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道程16

時系列が行ったり来たりですみません。

読みにくいかな?

 

でもそのまま転載しますね←

 

 

*************** 

 

 

 

 

 

____離宮蘭華宮

 

 

離宮に着いてすぐ、老師はある一室に缶詰めになっていた。

それは黎翔の仕掛けた罠に妃、官吏共に掛かるのか確かめるためであり、計画の変更を余儀なくさせれられたときに備えての物であった。

幸いなことに妃達は己の欲望に忠実で、なぜこうなったのか考えるものは誰もいなかった。

官吏は官吏で、所詮古狸の2世に過ぎず、人を欺くことに必死で状況判断ができない単純な輩ばかりであった。

その為黎翔が考えるよりももっと早く事を起こす者たちが多く、証拠が集まるのにそう時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

「なぜ陛下がこちらの離宮をお選びになったのかわからなかったのですがこういうことでしたか。」

 

李順はやっと腑に落ちた。

黎翔が玉座に座り、用途のない施設の処分に手を入れた時の事だった。

こんな豪華絢爛な作りで、まさに妃と酒乱肉欲に溺れるのに適しているとしか思えなかったここを残すと言った時は何故かと思っていた。

 

「ああ。しかし、思っていたよりもよく聞こえるな。耳触りでかなわん。」

「しかし、本当に面白い作りですね。回廊のささやき、ですか?」

「ああ。ここは全ての部屋と回廊の音を集めて聞くことができるように作られている。たとえ囁き声であっても良く響く。見かけは全くもって気に入らないが、謀略を謀るにはちょうどいい。」

 

そこに書簡を抱えた老師が入ってきた。

 

「陛下、全ての妃と官吏に関する書簡が仕上がりました。会話、時、場所等、全て漏らさず書き記しております。もちろん、交わった回数も、ですな。」

「大儀であったな。しばらく休んで老体を労われ。」

「失礼ですじゃな!まだまだ行けますぞ。後宮管理人の名において、陛下の御子を拝顔するまでは掃除娘から目を離しませんぞ。早く帰ってあげて下され。」

「うむ。わかっている。・・・そろそろ夕鈴切れだ。足りない。足りないどころかこのままでは干からびてしまうな。」

「はあ~。・・・陛下、そんなに夕鈴殿に溺れておいでとは存じ上げませんでしたよ。」

「あはは、ホントだよね~。」

「・・・浩大。どこから・・・。まあ、いいです。ところで例の物は?」

「ああ、ほら、これ。」

 

浩大は胸元にしまっておいた紙包みを李順に渡した。

 

「これは?」

「うん、正妃様?に盛る予定だったヤツ。ちょっくら拝借してきた。そのままヤッちゃってもらった方が楽なんだけどね~。」

「それでは困ります。御正妃様には其れ相応の対価をお支払い願わねばなりませんからね。隣国国王もそうです。ここで御正妃様に死なれては国交問題に発展しかねませんからね。」

「ハッ、がめついなあ、李順さんも。まあそうじゃなきゃね。」

「何をおっしゃるんです?私を誰だとお思いで?この私を騙したんですよ?」

 

酷薄に笑い黒いオーラを醸し出すその様は黎翔ほどでなくとも身震いしそうだ。

 

____地雷ふんじゃったね?隣国。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王都もここ数日冷え込みが厳しくなっていた。

それでも、陛下から頂いた雪だるま兎はもうすっかり溶けて消えてしまっていた。

凛とした空気の中、月がとても綺麗で、陛下と共に見たことを思い出した。

あの時は、陛下の腕の中に居て、寒かったけれどとても温かかった。

私が陛下の隣に居続けることが我慢できなくて、自分勝手に手放した温もりを思い出して涙が溢れた。

 

気が付くと、声にならないあなたの名前を呟いていた。

 

____陛下。

 

 

 

 

 

急に後ろから腕が伸びてきて腰をさらわれ口を塞がれた。

あまりものことに驚いて泣いていたことも忘れじたばた暴れていると、さらにギュッと強く抱きしめられ首筋を温かいものが辿った。

 

胸が激しく早鐘を打ち始める。

間違えるわけがなかった。

頭で考えるよりも早く身体が反応した。

 

この力強く抱きしめてくる腕も

首筋に当てられた唇も

身体を包み込む温もりも

すっかりなじんでしまっていた香りも

 

大好きな、愛しい、何よりも大切で、一番会いたくて会いたくなかった人の物だった。

引っ込んでいた涙が、またより一層ぽろぽろと零れだしてしまった。

 

「わが妃よ、何をそんなに憂いているのだ?」

 

泣いて何も話せない私の背中を包み込むように覆いかぶさり、気が付いたらいつもの様に膝の上に誘われていた。

私が落ち着くまで、何も言わずにずっと後ろから抱きしめたまま、頭を撫でたり髪を梳いたりしてくれていた。

 

「・・・へ、へ・・いか。」

「・・・。」

「あ、あの・・・。」

 

何と言っていいかわからず口ごもってしまう。

 

「・・・ただいま。」

「え?」

「ただいま、夕鈴。」

 

胸を撃ち抜かれた様な気がして陛下の方を振り返る。

 

「ん?ただいま、夕鈴?」

 

陛下は少し困ったような、それでも妃に甘い蕩ける笑顔でこちらを見ている。

 

