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道程3

お久しぶりです。

なんやかんやとほったらかしてしまってすみません!

 

さて、例年ならまだまだ暑い我が生息地が今年は涼しすぎて怖いです。

30度ないとか何の罠なんだろう。

もしかして、今年は久しぶりに半袖のお正月を迎えるのかしら?

地球の温暖化を肌で感じる歳です←

 

さて、続きをどうぞ。

 

 

 

 

***************

 

 

 

 

「・・・李順。」

「なんでございましょう?」

「・・・進めろ。」

「は?」

「例の件を進めてよい。隣国へ皇女を迎える旨書簡を認めろ。」

「・・・よろしいのですか?。」

「ああ。」

「昨日まであんなに渋ってらっしゃったのに。」

「夕鈴が傍に居ると言ってくれたからな。王として仕方あるまい。」

「・・・では、陛下。この際です。他にも妃を娶られてはいかがでしょうか?」

「ふん。やはりそう来るか。お前に任せる。老師とともにこの件にあたれ。」

「御意。」

 

李順はやっと重い腰を上げた黎翔に内心ほっとしつつ拱手した。

 

黎翔の執務室を常と変わらないように退出し、早速支持されたことをこなす為に後宮への道を急ぐ。

その道中、頭に浮かぶのは、少し青ざめた顔をしていたバイト妃である夕鈴のことだった。

面倒くさいことこの上なかったが、バイト娘に説得工作をお願いしてよかったとほくそ笑む。

黎翔があまりにも夕鈴に執着をみせることを李順は心配していたのだ。

夕鈴に説得を頼んだとはいえ、やはり自分の後宮問題への判断に間違いはなく、陛下は狼陛下であられたということに安心する。

後は陛下に知られないように夕鈴殿を逃がしてやらねばならないが、黎翔につけ込む隙を与えないように正攻法で逃がさねばならないと考えると、それはそれで頭が痛い、と苦笑いが出る。

だが今はそんなことよりも、黎翔が後宮に数多の妃を迎え入れることに前向きになったことに心は囚われ、その足取りは軽いものだった。

 

 

 

 

 

****************

 

 

 

 

 

「こりゃ、掃除娘!今日はまたどうした。ひどい顔をしておるぞ。そんなに根を詰めて磨かなくても良かろうが。少し座って休まんかい。」

「ひどっ・・・。そんなに、ひどい顔してますか?」

「この後宮管理人を馬鹿にしとるのか!それくらいはわかるぞ。陛下と何かあったか?」

 

_____ふぅ。もう、老師ったら。わかっているくせに。

 

「老師、もうお耳に入っているのでしょう?後宮管理人ですもの。」

「御正妃様、並びに新たに入宮する予定のお妃様達の事かの?」

「やっぱり。借金もまだまだあるようだし、いつまでバイトできるのかなって思って。こんな割のいいバイト下町では探せませんし。妃としては無理でも、ここで掃除婦として雇ってもらえないかなって考えていたんですよ。」

「なんじゃ。陛下のラブをゲットして後宮に妃として居座ればいいのじゃ!」

「何言ってんですか?私はバイトですよ。本物のお妃様達がいらしたらもう用無しですよ。本物のお妃様達が陛下に癒しを与え、幸せにしてくれますよ。私なんかいても、所詮は偽物に過ぎませんから。」

「儂は・・・お主以外には本当の癒しは求められんのじゃないかと思うとるぞ。」

「そんなことありませんよ。陛下はお優しい方です。御正妃様にはバイト妃以上の優しさをお見せになられるはずです。それに、御正妃様は陛下の従妹にあたられる隣国の皇女様なのでしょう?李順さんが言う通りの素晴らしいお妃様になられるんじゃないですか?きっと陛下の素晴らしい御世を永に支えられる方であられるのではないでしょうか?」

 

自分で言ったことに傷つく。こんなことに傷つく権利なんか私にはないのに。

 

「じゃが、お主もここに留まるのであろう?」

「陛下に必要である限りはいますよ。今私にできることは入宮していらっしゃるお妃様達が陛下とともに寛げるよう部屋を整えることぐらいです。それくらいしかできませんから!」

