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(日記)原作への愛の叫び

と言っても、ネタバレではございませんのでご安心ください(o^^o)
何か、と申しますと、出てくる魅力的な登場人物たちについて、です。
なぜかっていうと、本を読んでくださった方々からの感想が嬉しかったから、です( ´ ▽ ` )
なので、興味のない方はここでバックしてくださいね!

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【リレーSS】ドS陛下と野兎妃⑧

お久しぶりです!皆さま!!

本の締め切りを前に、久しぶりにお話を持ってこれました。

忙しくて全てを放置してしまい誠に申し訳ございません!

只今絶賛リハビリ中でして・・・

萌えが降ってきたものから書くことに(#^^#)


久しぶりですが、さり奈さまとのリレーの続きです!


前回はこちら →  (さり奈様宅へ飛びます)



【原作寄り】
【陛下がドS】
【捏造いっぱい】
【いずれ甘くなる予定】




「夕鈴、あれもだ。」

「ええ!もうこれ以上は・・・」

 

冷や汗を流しながらも拒否の言葉を述べようと顔を上げると怪しく光る紅い瞳とぶつかり瞬時に喉が詰まる。

 

「・・・わ、わかりました!行ってきます・・・。」

 

夕鈴が項垂れ肩を落としトボトボと向かった先はたくさん並ぶ屋台の一つだ。

屋台の前まで来ると主人を前にはぁ~っと盛大な溜息を一つつくと口をへの字にしながら呟いた。

 

「おじさん・・・その饅頭を二個頂戴・・・」

 

何故か饅頭を前に悲壮感の漂う夕鈴に屋台の主人も怪訝な顔を隠さない。

 

「・・・姉ちゃん、買ってくれるのは嬉しいけどよ・・・。」

 

夕鈴の肩越しにチラッと視線をやると苦笑いを浮かべた。

 

「ちょっと・・・買い込みすぎやしねぇか?」

 

店主が口にした尤もな言葉は全くもって尤もすぎて夕鈴も引き攣った笑いを浮かべるしかない。

 

 

 

 

 

時刻は少し前に遡る―――

 

「さぁ、我が愛しき妃よ。一時とはいえ君の気配すら感じられないことは私にとって耐えられるものではない。私の安寧の為にも視察に付き合ってはくれぬか?」

 

夕鈴は甘言を囁きながらも射るような瞳で見つめてくる狼の腕に捕まっていた。

あんなことがあったにもかかわらず、黎翔とは距離を置き、バイトであり偽妃であると自制心を総動員して時を過ごしていた夕鈴はその熱に目を回していた。

正直夕鈴はとても混乱していた。

あれは仕事だと思おうと必死で自分に言い聞かせた。

数日たち痛みもどことは言えない場所の違和感もなくなった頃には、夢だったのかもしれないと思うほどには自分をごまかすことに成功していた。

 

―――けれど

 

「妃よ。」と甘く蕩けるような声で呼ばれるたびに―――

女官さんや侍女さんたち以上に甘く美しく向けられる微笑みに―――

政務室で執務の間にチラリと夕鈴を目の端に捕らえる視線に―――

隙あらば閉じ込めようと画策する逞しい腕に―――

庭園を散策するときに絡みついてくる指先に―――

 

ただその一瞬で。

 

黎翔はあっという間もなく、夕鈴の持て得る全ての時間を費やした労力を根こそぎ奪っていってしまうのだ。

気を抜くと黎翔の熱に浮かされ、自分へと向けられた視線を思い出して腰が砕けそうになる。

あれは媚薬のせいだと何度も自分に言い聞かせるも、その最中に黎翔への恋心に気が付いてしまった自分が不憫で仕方なかった。

陛下の為なら、と言った少し前の自分を心底恨みそうになる。

それなのにこうして腕の中に囚われ甘い声で囁かれると反射的に思い出され思考は停止してしまうのだ。

 

そして、黎翔もそれは承知していた。

その様が何とも言えず可愛らしく、つい視線を送ってみたり、愛撫を思い出すような指の絡ませ方をしては瞳に涙をいっぱい湛えて耳どころか指先まで真っ赤に染まる夕鈴を愛でては悦に浸っていた。

 

「夕鈴、もちろん君も同じ気持ちであろう?」

 

耳元で息を吹きかけるように囁かれた夕鈴は完全に意識を停止させた。

 

 

 

 

 

そして冒頭に戻る。

 

