかかって居心地が悪い。

「えっと、陛下?」
「なんだ?妃よ。」
「その、何かお話は?」
「私は政務で疲れている。」

陛下はそう言ったきり、また黙ってしまった。
昨日おっしゃっていた通り、子犬を出すことはできない、というアピールだろうか。

「えと、じゃあ、あの、長椅子で身体を伸ばされませんか?」
「ああ、良い。これを飲んだら戻るゆえ。」

相変わらず目も合わせてくれないし、低く冷たい声色のまま拒絶される。
こんなんじゃ、いつまでたってもお妃様達とのんびり過ごすなんて無理じゃないかとこの人の行く末を思うと涙が溢れてきた。
後宮とは陛下がのんびりと過ごされ、お妃様達に癒される場所であるべきなのに。
私だって、偽物だけど。
バイトだけど。
陛下の味方になりたいのも、少しでも癒してさしあがられたらと日々を過ごしているのに…。

とそこまで考えて、私はサーっと血の気が引く音がした。

今のこの状況のどこが陛下を癒しているのだろうか。
勝手な自分の提案を陛下は苦笑いしながらも受け入れてくださったけれど、今この状況はちっとも楽しそうじゃない。
陛下も私も居心地が悪くて仕方ない。
こんなの、臨時花嫁としても、プロ妃としても失格だ!
折角の夫婦の日なのに、私はなんてことをしているのだろう。

情けなくなって、恥ずかしくなってうつむいて黙り込んでいると、陛下が大きくため息をついて立ち上がった。

「では、私は戻る。君はゆっくりしてくれ。」

そう言って、もう振り向きもせず去っていく。
その背中が寂しくて。
いつもの温もりが感じられないことがせつなくて。
気がつくと陛下へと駆け出し背中から抱きついていた。

「ゆ、ゆーりん?どうしたの?」

恥ずかしくて、どうしたらいいかわからなくて、陛下の背中に顔を埋めたまま、兎に角謝った。

「陛下。申し訳ございません。折角の夫婦の日でしたのに。つまらないことをしてしまって。こんなんじゃ、プロ妃失格です。」

ふぅ。

頭の上からため息が聞こえて、抱きつく手がビクッと震えてしまう。

「ゆーりん、いいんだよ?」

陛下は優しく諭すかのように、陛下のお腹でギュッと握られた私の手に自分の手を置いて、何度もポンポンっとあやすかのように触れる。

「君は良かれと思ってしてくれたんだろう?」
「でも!」
「うん。僕はね、多分夕鈴以外にこんなに気を許せる人が来るなんて思ってないんだ。」
「そんな!」
「いいから。聞いて?」
「…。」
「夕鈴以外が淹れたお茶を飲みたいとも思わないし、君以外を膝の上に乗せるなんて考えられない。話を聞くことも億劫だと思う。」
「でも…でも、いつか!」
「うん。いつか、は来るかもしれないし、来ないかもしれない。でもね、今は本当でしょう?」
「え?」
「今、ゆーりんがいて、ゆーりんのお茶が飲みたくて、作ってくれたお菓子や料理が美味しくて、君の温もりでホッとできる。…それじゃ、だめ?」

陛下の困惑したような、懇願するような声。
こんな私でも、役に立っていると一生懸命伝えてくれる人。
一国の王様なのに、こんなバイトにまで優しい人。
いつか、本当に心から支えてくれるお妃様が現れるまで。

「〜〜〜〜〜仕方、ないですね!私で我慢してください!」
「我慢じゃないよ。夕鈴がいいんだ。」
「もう、そんな甘いこと言って私を甘やかさないでください!」
「夫婦の日でしょう?最愛の妻を甘やかさずにどうするというのだ?」

急に狼の色気を撒き散らしいつものように私を翻弄する。

そっか、それでいいんだ。
これが私たちの、偽物だけど、いつもの夫婦の形。

「陛下!実はお菓子作ってあるんです。お時間が許すなら、召し上がって行かれませんか?」
「本当に!今日はのんびりできなくてつまんなかったんだぁ。じゃあ、ここからだね!」
「はい!すみませんでした!いつものようにお願いします!」

