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道程9

読み進めるほどに泣けてきました。

 

わたし、なんでこんな話を妄想したんだろう・・・

 

いつものことって・・・

 

そうですね←

 

 

***********

 

 

 

 

御成婚の儀式に始まり、王都での御成婚行列等、各儀式、行事を終え、王宮での宴が始まったのは大分空が暗くなってからだった。

御正妃様の入宮ということで各妃にも席が設けられ拝顔する機会があった。

遠くから見た陛下と御正妃様が並ぶ姿は一対の絵の様で、本当にお似合いだった。

 

なんて素敵な人なんだろう。

こういう方が李順さんの言うところのお妃様像なのだろう。

この方なら方淵だって文句は言えないに違いない。

所作一つ一つがものすごく優雅で妖艶で目が離せないほどの雰囲気を放っている。

御顔も陛下に負けない位美しくて、陛下に微笑む様は正に花の様だ。

自分とはなんと違うのだろう。

わかってはいたけれど。

先に入宮している本物のお妃様達ですら違いをまざまざと見せつけられて悲しくなったけれど、これはもう格が違う、というやつだ。

ただただ感心し感嘆するだけで、比べることすらおこがましい。

 

やはりこういう人種が存在するのだ。陛下と同じ・・・。

 

宴の席でなるべく下を向いて時がたつのを待っていたら陛下が呼んでいると言われ、お二人の席近くに挨拶に向かった。

近づくにつれ、とてもお似合いの二人だという思いが強くなってきて泣きそうになったけどなんとか堪える。

御膝元まで進むと拱手して頭を垂れお声が掛かるのを待つ。

 

「桜華、紹介しよう。これが我が唯一、夕鈴だ。」

「初めまして、夕鈴様。輝蘭国皇女、桜華、と申します。」

「夕鈴、此度正妃となった桜華だ。面を上げ拝顔を認める。」

 

顔をあげてお二人を見上げた瞬間、何かがこみ上げたけど、ここは妃修行を発揮して妃の笑顔を貼り付ける。

 

「陛下、御正妃様、御成婚おめでとうございます。御正妃様に置いては拝顔叶い光栄でございます。よろしくお願いいたします。」

 

よし、言えた。

変な顔をしていたかもしれないけど、笑顔も頑張れた、と思う。

 

「黎翔様、此方の方が、あなたの唯一と言われていたお方ですのね。可愛らしい方ですわね。でも今日からは私が唯一と呼ばれるように御仕え申し上げますわ。」

 

____ツキン。

御正妃様は陛下をお名前で呼ぶ仲なのか。

胸の中に黒い何かが広がっていくのを感じた。

当たり前の事なのに。

彼女は生まれながらにして陛下と同じところにいるのだ。

そして陛下の名前を呼べる間柄になった。

 

「ははは、それは楽しみというものだ。期待するとしよう。して、夕鈴、これから後宮はこの桜華が色々な事を取り仕切ることになる。今までは後宮管理人が代理でやっていたのだが、元々は正妃の仕事なのでな。」

 

王宮は陛下が、後宮は御正妃様が仕切るというのが習わしだと習ったことを思い出した。

 

「はい、存じ上げております。」

「これからは何かある時は桜華に伺いを立てるようにせよ。」

「私なぞに心を配ってくださりありがとうございます。これからは陛下だけでなく御正妃様にも仕えますことをここに誓いますわ。」

「・・・うむ。頼んだぞ。桜華も、夕鈴を可愛がってやってくれ。」

「黎翔様次第ですわよ。私を悪女にしない様にちゃんと構ってくださいな。」

「ふ、女は怖いものだな。」

 

そう言うと陛下は指でそっと御正妃様の頬を、撫でた・・・。

 

これ以上二人が睦み合っているところを見るのは限界だった。

 

「申し訳ございません、少しお酒に酔ってしまったようです。今日はこれで下がらせていただきとう御座います。宴に呼んでいただきありがとうございました。」

「そうだな、顔色が悪いようだ。気を付けて戻るように。」

「お気遣いありがとうございます。失礼いたします。」

 

急いで適当な言い訳を探して早口で喋り退室して部屋へ戻った。

 

部屋に戻ると人払いをする。

ずっと仕えてくれている侍女さんたちが、『陛下のお妃様への寵愛は変わりませんわ!』と一生懸命慰めてくれていたけれど、寵愛自体嘘なのだ。

あれはただの演技に過ぎない。

身体は繋げていても、心が繋がっていると感じたことはなかった。

 