知らない間に通常仕様の町娘の装いに変わっていて、誰が着替えさせたのか想像しただけでまた違う世界に行きそうだ。

やっぱり理解の範疇を超えていて混乱の極みにいる夕鈴に、次から次へと黎翔は買い物を言いつけていた。

夕鈴がやっと理性を取り戻し思考を始めるころには、座って待つ黎翔の脇は買った食べ物でいっぱいになっていた。

 

「・・・買ってきました。もう終わりですよね?」

 

うんざりするように呟いた夕鈴を口元を歪めた笑みを浮かべながら見上げる黎翔に夕鈴の背をゾクゾクと何かが這い上がる。

 

「では・・・」

 

黎翔は満足げに呟くと夕鈴の手首を引っ張り自分の膝の上に誘った。

 

「どわっ!ちょっ、待ってください。こ、こんなところでっ・・・だ、誰かに見られたら!」

「誰に見られても構わぬ。君はいつでもどこでも私の可愛いお嫁さんだからな。」

 

意地悪そうに笑いながらぎゅうぎゅうと夕鈴に抱き付いてくる黎翔が腹立たしい。

自分の実家とは違う区とは言え、決して遠くはないこの場所は誰に見られるかわかったものではない。

それ以上に、下町の夫婦はこんな風に人目の多い往来でいちゃいちゃなんてしないものだ。

 

そこまで考えて夕鈴はハッとして俯いた。

 

―――それ以前に・・・夫婦じゃないもの。

 

「・・・あの、李翔さん?これって普通じゃないので降ろしていただけませんか?」

「うーんと、どれがいいかな?これかな?」

 

俯いたまま身体を僅かに震えさせた夕鈴に、黎翔は袋から取り出した饅頭を口元に運んだ。

 

「はい。あーん。」

「へ?」

「へ?じゃなくて、ほら、お腹すいただろう?口を開けろ。」

 

正直そんな気分ではない。

散々振り回されこき使われ、終いには思考がどん底まで落ち込んでいるのに。

能天気にドSっぷりを発揮してくる黎翔に腹が立つ。

 

「・・・いりません。」

「口を開けろ、と言っている。」

「嫌です。」

「・・・ほう?」

 

黎翔は紅い瞳を細め冷たい微笑みを夕鈴に向けると腰をガッチリと抱きしめ、夕鈴の耳を甘く噛んだ。

 

「ひぃやぁっ!・・うぐっ。うっ。」

 

思いもよらない攻撃を受け、尚且つ無理矢理に膨らんだ口の質量に夕鈴の瞳に涙が浮かぶ。

 

「君はまだ分かっていないようだな?」

 

黎翔は酷薄な笑みを浮かべたまま夕鈴を見つめた。

 

「君の反抗的な態度は私の嗜虐心を煽るだけだ。そして・・・」

 

ついっと夕鈴の目元に指を添え零れ落ちそうな涙を拭う。

 

「その表情は・・・もっとなかせたくなる。」

 

黎翔の言っているところの『なかせる』が卑猥な音になって耳に届く。

熱っぽい視線に射貫かれて、息が詰まりそうになる。

 

いや、詰まった・・・

 

「ぐっ、ぐほっ!げほっ!!」

 

さっき無理矢理口に突っ込まれた饅頭が喉にかかり、夕鈴は思いっきり咽てしまい、黎翔を睨み上げた。

 

「・・・くっくっく。ああ、君はそんな表情も私を喜ばせているだけだとそろそろ理解してほしい。」

 

嬉しそうに笑いながら夕鈴の背を摩ってくれるのが嬉しくて。

それでもその掌の感触を生々しく思い出してしまい、寂しく思う自分が嫌だ。

顔を上げるとやっぱり意地悪なのに蕩けるように嬉しそうな表情を隠さない黎翔と目が合う。

そうして自分が考えている間もあちこち撫でまわす困った人を真剣に拒めない自分がいる。

何故かこのドS陛下は自分のことを気に入っているのは確かだと思える。

 

それならば・・・

 

今を大切にしてみたら、失った後、少しは私の心も救われるかしら?

好きだとは言えなくても。

想いは届かなくても。

 

たとえ・・・とてつもなく、辛くても。

 

「あの、李翔さ・・・っ!!きゃっ!」

 

いきなり後ろから夕鈴は手首を引っ張られ、黎翔の囲いから引き離された。

 

「おいっ!お前、こんなところで何やってるんだ!」

 

はぁ~っと大きなため息をついて夕鈴の頭上から微妙な表情で顔を覗き込んできたのは幼馴染の外道だった。

 


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つづく