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本誌派生SS第57話妄想②

こちらに移すにあたって読み返しているのですが、穴があったら入りたいくらいに酷いですね・・・


なので一気に上げていこうと思います。


恥ずかしすぎるので恥を一気に晒します←


いってらっしゃいませ。




**************




王宮の魑魅魍魎から守らなければ。


ここから逃がさなければ。


彼女には帰る場所がある。


私のそばにいて、これ以上危険な目にあう必要はない。


彼女だけはそのままで。


僕を置いて・・・行ってくれ・・・


 


自分勝手な願いだと、君が聞いたら怒りそうだけど。


 


 


 


夕鈴を解雇することにした。


彼女には笑っていてほしい。


何の苦労もしないで、ただ、彼女らしくいて欲しい。


最後だから、彼女にしてあげられることは全部してあげたかった。


もうきっと、彼女に会うことも、


何か手助けしてあげることもできないだろうと思ったから。


せめてもの餞に・・・僕をいつか思い出してくれるように。


いや、忘れてくれた方がいいのかもしれない。


それくらい幸せになって欲しいと思う。


なのに、彼女は僕には何もさせてはくれない。


バイト妃にはもったいないと言う。


この線引きに、自分が強いてきた境界に、堪えられない焦燥感・・・


どうすれば彼女がこの先も幸せでいられるのか。


幸せを知らない僕にはわからなかった。


 


「君が望むなら嫁ぎ先を融通することも・・・」


 


そうすれば君が幸せかどうかくらいは耳にできるだろうか。


 


君が息をのむ音が響く。


君の大きな瞳に、こぼれそうなくらいの涙が浮かんだ。


次の瞬間、まっすぐにこちらを見る君から溢れ出た言葉の勢いは驚くくらいの強さで。


僕は適当な相づちを返すくらいしかできなかった・・・


 


浩大?


浩大がいいのか?


 


彼女が浩大を呼んで事の次第を説明している姿を他人事のように見ていた。


2人で何やら話をしているようだったが、僕の思考は別のことを考えていた。


 


浩大ねぇ。


悪くないかも!


手を出すなと言っておけば、奴は出さないだろう。


彼女の近況も手に取るようにわかるだろう。


それに、奴は僕が夕鈴をどう思っているか、多分にわかっているはずだ。


 


 


 


「いや、だってさ。結婚だよ?お妃ちゃん、俺の子供産んでくれんの?」


「こ、う、で、・・・子供くらいいくらでも産むわよ!」


「いくらでも!へえ。俺頑張らなきゃいけないなあ。


 


ん?ちょっと待て!!


子供?って言ったか?


夕鈴の子供・・・可愛いだろうな。


じゃなくて・・・


夕鈴の?浩大と?


 


 


__________嫌だ・・・


瞬間、心も頭も身体も凍っていくように感じた・・・


 


結婚とはそういうものだ。


わかっている。


子供を産んで家族を作る。


それが普通の幸せであろう。


ましてや彼女は普通の女の子だ。


いくら弟がかわいくて最優先だろうと、幸せな結婚像があるだろう。


それに、弟ですらあんなに可愛がるのだから、自分の子供となったらそれはそれは可愛いく思うだろう。


欲しくないわけがない。


浩大にしても、奴の優秀さは群を抜いている。


あいつの子供なら、それはやはり優秀なのかもしれない。


持って生まれた天性の身体を受け継ぐのかもしれない。


奴の子供は、正直に言って、とても楽しみだ。


いい道具になるかもしれない、という点で。


是非にでも産まれてほしいと思う。


 


だが、これでは夕鈴の子を隠密に?ということか。


それでは彼女を逃がしたことになるだろうか。


彼女の、おそらくは溺愛するであろう子供を、常に生命の危険が付きまとう隠密にするのか・・・


 


 


未来を考えると頭がこねくり回されているように考えがまとまらない。


2人の子供が、と考えるだけで血の気が引いていくのに、その先を冷静に考えてしまう自分がいる。


どこまでいっても自分ここから逃げられない。


やはり狼陛下なのかと自嘲してしまう。


愛しいと思う娘を他に嫁がせようと、それでもいいかと考えてしまう自分に嫌気がさす。


 


 


 


浩大が彼女の耳元に近づいて何やら二人にしか聞こえないように呟く。


 


「す、好きって・・・そんな・・・言えないもの。」


 


なんで?


