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道程24

 

わたしね、狼陛下、大好きなんだなって思うんです。

 

こういうシーン書くの、とっても疲れるけれど、陛下、かっこいいなっていつも思うんですよ。

 

たまりません!

 

同じ趣味の方いますか?← 

 

 

 

 

************* 

 

 

 

 

 

「陛下、後半刻程で御正妃様が此方に御着きになられるそうです。」

 

侍官から先触れがもたらされる。

 

「うむ、では謁見の間で大臣らと共に迎えるとしよう。その様に。」

「御意。」

 

黎翔の醸し出す冷たい気配に青ざめ拱手し侍官が足早に出ていく。

 

「いよいよだなぁ、李順。」

「はい。なるべく穏便に、早期に解決するよう祈っております。」

「ふん。祈ってどうする。尽くせ。」

「御意。」

 

黎翔は正に狼陛下と恐れられるに足る冷酷な笑みを浮かべ私室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「長旅ご苦労であった。」

 

主だった大臣、高官らが控える中、正妃が拱手し黎翔の言の葉を待つ。

 

「長期の不在申し訳ございませんでした。」

「いや、そなたの身体と心の為だ。ゆっくり養生できたか?」

「はい、陛下の御心のおかげで回復いたしました。心を尽くしてくださりありがとうございます。」

「では、疲れたであろう。後宮に下がってゆっくりするがよい。」

 

黎翔は冷たく周りを見渡し、足早に謁見の間を去っていった。

 

 

 

 

 

黎翔が部屋を後にすると、謁見の間はざわつき始める。

白陽を立つ前は、正妃は誰の目から見ても陛下の寵愛を受け、急に姿を消した唯一に変わり、新たな唯一になったのだと認識されていた。

 

それがこれである。

 

先の唯一の時は片時も離れたくないと、妃が一人であったときは政務室にも呼び、時間があれば共に四阿で過ごし、庭園では仲睦まじく手を繋ぎ散策を楽しんでいた。

時には足元が心配だと言って抱き上げて歩む姿を王宮の多くの人間が目撃している。

先の妃に変わり唯一となったのであれば、常時の黎翔であれば馬車寄せまで出迎えに行くであろうし、更には疲れているだろうからと抱き上げ、自ら後宮へ連れ去ってもおかしくはない。

 

大臣、高官らもその辺りの見解は一致していた。

 

それくらいに黎翔の唯一の妃への寵愛は過去の王宮では見られなかった特異なことで、特異であるがゆえに皆の記憶に濃く刻まれ、理解はされずとも認識はされていた。

余りにも先の唯一であった妃への寵愛とは違う、今となっては唯一になったはずの正妃への対応に臣下達はあの噂話は本当なのかと囁きあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それは正妃が母国へと帰国したその日から始まった。

陛下付きの女官、侍官らが政務を終えたはずの陛下が自室に戻られない、と。

側近である李順に確認をするも「いるはずです」の一点張りで中に入ることも許されない。

朝も自室に寄った様子は見られないにもかかわらず気が付くと政務に取り組まれている。

しかも、正妃が居た時よりも数段機嫌がよく、雰囲気も柔らかい。

 

まるで以前、唯一だけが後宮に居た頃のように。

 

どこに行きどこから来ているのか・・・。

いつからか侍官、女官達からひそひそと囁かれるようになった。

 

 

 

陛下は先の唯一を御隠しになっているのではないか____?

 

 

 

そんな噂を知らない桜華は後宮に下がり黎翔を迎える準備をしていた。

 

____久しぶりの逢瀬。さっきは冷たかったが、きっと今夜は此方に来るはず。

 

自国の計略を遂行するため桜華は妖艶な衣装を身に纏い、媚薬を混ぜた香を焚き染め黎翔の訪れを今か今かと待っていた。

白陽を立つ前の寵愛を思い出し胸が高鳴るのに気が付かないようにして。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何故!何故黎翔はこちらに来ないのだ?此方に来てどれほどの日にちがたったかわかるか?」

 

黎翔は謁見の間で正妃と面会して以降、一度も後宮に姿を見せることはなかった。

桜華が正妃付きの白陽側の侍女に詰め寄る。

桜華が白陽に嫁いできた際連れてきた侍女もいたが、それでは不便があるかもしれないからと白陽側からも侍女が付いていた。

 

「い、いえ、私どもは何も・・・。」

「知らぬ・・・か?では、直接参ろうぞ。以前妃が一人であった時は政務室にも行っていたと聞いておる。私が行っても構わぬだろう。のう?」

 

夕鈴付きを外された侍女に向かって問う。

問う、という形を取ってはいるが、決定権は正妃にあり侍女が口を出せることではない。

内心どう思っていようが頭を垂れ拱手して付き従うしかないのだ。

 

「先に参りまして陛下に御正妃様が政務室に訪れることをお伝えしてまいります。」

 

さっと向きを変え足早に王宮に向かった侍女を見やり大きく溜息をつくと、桜華は急いで身なりを整え黎翔が好むと言われる花を髪に差し自らも王宮へ向かった。

 

 

 

 

 

「陛下、失礼いたします。よろしいでしょうか?」

 

青ざめたまま先触れを伝えに来た侍女が入室の許可をもらおうと拱手して待つ。

 

「どうかされましたか?」

 

