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(SS)大切なあなた①

おはようございます!

昨日は雨が降って冷房がよく聞いたこちらの気候も今日は晴れ・・・

晴れると人の出入りの多いうちの会社の冷房はちっとも効きません。

冷房の中汗かくってどういう意味だ?

さて、今日も某国より転載になります。

もしよろしければお暇つぶしにでもどうぞ。

 

 

【臨時花嫁】

 

*************

 

 

 

 

政務が終わって夕鈴の部屋を訪れると卓に座って真剣に何かを読みふける君を見つけた。

そっと手を上げて侍女を下げ、ゆっくりと後ろから近づいて抱きしめる。

 

「わきゃ!!へ、陛下!び、びっくりした~。ど、どうかされましたか?」

 

驚いて目に涙をためて振り向き頬を染めて見上げてくる。

 

「うーん、ゆーりんが気が付かないから・・・」

 

思いっきりいじけた顔をして彼女を見つめかえした。きっと彼女には耳を垂らした幻の僕が見えてるんだろう。

 

「~~~~~///////

「寒いから夕鈴のお茶が飲みたくて来たのにさ。だから、先に夕鈴に暖めてもらおうかと思って。」

「それ、は、・・な、ぬ。す、すみません・・でした。で、では、お茶をお入れしますね!」

勢いよく立ち上がろうとする彼女の細い腰を攫って自分の膝の上に誘う。

「お茶は後でいいよ。それよりも寒いからもう少し夕鈴で暖まりたいな。」

 

首をかしげて頼むと君は目をグルグルさせながらも小さな声で「はい。」と答えてくれた。

了解を得たので遠慮なく彼女の肩に顔をうずめて、お腹の前で組んでいた腕に少しだけ力を込めた。彼女は少しビクッとなったけど、

 

「落ちたら困るでしょう?それに、ぴったりとくっついてた方が暖かいよ。ね?」

 

と言うと「そ、そうかもしれません。」と真っ赤になって言ったきり下を俯いてしまった。

 

「で、ゆーりん、何をそんなに真剣に読んでいたの?」

「あ、そうでした!青慎からの手紙です!!」

 

縋るような瞳で答えた。目も潤んでいるし、両手を胸の前で握りしめている。

 

「・・・何かあった?」

 

こんな彼女を見れば何を言われるのかは大体分かる。あまり聞きたくはないが僕は彼女には甘いのだ。彼女が喜ぶだろうことはしてあげたい。

 

「いえ、あの、陛下。・・・お、お休み、頂けないかと思いまして・・・。」

 

やっぱり!!嫌な予感はよく当たる。

 

「えっ!なんで?また何か問題でも起きたの?」

 

それなら付いて行こう。李順が何と言おうと心配だ。いろんな意味で。

 

「い、いえ、何も。・・・あの、あの子の、青慎の誕生日があったんです。下町にいた時は毎年贅沢はできなくても、あの子の好物を作って、夜遅くまで双六をしたりしながらおしゃべりをして、楽しく過ごしていました。だから、その、もう過ぎてしまったのですが、誕生日を祝ってやりたくて。・・・無理、でしょうか?」

 

そんな肩を震わせて目をウルウルさせる君に勝てる人っているのかな?凶悪だよね、僕のお嫁さんは。

 

「・・・2日くらいなら、大丈夫かも。」

「ほ、本当ですか!!」

 

頬を染め嬉しそうに見つめてくる。その笑顔、凶器だよ、夕鈴。

 

「明日、李順に聞いてみるよ。」

「あ、ありがとうございます!」

 

意地でも休みをあげる様にしよう。お嫁さんが笑ってくれるなら。

 

 

 

 

 

 

 

「では、陛下、行って参りますね。お休みありがとうございます。」

「うん、夕鈴が嬉しいと僕も嬉しいんだ。」

 

二人で笑いあう。こんな穏やかな時間をくれる君が愛おしい。

 

「でね、夕鈴、お願いがあるんだけど。」

「はい、お土産ですか?陛下の御好きなものも沢山こさえてきますね。」

「あー、うん、それは凄く嬉しいな。とても楽しみだ。だけど、そうじゃなくてね。」

「・・・?」

 

小首を傾げてこちらを見上げてくる。あー、帰したくないな。

 

「ねぇ、夕鈴。明日、必ず、日が落ちるまでには帰って来て欲しいんだ。」

「日が落ちるまで・・・ですか?」

「うん。・・・約束、して?」

「・・・はい、わかりました。美味しいもの沢山作ってきますね!一緒に夕餉を頂ましょう。」

握りこぶしを突き上げて「まかせてください!」と意気込む君に自然と頬も緩んでしまう。

「じゃあ、約束ね!」

「はい、約束です。」

 

そう言うと夕鈴は下町に戻って行った。

 

 

 

 

 

家に帰りながら食料を物色する。下町も久しぶりで、値切るのにも力が入る。

やっぱりここが私のいる場所なのね、と思いながら王宮のあの人を思って寂しくなった。

でも、近くに居られる間は私が出来ることはしてあげたい。あの人が少しでも癒されるのであれば、と青慎の好物とは別に陛下の好物の材料も買った。きっといつもみたいに「美味しいよ。」って言ってくれる顔を思い浮かべると心がポカポカして寒さも忘れてしまう。

偽物の妃に優しい陛下。気持ちは伝えられないけれど、想いを込めて好物を作ろう。

青慎の誕生日を祝うために休みをもらったのに、気が付いたら陛下の事ばかりを考えていた。

肝心のプレゼントを買い忘れていたのに気が付いたのは家に着いてからだ。

まだ日は高いし今日は泊まれるから、もう一度市まで行こう。今度は食料ではなくて、雑貨店が多い通りにしようと急いで家を出た。

 