二人で微笑みあって。
そっと陛下から離れた私を、陛下はいつもの調子で抱き上げ部屋へと戻る。

ちょっと普通じゃないけれど。
本物でもないけれど。

これが私たちの日常。

これが私たち夫婦。



*******************

 

 

 終

秘蜜の契約~思いがけない味方~

そして、こちらはお題なしのお話です。

 

お題を取るとEROになるので注意が必要です←重要事項説明

 

EROでないお話も読むぜ!と言ってくださる会長ファンの皆さまはお進みくださいませ(#^.^#)

 

 

 

***********

 

 

 

「・・・で?どうやったらこんなに予約時間に遅れて来れるのかしら?」

「・・・」

「なんなら、いつも通り、バニーちゃんだけで、あなたは来る必要は無かったのではなくて?」

「・・・」

「まぁいいわ。それで、この子は何号ちゃんなの?」

「え?」

 

夕鈴がキョトンとして黎翔を見るとフイっと目を逸らされた。

 

「・・・まだ決めてない。」

 

黎翔のその様子を意味ありげに見つめた美女はニヤッと笑うと夕鈴を視界に捉え、上から下まで不躾に見回した。

 

「確かに、今までのバニーちゃん達とは毛色が違うわねぇ。」

 

ツカツカとハイヒールを鳴らしながら夕鈴に近づくと指でスッと頬を撫で、髪に触れた。

 

「肌はきめ細かくて吸いつくようだわ。でも、髪の毛はあまりお手入れしてないのではなくて?折角美しい色なのに勿体無いわ。」

 

全身値踏みをするかのように目線を這わせると再び黎翔に振り返った。

 

「で、何号なの?順番通りだと、そうね・・・15号ちゃんだけど。」

「・・・番号は・・ない。」

「無かったらなんて呼べば良いのかしら?」

「夕鈴はあいつらとは違う。」

「夕鈴・・・ね。」

 

明らかに今まで周りに置いて愛でていたバニーちゃんと呼ばれた女性達とは違う態度に女医の口元が緩む。

 

「じゃあ、夕鈴で・・・」

「いや、それはダメだ。」

「だめなの?何故かしら?」

「兎に角ダメだ。」

 

僅かに仏頂面が崩れた甥に驚きを隠せない。

いつも表情が無く読めない甥が、自分の前で表情を隠せなかったことなどここ数年なかったのだから。

 

「じゃあなんて呼べばいいのかしら?」

 

瑠霞が目線を黎翔から夕鈴へ戻し、今度はジィッと真っ直ぐに見つめる。

その目線に夕鈴が僅かに震えたのを見て黎翔はほくそ笑む。

 

「ああ、バニーというよりはラビットだな。彼女は・・・ラヴィだ。」

「了解。ラヴィ1号ね。」

「いや、ただのラヴィで良い。」

 

そう言って微笑んだ黎翔が余りにも鮮やかな笑みを浮かべたのを見て、瑠霞は目を丸くした。

きっとまだ本人は気がついてはいないだろう。

どんな経緯があったにせよ、彼が側に置くと決めた娘しかここには来ない。

それも大概は一人で来る。

それなのに、このなんてことない普通に見える少女は彼が一緒に来た上に、バニーと呼ばせることにわずかながらも不快感を露わにした。

かと言って自分が呼ぶように本名を呼ばれることも良しとはしない。

 

それって・・・ただの独占欲かしら?

 

もしかしたら、目の前にいる何の変哲もない少女は、彼に大切なものを取り戻させてくれるかもしれない。

瑠霞は内心心が躍りそうなのを隠し、夕鈴を内診台に上がるよう促した。

 

「ごめんなさいね。慣れないと抵抗があるとは思うのだけれど。彼が触れるからには前もって検査をしておかないと。」

「~~~~~わ、わかりました!」

 

顔を真っ赤に染め勢いよく内診用の衣服に着替え、これまた勢いよく座る夕鈴に大笑いしたいのを堪え、瑠霞は台のスイッチを入れた。

 

ウィーン――――

 

機械音が響きながら内診台が上がり、それに伴って脚が開かれ夕鈴は慌てて裾を押さえた。

 

「ああ、いいのよ。これが普通なの。」

「普通って・・・んんっ。はぁっ。」

 

