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道程27

 

今日は少し時間があるので今のうちに!

 

最後まで転載できるかな?←何に挑戦だ? 

 

 

 

 

 

************** 

 

 

___なんで?何?どうなってるの?陛下~~~~~~。___

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、白陽国正妃である桜華は朝から落ち着きがなかった。

やっと本当に愛しい人である、と気が付いた黎翔と会えるのではあるが、場所が謁見の間。

しかも時間も知らされず、兎に角呼ばれたら来るようにとの言伝である。

正妃の殿入口並びに周囲には護衛兵と呼ばれる兵が常駐しており、抜け出すことも、また誰も入り込むこともできず、母国から連れてきた数名の侍女と共に殿に半ば軟禁状態であった。

 

その為、後宮の片隅がいつもより騒がしかったことも気が付かず、侍女たちのいつもにはない弾むような声を聞くこともなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「陛下。そろそろ良いかと思います。」

 

李順は眼鏡を光らせて黎翔に拱手し頷いた。

 

「ふっ。やっとここまで来たか。」

「はい。全く、使わなくてもよい時間を無駄に使ってしまった気はしますが。」

「言うな。仕方あるまい。わかっている。」

 

黎翔は苦笑いを浮かべつつ、愛しい娘との出会いから今までを思い浮かべ知らず優しい笑みを浮かべた。

 

「陛下。その顔はいけません。隠してください。」

 

先程まで拱手していたが、態を崩した黎翔に口元を歪ませて注意を促す。

 

「わかっている。お前はうるさいな。」

「これが私の仕事ですから。」

 

しれっと言われては何も言い返せず、黎翔は狼陛下そのものの表情に戻した。

 

「では、参る。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「国王陛下の御成りです。」

 

先導を務める侍官の声が謁見の間に鳴り響くと同時に黎翔が国王の正装を身に纏った姿で現れ悠然とした動きで玉座に座った。

その姿を見て、何も知らされず謁見の間に呼ばれていた大臣、高官らは目を見張った。

国王の正装は国賓が来た時や宴、儀式の時くらいのものである。

特に黎翔の代になってからは華美を嫌う傾向にあるため、正装といって略装も多かったのだ。

 

一体これからこの部屋で何が行われるのか。

皆は小声で囁き始めた。

 

「御正妃様の御成りです。」

 

黎翔が謁見の間に来て暫くすると正妃付きの侍女の声が響き、正妃である桜華が謁見の間に姿を現した。

こちらも正装ではないものの、常より着飾られており、黎翔に久しぶりに会えるという喜びを表していると言えなくもなかった。

がしかし、桜華の心中はそれどころではなく、少し目立ち始めた腹を幾重にも重ねた衣で隠し、肌色の悪さを隠すために濃い目の化粧を施し、装飾品で飾り付けることで皆の目線を眩ますことに侍女が躍起になった、その成果であっただけである。

 

桜華は居並ぶ大臣達の間を真っ直ぐに先導されたまま黎翔の足元まで進むと拱手し頭を垂れて黎翔の言葉を待った。

本来ならば桜華は正妃である。

黎翔に拱手をする必要はなく、玉座の傍にある正妃の座に座れる立場にあるはずである。

しかし今日はそこには正妃の座はなかった。

それに気が付いた大臣達はまたもやざわめき始めた。

 

____正装で迎えた相手は自国の正妃であるにも拘らず正妃の座がないというのは・・・。

 

ヒソヒソと小声で囁かれている内容ははっきりとは聞こえないものの、桜華を貶めるであろう内容であろう事は間違いないであろう。

桜華は全身が震えるのを口元を噛み締めて我慢しようとしたが叶わない。

拱手したままふらついた桜華を両側から侍女が支えた。

 

「その場で座って良いぞ。身体に障るであろう。なぁ、桜華?」

 

ふらついた桜華に、言葉は優しいものの冷たい氷のような響きで口を開いたのは黎翔であった。

 

「・・・申し訳ございません。座らせていただきますことお許しくださいましてありがとうございます。」

 

いつにない桜華の黎翔への丁寧すぎる物言いに白陽国の臣下は驚きを隠せない。

桜華の黎翔に対する態度は不敬に当たるのではないかと思うものも多かったのだ。

それが許されるくらいに黎翔の寵愛を受けているのだと皆に奢り誇っていた桜華の態度の変化。

 

____只事ではない・・・。

 

桜華と同様、謁見の間に居並ぶ臣下達もまた、口を引き結び、事の成り行きを黙って見守っていた。

 

「して、我が正妃・・・いや、桜華よ。誰の子だ?それは?」

 

黎翔は玉座に座ったまま、脚を大きく組み、酷薄な笑みを浮かべながら言った。

 

「・・・。」

 

対する桜華の震えはどんどん大きなものになっていく。

 

