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道程22

今回は青慎目線をお送りします。

 

やっぱり青慎はいい子!

 

 

************** 

 

 

姉さんが王宮から帰ってきた。

いつもは驚くくらい元気に帰ってくるのに、その日はなんだか違っていた。

目は赤く腫れていたし、目の下には隈までくっきりと出ていて。

 

「バイトが終了したから、やっと戻ってこれたわ。ごめんね、今まで青慎一人にお家の事任せちゃって。これからは私がやるから、勉強頑張るのよ!」

 

そう笑って言ってたけれど、どう見ても以前のような快活な姉さんではないような気がした。

僕の見えないところで声を押し殺して泣いていることもあったし、夜月を見上げて何かを呟きながら涙を零している時もあった。

 

几鍔さんは何か知っているのか、たまに家に顔を出してはいつもの調子で姉さんを少しからかいながら様子を見に来てくれていた。

何か言いたげに僕の事を見やることもあったけど、結局何も言わずに困った顔をして帰っていった。

 

僕の知るところで姉さんにこんな顔をさせるのはあの人しかいない気がする。

姉さんが何も言わないからこちらから聞けずにいたけれど、段々と体調を崩し日々空元気な笑みを顔に張り付けて頑張っている姉さんを見ていたら、真実がどこにあるのかは知らないけれど李翔さんに対して腹が立ってきた。

 

「姉さん・・・あの、李翔さんは?」

 

ある日意を決して姉さんに聞いてみた。

いつまでも姉さんだけが悲しんで暮らしているのだとしたら、何とかしてあげたかった。

 

「・・・何?」

「李翔さんは、来ないの?いつもくっついて来てたでしょう?」

「ふぅ。あの方はただの上司だっただけよ。バイトは終わったの。来るわけないじゃない。」

「本当に?ただの上司なだけだったの?姉さんは・・・」

「青慎!・・・あの方は部下に優しいだけよ。大体、結婚されて今は旅行中なの。」

「なっ、結婚?なんで?だってあの人・・・」

 

誰がどう見たって姉さんの事特別に大事に想ってくれてるみたいだったのに・・・。

 

二の句が継げずに黙り込んだ僕を姉さんが優しく抱きしめてくれた。

 

「青慎、ありがとう。ごめんね、心配させてるのね。・・・でも、大丈夫よ。姉さんはちゃんとわかってたもの。契約が終われば私は下町に帰るって。それはあの人もわかっていたことだし、私たちはなんでもなかったのよ。だから、また元気になるから、ね?」

「・・・姉さんがそれで良いのなら。じゃあ、僕、勉強頑張って官吏になっていつか李翔さんに会えたら、一発殴ってあげる!だから、それまでに元気になってね?僕が官吏になるのと姉さんが元気になるのと競争だよ?」

「青慎!なんていい子なの!でも、殴らなくてもいいわよ。あの人は何も悪くないわ。もしあの人に会えたら、その時は力になってあげてね。」

「「約束!」」

 

そう言って指切りをして二人で笑った。

 

その日から、姉さんは少しずつだけど元気になって、飯店でのバイトも見つけてきた。

相変わらず体調は悪そうであまり眠れてないようだったけど、少しずつ明るい表情もするようになった。

 

 

 

 

 

 

 

そんなある日。

 

僕はその日、なんだかとても眠くて、勉強を切り上げて早めに床に就いた。

 

 

 

 

 

朝目覚めて居間に出た時の衝撃を何と言ったらよいのか・・・。

 

「っ!李、李翔さん!?」

「おはよう、青慎君!久しぶりだね。」

 

久しぶりって、何普通にしてるんだろう、この人。

なんだか尻尾がぶんぶん振り切れんばかりにしているように見える。

姉さんが庇うからそれ以上言わなかったけど、僕、内心結構怒ってるんだよね・・・。

 

「なんで家にいらっしゃるんですか?御結婚されたと聞きましたが?」

「夕鈴がそう言っていたの?」

「はい・・・。」

「そう・・・。うーん。」

 