顔を染めて身を捩っていた夕鈴が耳まで真っ赤にしながら裾をグイグイと引っ張った。

その様を見てすぐさまピンと来た瑠霞はそっと夕鈴の膝をなでると、なんていうことないという顔をして処理をして検査をした。

 

 

 

 

 

「特に感染症もないし、問題ないわ。ピルを出すから、説明した通りちゃんと飲んでね。貴女を守ってくれる、最後の砦よ。」

「はい・・・。」

「それから、黎翔。この子、ついさっきまで交渉を持っていたのではなくて?」

「ああ、そうだが、それが?」

「それがって、貴方ね!」

「大丈夫だ。検査に何の影響もない。」

「いいえ、あるわ。もしも相手が何か感染していたら・・・」

「だから大丈夫だと言っている。僕には何の問題もない。」

 

ちょっと待って――――。

 

瑠霞は眩暈がしそうなのをなんとか堪えて手のひらで頭を抑える。

 

通常、というか、今まで、自分の知る限りではあるが、バニーと呼ばれる子たちは必ず甥が触れる前に検査に寄越していたはずだ。

そして、以前本人が言っていたことから考えるに、完全な避妊のためにピルとゴムを併用しているはず・・・

さも当たり前かのように彼女の前では表情を崩さず言っているように見えるが、組んだ腕の先で指がしきりに上下しているあたり、動揺しているのだろう。

 

そして・・・

 

そして、どうしてそうなっているのか自分でも理解していない・・・

それを彼女に悟られたくない・・・

 

これは面白くなりそうだわ――――

 

それならそうと、こちらからも仕掛けなければ。

瑠霞はにやっと笑うと表情を一変させた。

 

「私に処理させるなんて、貴方も大概ですわね。」

「ああ、感謝いたします、瑠霞叔母様。」

「叔母様と呼ぶなと何度言えばわかるのかしら?」

「失礼いたしました、瑠霞さん。」

 

狼と蛇の睨みあいに割って入ったのは瑠霞の思惑通り夕鈴で。

 

「え?会長の叔母様なんですか?あまりに御綺麗なのでてっきり・・・」

「姉だと思ったのね?」

「微塵もないね。」

「あのねぇ!」

「ふふふ、仲良しですね?」

「「良くない!!」」

「やっぱり仲良しです!」

 

重なった否定の言葉に顔を綻ばせて笑う夕鈴に黎翔が頭を掻きながら悪態をついている。

黎翔が悪態をついているにもかかわらず、柔らかく笑う少女。

 

やっぱり彼女がそうかもしれない――――

 

瑠霞は帰り際、そっと夕鈴にだけ聞こえるように囁いた。

 

「あの子を・・・よろしくね。何かあったら、私を思い出して。」

 

夕鈴は驚いた顔をして、次の瞬間ぎゅうっと瑠霞の手を握りしめ何も言わずに頷くと、黎翔のあとを跳ねるように追いかけて行った。

 

 

 

 

*************

 

 

つづく

 

秘蜜の契約~逃げられない契約~

さて、こんばんは!


やってきちゃいました!

新作です~~~( *´艸`)

いやね、リクもお題をもらっているのですが、そこに至るまでを書き足したかったので、別にお題を頂戴して書きましたのん。

仕事休んでて、頭があいていたので妄想する時間があるって素敵(#^.^#)


昨日はグレーだった下の殿も今朝再検査をしたら真っ黒くろすけ陽性でした~。

しかも41度まであがるとか、びっくりだよお母さんは!

でも下がったタイミングで食べれているので大丈夫よね!!←能天気


さて、そんなことより会長ですよね!

書いてみたら二話分くらいになったので一気に公開します。


まんまるこへの本日の妄想お題はこちら ↓↓


「ビルの非常階段で」

「前も後ろも」

「腰を振りなさい」

 

 

よって、すぐに裏ですね(#^.^#)

 

こちらから!

 

行ってらっしゃいませ!!

秘蜜の契約~会長の遊戯 表~

こんばんは!

 

さあ!姫がインフルですよ!!←

学級閉鎖ですって!(>_<)

おかげで仕事休めますね!!←←

 

ということで?

 

続きを持ってきました!

 

会長が夕鈴に次第に溺れていく様を皆様と共に見守りたいと思います( *´艸`)

 

いってらっしゃいませ!!