露店が多く立ち並ぶ通りには所狭しと色々な行商が立ち並んでいて、特に何にするか決めていない私は彼方此方覘いては通り過ぎることを繰り返していた。

何件目かで青慎にぴったりの着物を見つけそれにすることにした。いつもは私が仕立てているけれど、後宮で妃が針仕事を、しかも男物のあまり質の良くない生地の物を仕立てるのは良くないだろうと新しい着物をあげるのは諦めていたのだ。値段も手ごろなものを見つけられて良かった。

ウキウキと帰ろうとしたその時だった。

 

____ちりん、ちりん。

 

何処かから澄んだ音色が聞こえてきた。

音のなる方を見やると綺麗な簪がしゃらんしゃらん、ちりんちりん、と風に揺られ音を奏でていた。垂れ下がった金細工と鈴の音のようだった。

 

____綺麗。

 

いつもなら気にならない装飾品なのに、何故か音が耳から離れなくて、引き寄せられるように露店に近づいた。

 

「ねえちゃん、ひとつどうだい?」

「え?私?・・・私なんて似合わないもの。」

 

そう言って離れようとすると店主は慌てて話し出した。

 

「ま、待ってよ。見ていくだけでもいいからさ。この鈴、硝子なんだよ。ちょっとやそっとじゃ割れない様に出来てんだ。まだ有名じゃないからこの値段だけど、きっとこの技術はお偉いさんの目に留まる。そしたらこの値じゃ買えなくなるってオレは思ってんだ。な?見たことねえだろ?」

 

確かに先程から硝子同士が風に吹かれてぶつかり合っているのに割れない。それに、とても心地よい音を紡いでいる。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて、もう少し音を楽しんでいいかしら?」

しばらく音に耳を傾けながら眺めていると気になるものを見つけてしまった。

「お、ねえちゃん、それ気に入ったかい?」

「ええ、珍しいですね。簪に犬の飾り、ですか?」

「これね~、犬じゃないのよ。狼なんすよ。」

「え?狼?」

「実は狼陛下が即位された時に記念にって作ったんですがね。ほら、あの通りの噂でしょ?なかなか買い手がつかなくてね。未だに残ってるんですよ。ほら、ちゃんと王家の方の瞳が赤いってんで珠も赤でしょ?綺麗だと思うんだけどねえ。陛下がらみってんでいい珠使ってんですけどね。・・・気に入ったんなら安くしときますよ。」

 

安く・・・それは魅力的な言葉だけど、今日の目的は青慎の誕生日だ。私のはとっくに過ぎているし、自分の為に何か買うなんてことしばらくしてなかった。王宮に居れば付ける機会はないであろう装飾品、陛下がらみと言うのは頬が緩むけれどやっぱり贅沢よね。

黙り込んでいると悩んでいると思われたらしく店主が更にお得なことを言ってきた。

 

「~~~んじゃ、ほら!こっちの、御揃いの根付もあるぞ。おまけに付けようじゃねえか。

旦那にプレゼントしてやったら喜ぶぜ~。」

 

旦那って・・・。いるけど、偽物だし。

さらに黙り込んでしまう。

 

「あ?もしかして旦那にはなってないのか?そうか、じゃあこれ持って行って気持ちを伝えたらどうだ?」

「これって、これはちょっと・・・。狼は、ね。」

 

陛下に狼なんて冗談じゃないわ!私は狼の簪でいいけど。すっかり買う気になって考えている自分に笑えるけど。

 

「じゃ、じゃあ、わかった!ねえちゃんの恋が実るように、なんでも好きな根付持ってけ!これでどうだ!!!」

「ほ、本当?じゃあ買うわ。おじさんありがとう。」

 

そう言うと、実はさっきから目の端に入っていた一つの根付を指さした。

 

「ね、ねえちゃん・・・目が高すぎるよ。」

「・・・駄目、なの?」

 

そうよね。李順さんのお妃教育の賜物で宝飾品のある程度の知識がある私は陛下にあげてもまあ困らない程度の珠が使われていると思われるものを選んでいた。

ちょっと落ち込んで店主を見遣り店を後にすることにした。

 

「ちょ、ちょっと待って!男に二言はねえ。持っていきな、ねえちゃん。その代わり、もしも恋が叶ったらみんなに宣伝してくれ。口コミは侮れねえからな。」

「あ、ありがとう!!もちろんみんなに宣伝するわ。」

 

私の恋が叶うことはないけれど、貰ってくれたらそれで叶ったのと同じ、でいいわよね。きっと陛下はお優しいから身に付けはしなくても貰ってくれるはず。

 

「ねえちゃん、がんばりなよ!」

 

店主から受け取った包みを大事に懐にしまって急いで家路に着いた。

 

 

 

 

 

その夜は青慎の大好物を作って、珍しく父さんも帰ってきたから、久しぶりに一家団欒を楽しんだ。

 

*************

続く

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コメント

やった!このお話大好き(*^o^*)
続きも早くのっけてくださいね。
ってあっちに行けばいいんだけど、まんまるこさんたくさんすぎて遡れない(笑)
> まるねこさん

このお話好きでしたか?
実はきのう早寝してしまって後編あげ忘れました…f^_^;
今日はあれ書いてて、今夜中のアップを目指しておりますのん。

余力がありましたら後編置きに来ますね(*^^*)

コメント嬉しい!
ありがとうございます〜♪(v^_^)v

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