なんだかよくわからないけど困った顔をしてこちらの様子を伺っている。

そういえば、姉さんはどうしたんだろう。

いつもなら先に起きて元気に働いているのに。

部屋に確認に行こうとして李翔さんに止められた。

 

「あ!夕鈴まだ寝てるんだ。最近あまり体調がよくなかった様だし、まだ寝かしてあげて欲しい。」

「あの、姉は?」

「うん。昨日の夜遅くに来た僕と話し込んでしまって、眠ったの朝方なんだ。だから、ね。」

「わかりました。大事がないのならその方がいいですね。」

「ごめんね、青慎君。」

「・・・何がですか?僕、姉が貴方を悪く言わないので我慢してますけど、貴方のせいなんでしょう?姉さんがこんなになってるのは!」

 

つい声を荒げてしまう。姉さんの陽だまりのような笑顔をもう一度見たかった。

何もできない自分が悔しかった。

 

「・・・うん。そうだね。僕のせいだ。君の姉さんを苦しめてしまった。申し訳ない。」

「・・・」

「でも時間はもう少し掛かるけど、夕鈴を僕の妻に迎えたいんだ。」

「そんな!姉さんはそんな関係じゃないって!」

「・・・うん、そうだよね。そういう話だったんだ。だけど、僕がどうしても夕鈴が良くて。苦しめるのはわかってたから逃がしたかったけど、僕はもう決めた。だから夕鈴を迎えに来たんだ。納得できないのはわかるけど。」

「姉はなんて?」

「了承してくれたよ。待っていてくれると。本当に不甲斐ない男で済まないが、どうか許して欲しい。」

 

そういうと立ち上がり頭を下げた。

まだまだ子供の僕なんかに貴族が頭を下げるなんて考えられない。

どんなことがあろうとも、貴族の立場にある人が庶民にそんなことをするなんて聞いたこともない。

それなのに、黙り込んだ僕がまだまだ怒っていると思ったのか地面に手をついて許して欲しいと言ってきた。

 

「や、やめてください!わかりました!李翔さんの気持ちはわかりましたから!顔を上げてください。貴方にそんなことをさせたと姉が知ったら僕が怒られます。」

「でも君の大事な姉さんを苦しませたのは確かだし許せないと思うのも仕方ないと思っている。」

「もういいですよ。姉はあなたの申し出を受けたのでしょう?姉がまた心から笑って過ごせるなら、もうそれでいいです。姉には苦労を掛けています。幸せになってほしいです。どうか、姉がいつも笑っていられるようよろしくお願いします。」

 

今度は僕が頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、夕鈴、行ってくる。」

「はい、行ってらっしゃいませ、黎、っと李翔様、って李翔さん。」

 

あれから李翔さんはここから王宮に通っている。

 

「李翔さん、僕も途中までご一緒してもいいですか?」

「もちろん!」

「じゃあ姉さん、行ってきます。」

「青慎も頑張ってね。行ってらっしゃい。」

 

姉さんの花のような笑顔が戻った。

僕はとても嬉しくて、知らず知らずについ頬が緩んでしまう。

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませ、黎翔様、っと李翔さん。」

「うん、ただいま!夕鈴!」

 

今日も李翔さんが嬉しそうに帰ってきて、それを姉は飛び切りの笑顔で迎える。

 

 

 

 

 

でもね、姉さん。

李翔さんの呼び方がいつもおかしいと思うんだ。

 

李翔さんって、もしかして・・・。

 

まさか、ね?

 

 

 

****************** 

 

 

 

つづく

 

 

流石の青慎!!

いいこ!!

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コメント

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ボナ様

いらっしゃいませ〜。
続きは内緒、ナイショ、ないしょです〜(*^^*)
↑早く続きを持ってこい!

感想嬉しいです!
夕鈴はいつでもどこでも陛下の味方なんです。
そういう夕鈴だからこそ陛下は好きなんだろうな。

コメント、最初はドキドキしますよね!
私も読み専だったので、よくわかります(*^^*)
確かに交換日記みたいですね!
これからもよろしくお願いします〜。

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