 

 

**************** 

 

 

まんまるこへの本日のエロ妄想お題 

 

「初めてのホテル」

「震える唇」

「奥に注いで」

 

 

【 秘蜜の契約 ~会長の遊戯~ 】

 

 

 

 

 

目の前の光景は夢か幻か・・・?

 

「・・・ここで何をしている?」

 

いつになく冷たい瞳で射抜かれる。

 

「何って・・・」

 

いつにない地を這うような低い声に全身が震えうまく言葉が出ない。

 

「言い方を変えよう。此処で何をしている?」

「バ、バ、バイトっ!です。」

 

 

 

 

 

ハジメテを奪われてから数週間が経過していた。

あれから・・・。

翌日は鳴り響く携帯を無視したため教室で襲われ、結局気を失うまで貪られた。

気が付いたらあたりは真っ暗で。

ただ前の日と違っていたのは目覚めたときにまだ会長がいたことだ。

目覚めた私に気が付くと、すっと寄ってきて身体を支えて起こされた。

一言もしゃべらず、口に何かを咥えペットボトルの水を含むと唇を合わせられる。

全てを奪われ、抵抗する気力さえなかった私はそのままそれを受け入れた。

 

ゴクン、ゴクンッ。

 

散々啼かされた喉に、固形物はものすごい違和感と共に流れていき、水分は沁みて夕鈴は眉間に皺を寄せた。

 

「今のは妊娠しないために飲んでもらった。昨日も飲んだだろうな?」

 

何の感情も映し出さない冷たい瞳が夕鈴を捉える。

初めてを無理やり奪われた日は、目が覚めるとそこには錠剤が置かれていて、『必ず飲むように』、と走り書きされたメモが残されていた。

 

そういうことか・・・。

 

色恋に疎い自分でも、避妊しなければ妊娠する可能性があることくらい知っている。

 

「は、い・・・。」

「それなら良い。面倒ごとはごめんだ。」

 

妊娠する可能性がなくて良かったと思う反面、面倒ごとと言われたことに胸がチクンとした気がしたけれど、その痛みが何なのか考えても無駄な気がして夕鈴は思考を止めた。

 

そして約束させられた。

 

メールや電話には必ず応じること。

応じない際は遠慮なくあの映像をネットで流すということ。

何よりも、誰よりも会長を優先すること。

そして何より大切なのは、ピルを処方してもらい飲み続けること。

それから・・・それから、普段は他人の振りをすること。

 

最後の約束事に、また胸が痛んだ気がしたけれど、頭を振ってその考えを押し出す。

庶民でぼっちの自分が学業優秀、眉目秀麗、先生からの信頼も厚い会長と知り合いだということの方が当然おかしいのだから、そっちの方が自分にとっても都合がいいに決まっている。

そして、二人の奇妙な関係が始まった。

会長は自分が開いた身体を自分色に染めるのが楽しいらしく、3日と置かずに呼び出してきた。

段々とその日々を受け入れ始めている自分に嫌気がさすが受け入れるしかなかった。

すっかり自分ではどうしようなくなってしまった身体に腹が立つ。

たった1日で身体は塗り替えられ、思考も奪われ、毎日が悶々として奴隷のような気分だった。

途中週末を何度かはさんだが、休みの日は1日中バイト三昧の身としては体を休める余裕などない。

思った以上に会長からの求める物が大きく、夕鈴の身体は次第に疲労が蓄積してきていた。

 

2日連続で無断で休んでしまった平日の短時間のバイトは首になってしまった。

その分を補うバイトを新しく探さなければいけない。

けれども中々そんな美味しいバイトが転がっているわけでもなく、夕鈴は意を決してここのバイトに申し込んだのだ。

 

 

 

 

 

初めてのお仕事に戦々恐々と向かうとガチャっと開いたドアの向こうから見たことのある顔が出てきた。

腕には少し年上の綺麗なお姉さんといった風情の女性が胸をぐいぐいと押し付けるように絡みついていて、そのあからさまななりに夕鈴はぼぼっと顔を真っ赤に染めると目を逸らした。

そして約束通り、他人の振りをしてお辞儀をして側を通り過ぎた。

過ぎたのに・・・。

 