 

そう言ってまた掃除に戻った。

手を動かしている間は無心になれる。

老師は大袈裟に溜息をついたけど、私がもう話す気がないことがわかるといなくなった。

老師だって忙しいだろうにこうして毎日様子を見に来てくれている。

あまり眠れてないのもお見通しなのだろう。

新しく数多のお妃様の入宮の準備で陛下も李順さんも忙しく、王宮側には来ないように言われている。

もう寵愛を見せつける演技も要らないのだろう。

だいたい陛下に私への風当たりが減るからと進言したのだから余計に夫婦演技は要らないはずだ。

 

でも_____。

 

 

 

 

 

****************

 

 

 

 

 

「お妃さま、陛下の御渡りです。」

「お帰りなさいませ、毎日お疲れ様です。」

「今戻った。君のいない政務室はこんなにもつまらないものだったのかと溜息が出るばかりだ。」

「わたしも寂しゅうございますが仕方ないことはわかっております。陛下の御為ですもの。」

 

心にもない言葉がスラスラ出てくる。

本当はいつも陛下の御傍に居たい。

ここに居られる間は離れたくない。

都合よく涙が溢れそうになったのを見て陛下が手を振った。

 

「ゆーりん、大丈夫?」

「へ?大丈夫ですよ。陛下こそ毎日大変だと聞いております。」

「んー、そうだね。日々の業務もやりながら妃選びもあるし。入宮のためにいろいろ、ね。まあ大まかには李順と老師に任せてあるから決済だけなんだけど、正妃のほかに5人ほど妃が来る予定だから量が多くてね。」

「・・・無理してこちらにいらしてくださらなくても大丈夫ですよ。自室に戻ってお休みになられた方がよろしいんじゃないですか?」

 

これ以上話を聞いたら泣いてしまいそうだ。

 

「_____へえ。この子?へーかのバイトちゃん?」

 

気まずい雰囲気を霧散させるように能天気な声が部屋に響き渡った。

 

「だ、誰?」

 

思わず陛下に縋り付く。この人私がバイトって知ってるの?ていうか、どこから来たの?

 

「____浩大。夕鈴が怖がるだろう。普通に出てこい。」

「すんません。優秀な隠密浩大、命を受けただいま帰りました。」

 

お、隠密?

 

「あ、こいつね、僕の隠密なんだ。今回後宮に妃が増えるからさ、何か問題が起きた時にすぐ対処できるように警備させようと思ってね。」

「そー、大ちゃんって呼んでね!」

 

隠密って・・・こんなに軽くて大丈夫なの?

 

「こんなんだけど優秀な奴だからさ。夕鈴も覚えていてね。」

「あ、はい。よろしくね、浩大・・・さん?」

「はは、呼び捨てでもいいよ~。てかさ、陛下の夜伽の相手にしては・・・う~ん。なんか違くね?ってあいたたたっ。」

「____浩大?お前何しに出てきたんだ?」

「な、何か食い物をもらおうと!へーか痛いです!離してください!」

「もういいだろう。お前はこっちに来い!ごめんね~、ゆーりん。忙しくて。報告を聞かなきゃいけないから僕もう今日は行くね。」

「いたっ、あいたたっ、じゃあまたね、バイトちゃん。」

 

優秀な隠密浩大は陛下に引きずられるようにして出ていった。

 

一体何だったんだろう。

でも泣いてしまいそうだったから丁度よかったのかも。

 

____夜伽の相手って。

 

やっぱりそうよね。

それ以外で陛下が私を傍に置くわけないもの。

ずっと考えないようにしていたことを突き付けられて頭の中で鐘が鳴り響いて苦しい。

あと少しと自分で決めた幸せの真似事が他人からはやはりそう見えるのかと苦い笑いが漏れる。

 

あと少しで本物のお妃様達が来られる。

 

陛下の御傍に居られるのも・・・あと、少し・・・。

 

 

 

 

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つづく

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