夕鈴は僕のお嫁さんでしょう?


浩大のことが好きだったの?


僕のことも、私のことも、好きだと言ったじゃないか。


あの言葉は、本当にただの親愛の意味だったの?


浩大のことは本当に好きだから、真っ赤になって、それでも言えないの?


 


自分のやっていることは棚上げに、浩大に小刀を投げつける。


彼女を赤く染めていいのは私だけだ。

 




「こ、浩大!!えっ・・・なに?」


「いや、なんでもねぇよ?」


「なんでもなくないでしょう!それ!」


「ん~?ただの小刀だよ?」


「いや、そうじゃなくて・・・陛下!陛下ですね?何してるんですか!」


「・・・近い・・・」


「近くなんかありません!陛下の方が、よっぽど、いつも、余計に近いです!」


「赤くなってたじゃないか。」


「あ、あ、いや、あの、それは違くて・・・」


「何が違うんだ。」


「と、とにかくですね!浩大は陛下の大事な道具なのでしょう?なくなったら困りますよ!ね!」


「これくらいいつものことだ!」


「いつも!?」


「い、いや、浩大の仕事からしたらいつものこと、という意味だよ?


 


やばい、夕鈴には知られたくないな。


瞬時に子犬の雰囲気を醸し出す。


 


「そ、それは、そうかもしれませんが。危ないですよ。」


 


ふう、ごまかされてくれたようだな。


安堵したのもつかの間。


 


「浩大に何かあったら、私、困ります。陛下も困るでしょう?私の嫁ぎ先がなくなると。」


 


そうだった、こっちの問題があった。


どうやったら夕鈴があきらめてくれるか・・・


 


「ゆーりん、浩大はそういう仕事だし、いつ命を落とすかわかんないよ。だからさ、やっぱり別な人を・・・」


「陛下!良いって言いましたよね?浩大に命令もしてましたよね?」


「でも、よく考えてみたらさ、浩大と一緒になると、ゆーりん、心配事が増えるだろうし、子供だって、もしかしたら隠密になっちゃって、大変な訓練を受けたり、命を落としたりするかもしれないんだよ?ゆーりん、耐えられないんじゃない?」


 


またこの人は私を触れさせないようにしてる。


わたしは少しでもあなたの世界に触れていたいのに。


なんでもいい。


苦しくてもいいから、悲しくてもいいから、少しでもあなたの役に立ちたいのに。


ここで引くわけにはいかない。


子犬陛下には弱いけど。


 


「いいえ!大丈夫です!わかっています!とにかく!わたしは浩大がいいんです!いいですよね?」


 


目も眉も吊り上がってこちらを睨みつけている。


こんな顔をしているときの夕鈴に何を言っても無駄・・・なんだよね。


結局、夕鈴の気迫に押され頷いてしまった・・・


 


「じゃ、浩大、そういうことで。明日からよろしくね。」


「ん~、はは。リョーカイしました。ヘーカ、そういうことで。オレ、戻りますね。」


 


浩大を窓から見送ると、彼女は振り返り拱手した。


 


「では、陛下。私の嫁ぎ先を融通していただき、また、わがままを聞いてくださりありがとうございました。これで陛下の憂いが一つは減りましたよね?良かったです。」


 


面を上げた彼女の顔には、お妃さまの笑顔が貼りついていた・・・


 


その後は明日から忙しくなるから早めに休みたい、


と彼女の部屋から追い出されるように退出されられた。


ホント、思いどうりにいかないよね、夕鈴は。


そこが愛らしく、目が離せなくなるところではあるが、今回のはちょっときつい。


これでいいのだろうか。


本当にこれで・・・?


僕の隣でなければ彼女は安全で、幸せになれるんだ。


自分に言い聞かせるために呟いた言葉は夜風に流されていった。


 


 

**************




つづく




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