「・・・ここで何をしている?」

 

後ろから掛けられた声に振り向くといつになく冷たい瞳で射抜かれる。

 

「何って・・・」

 

地を這うような低い声に全身が震えうまく言葉が出ない。

 

「言い方を変えよう。此処で何をしている?」

「バ、バ、バイトっ!です。」

 

会長は此方へ向かって大股で歩いてくると私の手首を乱暴に捕まえた。

 

「っつぅ。やっ、離してください!」

「駄目だ!」

 

此方を見ることもなく早足で私を引きずるように廊下を歩いていく。

 

「ちょっと、珀く~ん。私は?」

 

ずっと黙って私たちのやり取りを見ていた第三者が声を掛けて来た。

急ぎ足で歩いていた会長が立ち止りその女の方を振り返ると酷薄な笑みを浮かべた。

 

「お前はもう用無しだ。帰れ。」

 

その笑みを間近で見てさぁっと血の気が引いた。

何の感情もなく、おそらくさっきまで情事に耽っていただろう相手を切り捨てた会長に寒気がする。

再び前を向き歩き出した私たちの背中になおも女性の罵るような声が飛んでくるも、会長は気にもしていないのか歩みを緩めることはない。

 

「か、会長・・・」

 

強く握りしめられた手首がジンジンと熱を帯びて来たけど構ってはいられなかった。

兎に角逃げなければ。

いつも翻弄され絡み取られるのは自分だが、今の会長は危ない。

本能がそう言っていた。

 

 

 

 

 

行く予定だった部屋の鍵を会長に奪われ中に引きずり込まれる様に押し込まれるとベッドに放り投げられた。

 

「な、何を?」

「何を?じゃない。」

 

抵抗する隙も与えないかのように会長は上から圧し掛かって来て両手首をベッドに縫い留める。

 

「何をしていたんだ?」

「バイトです!そう言いました!」

「こんな所で?」

「そ、そうです!」

「なんで?」

「時給が良いので・・・。」

 

そこまで話すと会長がこれ以上ないというくらいの恐ろしい笑みを浮かべた。

背筋に嫌な汗が流れる。

恐怖から全身が震え思考が纏まらない。

 

今日も会長から誘いのメールが入っていた。

それをバイトだと言って断ったのは私だ。

これはバイト以外の何物でもない。

なのに会長は先程の冷たい目線に更にどす黒いオーラを醸し出してきた。

 

「・・・御仕置、だなぁ。夕鈴?」

「へ?」

「誰が援交していいって?」

「は?」

「君の身体は僕の物だ。そうだろう?」

「・・・いつからそのようなことに。」

「最初からだ。君の初めてを貰ってやった僕をもっと尊重してほしいものだ。」

「誰があげたんですか!」

「新しいホテルが出来たってあの女が言うから来たけど。まさか君がいるとは・・・ねぇ?」

 

完璧に誤解だ。

そう言いたいのに・・・。

会長はちっとも聞く耳を持たず、妖艶な笑顔にどす黒いオーラを纏っている。

 

「会長!違っ、う、んんっ、んっ。」

「可愛くないことを言う口は閉じてしまおう。」

「な、だから、違っ!」

「ね?夕鈴?」

 

そう言うと会長はとびきりの笑顔を浮かべ私にキスをした。

 

 

 

 

続きはこちら

 

 

 

******************

 

 

 

つづく

秘蜜の契約~2度目は・・・~

お久しぶりすぎてすみません。


まんまるこです<(_ _)>


大変ご無沙汰をしております。


リアが忙しく、転載するだけなのに放置してしまい申し訳なく・・・


許して・・・ね?


その間に、待ちきれなくなった会長ファンがSNSに入国され白友になってくださった方が何人かいらっしゃいまして、本当に申し訳ないやらありがたいやら。


ありがとうございます!


そんな皆様に支えられ、会長シリーズは続けることができています。


ということで、今日は会長シリーズの大ファンでファンクラブ会長だと思われるS奈様の誕生日プレゼントに送り付けたお話を持ってきました。


このシリーズはお題ありきなので、時系列が基本的にめちゃくちゃなのですが、ブログではなるべく沿った形で公開できれば、と思っています。


では、いってらっしゃいませ。



こちらからどうぞ