「~~~~お、お帰りなさいま、せ・・・。」

 

止まっていた涙がまた溢れ出す。久しぶりに見た陛下の御顔が少しやつれて見えた。

 

「うん!ただいま、夕鈴!」

 

そう言うと陛下の胸にぎゅっと閉じ込められた。

陛下との約束を破ってしまったのに、それでもここまで来てくれたのが嬉しかった。

そのまま、陛下の背に手をまわして。

 

そうして暫く寒空の下二人で温もりを分け合っていた。

 

 

 

 

 

「へ、陛下。あの、教えてもらえますか?」

「ん?何?」

「・・・離宮で何があったか。」

「・・・。」

「陛下。あの、思い上がりかもしれませんが、私の為に御妃様たちが廃妃されることになったのでしょう?違いますか?それに、あの官吏の方々も・・・。」

「・・・。官吏はついでだ。もともと目障りだったからな。」

「では御妃様たちは?」

「・・・。彼女達は・・・。だって夕鈴しかもう嫌なんだ。だから・・・。」

 

私を抱きしめる腕の力が強くなって、肩口に陛下が額をくっつけて言う。

 

「確かに娶ると決めたのは私だ。だが、彼女達から君を守るために君に近づくこともままならない。自分の気持ちは一番後回しだ。王とは本来そうあるべきだと思ってきたしそうあろうと努力してきた。けれどもう限界だ。私は君なしでは居られない。」

 

落ち着いてよく見てみると随分やつれられたお顔。

目の下にはくっきりと隈までできている。

 

「でもこんな形でなくとも、一言陛下が命令されれば・・・。」

「・・・夕鈴。」

 

私の抗議の声は陛下の名を呼ぶ声に冷たくさえぎられた。

 

「君はとても優しい。それは美徳だけれど、王宮では命取りだ。隙を見せればそこに入り込まれる。君も知っての通り、妃達は皆名家の姫たちだ。ただ廃妃と言われて納得する輩ではない。きちんと理由を提示し、二度と這い上がってこれないように叩かなければならなかった。」

 

それは今まで私には見せてくれなかった闇の部分の話で。

御正妃様の御子が流れたけれど、それは陛下の子ではないこと。

実は他の御妃様も御正妃様も私と同じように子を成さないように薬を盛っていたこと。

御正妃様が来てからは他の妃に触れてないこと。

そして、御正妃様以外は、子を成さない薬をわざと盛らないようにしていたこと。

その後遺症というか、効果とでもいうのか。薬を切らしてすぐは子を成しやすくなるということ。

例え不義密通をお妃さまたち自身が認めなくても、陛下の閨の記録は後宮管理人によって記録されているので子を成した時点で言い逃れができなくなること。

自分が聞きたかったこと。

それなのに、陛下が辛そうに話してくれている間にまた涙が溢れてきた。

陛下が唇で涙をそっと掬い取る。

その間にも顔中に口付けが降ってくる。

 

「私は後宮で君が安心して暮らせるようにしたかった。君と本当の家族を作りたいと思ったんだ。君一人を愛し、慈しみ、子を成し、育て、君と共に老いていく、そんな夢みたいなことを現実としたかった。それは、王としてはあり得ない選択だったかもしれない。でも、それでも諦めきれなかった。」

 

真剣に私の瞳を見つめ、とても苦しそうに話す陛下から目が逸らせなかった。

 

「お願いだ。こんな事をした私を許してくれなくてもいい。ただ、ただ傍にいると言ってくれ。君は何も悪くないんだ。どうせいつかやらなければならなかった古狸退治を今やっただけにすぎない。君が心を痛めることはないんだ。」

「陛下。私の気持ちは変わりません。どこに居ても、どんなことが起きても、私は狼陛下の味方です。」

 

いつ何時も言った言葉を繰り返す。本当に、心からそう思うから。

 

「だから陛下、一人で抱え込まないでください。半分は無理でも、少しでもいいから私にも苦しみを分けてください。」

 

陛下が目を丸くしてこちらを見ている。

 

「陛下、私はそんなに弱い女ではありません。ちゃんと話してくだされば、自分で考えて自分で行動します。」

 

わざといたずらっぽく陛下を見上げる。

 

「ふ、そうだな。それが心配でもあり愛おしくもある。どうすればよいのか、まだわからぬが。」

 

困ったように笑う狼陛下の笑顔。

とても大好きなあなたの笑顔がそこにはあって。

 

「陛下、愛してます。」

 

初めて、まっすぐ陛下の目を見つめて言った。

すっごく恥ずかしくて、耳まで熱いけど、どうしても今伝えたかった。

 

「夕鈴・・・。」

 

陛下の顔が近づいてきて、そして二人の唇が重なった。

 

 

 

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つづく

 

 

この後は鍵付きになります。

 

ブログでは初の試みで、はずかしいです←バカ

 

いつ更新しようか・・・

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コメント

こんばんわ、まんまるこさん。
ようやくここまで来ましたね。
続きを楽しみにしています~。
みかんママ様

いらっしゃいませ〜。
やっと再会できました(*^^*)
私はお話を短く書くことができなくて、もっと端的に書けたらなぁといつも思っております。
付き合って下さってどうもありがとうございます(≧∇≦)
嬉しいので、早めに鍵付きを更新しようかな…←オイッ

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