あれは幻だ。

 

だから陛下が誰と睦み合おうと私には何も言えないことはわかっている。

 

誰にも、何も言えない。

 

辛い。

 

相談する相手すらいないこんな恋なんてするんじゃなかった。

陛下に出会えた、それだけで幸せだったはずだ。

その上傍にいて欲しいと言ってもらえてとても嬉しかった。

でもそれはやっぱり物珍しいからだろう。

私には無理だ。受け入れられない。

陛下を誰かと共有するなんて、本当は嫌だ。

嫌なんてものじゃない、虫唾が走る。

正気ではいられない。

気が付かないふりをしていたけれど、今日御正妃様との御様子を見て蓋が開いてしまった。

いつもはお妃様達と一緒に過ごされているのを見かけてもそちらを見ないようにしてやり過ごしていた。

それなのに、今日目の前で正式なご夫婦となられた御正妃様相手に仲睦まじさを見せられてしまっては、もう自分の心を封じ込めることは難しくなっていた。

 

初めて、後宮に来て初めて声を出して泣いた。

いつも泣きたい時は侍女さんたちに気を使わさないように声を押し殺していた。

でももう限界だったし、寵妃が陛下と御正妃様の仲睦まじさを見て泣いたところで何も問題はないだろうと思った。

 

さすがに御正妃様を迎えたら毎日忍び込んでくることはないだろう。

こちらにいらっしゃっている間だけどうにかやり過ごせるように気持ちを立て直さねば。

 

明日は朝から掃除に励むことにしよう!!

たくさん泣いて少しすっきりしたし、これ以上何も考えずに寝よう。

 

今日はお二人の初夜の儀がある。

 

聞きたく・・・ない____。

 

 

 

 

 

*************

 

 

 

 

 

「夕鈴、は?」

「ん~、すんごい大声で泣いてましたよ?毎日泣いてましたけど、声をあげて泣いてるのは初めてじゃないすかネ。」

「・・・」

「さすがにね~、庶民の言うところの正妻の登場じゃね~。キツイんじゃないすか?他のお妃様はまだ同じ側室みたいなものだけど、御正妃様だもんナ。しかもどっかの誰かさん甘ったるい顔して見つめてたしナ。」

「・・・仕方あるまい。あそこで夕鈴の方に甘くしてみろ。後で何されるかわからんぞ。」

「って、あれも毒花なのか?まあいい香りはしないけどネ~。」

「あれは・・・、桜華とは当て字に過ぎん。本当は王の花・・・。」

「へ?じゃあ?」

「ふん、あれは幼少時は違う名を名乗っていた。大きくなるにつれ公主の中で一番美しく賢かった彼女を輝蘭国国王が大層気に入り可愛がったため名を与えたそうだ。」

「まさか・・・、まさか、だよネ?」

「わからん。昨日あちらに飛ばしていた者から届いた話だ。名が違っていたから探りを入れに行かせたらそういうことらしい。」

「ふ~ん、じゃあ、その方向で?」

「取り敢えず、な。動きがあるまでは桜華に甘い夫を演じよう。」

「でもバイトちゃん、そろそろヤバいんじゃネ?」

「・・・それでも仕方ないだろう。お前夕鈴の気を紛らわせられるようどうにかしろ。」

「・・・無茶振りっすネ。」

「無茶でも何でもいい。夕鈴が少しでも笑える様にしろ。それとも私の望みには答えられぬというか?」

「いえ!とんでもありません!隠密浩大、陛下の御為、バイトちゃんに笑ってもらえる様誠心誠意御仕えさせていただきます!!」

「頼んだぞ。あと、正妃にも例のモノ、紛れ込ませろ。」

「リョーカイ!そちらはもうじっちゃんと話はついてる。」

「もしかするともしかするかもしれんからな。」

「ん?」

「あれは生娘ではなかった。」

「へ?皇女様だろ?やっぱりそうなのか?」

「ふん、あれは上手に騙したつもりだろう。私も上手に騙されてやったがな。」

「なんでわかったんすか?」

「以前遊郭でそういう薬を使う女郎に会ったことがある。」

「へえ~、へーかの女遊びも役に立つもんだね~。」

「・・・夕鈴には言うなよ。」

「へいへい、わかりました。んじゃ戻ります。」

 

____面白くなってきたナ。

 

 

**************

 

 

つづく

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