夕鈴が一人であった頃は日々此方を訪れていた侍女が青ざめている様に李順が答えた。

 

「あの、御正妃様が、此方にいらっしゃると・・・。」

「成らぬ!!」

 

黎翔の冷たく突き放すような声に侍女は足元が震えどうにか立つことがやっとだ。

 

「陛下・・・。貴女には何の責もありません。落ち着きなさい。それから、政務が詰まっておりますので御正妃様が此方に来られるのは御遠慮していただきたい、とお伝えください。よろしいですね。」

「は、はい・・・。失礼いたします。」

 

侍女が下がろうと急ぎ踵を返そうとすると後ろにはすでに正妃が立っていた。

 

「は、御正妃様・・・。」

「役立たずね。貴女は下がっていなさい。」

 

冷たく見下すような目線で王族らしい物言いに再び侍女は震えだし後ろへ後ずさった。

侍女が下がったのを確認すると頬を赤らめ目には涙を湛えて政務室に入っていく。

 

「黎翔、いつになったらあなたの顔をゆっくり見られるのですか?日々貴方が来るのを待ち焦がれ私の胸は張り裂けそうです。」

 

黎翔が冷たく睨み付けているのにも気が付かず腕に縋りつき胸を強調した衣装で言い募る。

 

「はあ~。」

 

黎翔は殊更大きく溜息をつくと腕から正妃を引き剥がしながら冷たく言い放った。

 

「その様な姿でこちらに来るのはやめてくれ。政務を滞らせることが正妃の仕事であったか?」

「いいえ。邪魔をしに来たのではありません。私は貴方の唯一になったはず。なれば此方に参ることも許されると思うのですが。」

「ふっ。君が唯一、と?誰かそう言ったか?私は言った覚えはないのだがな。」

「で、ですが、後宮には私一人ではありませぬか?以前の様に私と共に寛いでいただきたいだけでございます。」

「君が居らずとも、私は十分癒されておる。必要があるときは此方からそちらへ出向く故、今後後宮から出ることは許さぬ。これは決定事項だ。わかったら戻れ。」

「くっ・・・。わ、わかりました。後宮にてお待ちしております故、是非にお帰りくださいますようお願い申し上げます。失礼いたします。」

 

優雅に礼を取り美しく整った顔を少し歪ませた笑みを浮かべ怒りからか肩を震わせる正妃を官吏たちは見て見ぬフリをしていた。

 

「待て。」

 

黎翔は下がろうとした正妃を呼びとめると、すっと正妃へと手を伸ばした。

先程までの物言いとは打って変わり笑みまで浮かべている様に桜華は胸が高鳴り自然と笑顔になった。

 

「・・・これは、君には似合わぬ。」

 

そう言うと桜華が髪に挿していた花を抜き取り香りを楽しんだ後口付けた。

 

「この花を摘むことは認められない。わかったら後宮へ下がれ。」

 

それだけを言うともう興味はないとばかりに去っていった。

残された桜華は、只でさえ拒絶ともいえる態度を取られ憤慨していたところに甘い顔で寄ってきた黎翔に期待をしたのを冷たくあしらわれ、手が震えるのを抑えきれなかった。

ただ俯き顔を真っ赤にし口を引き結んですぐさま後宮へと下がることしかできなかった。

 

二人の会話から、あの噂は真実味を帯び、その日のうちには王宮中に伝わっていく。

 

 

 

陛下は唯一を隠している。

 

それも毎日通えるほど近くに____。

 

 

 

しかし元々出自不詳での入宮であった妃の行方を知る者はおらず。

また、以前の事件で身内を廃妃されていた柳、氾両大臣をはじめとする大臣、高官たちは御咎めがない代わりに陛下の御世に尽くすよう強く言われていたために率先して探し出そうとする者はいなかった。

 

 

 

 

 

そして、とうとう後宮に居る桜華の耳にもこの話は入ることになる。

自国から共に連れ立ってきた古参の侍女からの言葉に最初は意味が分からなかった。

 

 

 

____陛下は唯一を未だに想っていて隠されている。

 

 

 

「な、何を申す。黎翔はあんなに私に夢中であったではないか。夜毎此方に来て私を・・・。夕鈴なぞ、まるで目に入ってないかのように室にも訪れることはなかったはず・・・。何故・・・。」

 

桜華は考えもしていなかった元寵妃の存在を信じ切れず呆然と立ち尽くした。

 

確かに一度は寵愛を勝ち取ったはずであった。

自分が来てからというもの、唯一と共に過ごす時間はほとんど無いと思えるくらいに自分の所へ通ってきていたはず。

離宮から戻るとかの妃は退宮を申し出ていたと聞きほくそ笑んだ。

とそこまで考えて、そういえば、と思う。

黎翔が退宮を認めた、とは聞いていないことに気が付く。

 

「ま、まさか・・・。」

 

自分の考えが至ったところが間違いであって欲しいと、桜華は一気に血の気が引く気がし、そのまま意識を手放した。

  

 

 

***************** 

 

 

 つづく

 

 

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コメント

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ボナ様

コメントありがとうございます!
私の書く陛下はSっ気が凄いらしのですが、自分の好みなんだろうなぁと恥ずかしいです\(//∇//)\

もちろん女狐退治も陛下は全力です(≧∇≦)
お楽しみに!←いや、やっぱり期待しないで

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