「答えられぬ、か?」

「・・・。」

「良かろう。では、お前たちに問おう。我が白陽の民である臣下よ、正妃の腹に居るべきなのは誰の子だ?」

「勿論、陛下の子であるべき、で御座います。」

 

間髪入れずに柳大臣が立ち上がって答えた。

 

「ふむ。では、桜華。もう一度問おうぞ。その腹の子は誰の子だ?」

「・・・れ、・・陛下の御子でございます。」

「では、氾大臣に問おう。私は桜華が戻ってきてから正妃殿に通ったか?」

「・・・。」

「氾、答えよ。」

 

暗に氾が正妃の殿を監視していたことを知っているという事を示唆した問いに顔を強張らせながらもいつもの飄飄とした笑みを湛えたまま答えた。

 

「・・・通ってはおりません。裏は取れて御座います。」

「ふっ。役に立ってよかったな、氾。」

「・・・御意。」

 

妃放逐後、今度こそ紅珠を後宮入りさせるため期を伺っていたが、これで釘を刺された形になり頭を垂れたまま口元を歪ますことしかできない。

柳大臣がこれぞ好機とばかりに追及を始めた。

 

「では、御正妃様は懐妊なさってはいるが御子は陛下の御子ではない、ということで間違いないわけですな。」

「そういう事になろうかと。」

 

幾分気を取り直して氾大臣が答える。

両大臣のやり取りを聞いて他の大臣、高官たちの目が桜華の腹に向けられた。

 

____腹は出てないぞ。

いや、誤魔化しているのではないか?

中には産み月まで目立たぬ者もいると言うぞ。

ならば誰の子だ?

陛下の御子ではないようだぞ。

誰ぞ後宮に引き入れたのか?

いや、相手は白陽の者ではないかもしれぬぞ。

そうだ、暫くお国に帰られておられた。

 

臣下達は思う思うに考えを口にし、謁見の間はさながら井戸端会議の様相を見せていた。

 

「~~~お、御子は陛下の御子です!」

「見苦しい。お前も王族だろう。身の振りを考えよ。」

「わ、私は陛下を真に想っております!その私が他の者の子なぞ宿すわけが御座いません!陛下!お判りでしょう?」

「お前の想いなど煩わしいだけだ。よくも我が国を謀ってくれたものだ。軽く見られたものよ。なぁ、柳よ。」

「とは、どういう意味でしょうか?陛下。」

 

後宮を本来の姿に整える様再三進言した柳大臣は臣下の礼を取って次の言葉を待った。

 

「・・・。」

 

謁見の間に沈黙が流れた。

 

カツンッ!

 

玉座に座る黎翔の顔の横ぎりぎりを通り後ろの壁に矢が刺さった。

 

「何者ぞ!」

「陛下を狙うとは、不届き者を捕え!」

 

臣下は我先に手柄を立てんと立ち上がった。

 

「皆の者、大事ない。これは我が手による物だ。しばし待て。」

 

よく見ると刺さった矢には文が縛り付けられていた。

傍に控えていた李順が弓ごと黎翔に渡すと文を解き読み進めた黎翔に酷薄な笑みが浮かぶ。

 

「これはお前の祖国、輝蘭国へやった者からの文だ。と言っても、文を書いたのは其方の父王だがな。」

「えっ?な、なんと・・・。」

「ふむ、聞きたいか?ならば仕方ない。読んでやろう。ここにはこう書いてある。皇女桜華は亡くなった、とな。」

「はっ?それはどういう・・・、そんな、馬鹿な!!」

「お前はもう自国の皇女でも何でもないそうだ。」

「ま、まさか、父上がそんなことを言うはずなない!私には父上の子が居るというのに!!っ!!」

「・・・という事だ、柳。お前だったな。輝蘭との縁談を強く勧めていたのは。」

 

黎翔の声が冷たく謁見の間隅々にまで響く。

機会を見て再び縁の者を後宮に入れたかった柳もまた氾同様釘を刺された形になった。

 

「・・・はっ。」

 

そのやり取りを聞いていた桜華の侍女たちは崩れ落ち、青ざめ気を失うものもいた。

謁見の間に立ち並ぶ臣下は輝蘭国の暴挙に陛下がどうするのか考えて青ざめ口を引き結ぶことしかできない。

 

「よくも我が国を謀ってくれたな。まぁ、良い。これは良い機会だ。なぁ、柳、氾両大臣よ。急ぎ収拾に当たれ。我が白陽の為全力で仕えよ。良い知らせを待つ。」

「「御意!!」」

 

「さて、桜華。お前はどうする?輝蘭はもうお前は要らぬらしい。戻りたいと言うなら戻っても良いぞ。」

 

今日初めて黎翔は狼陛下の甘く優しい笑みを浮かべ問うた。

 

「・・・れ、陛下。私は貴方を嘘偽りなく愛しています。どうか、御傍においていただけないでしょうか?」

 

黎翔の笑みに幾分緊張が解けた桜華が頬を赤らめて見上げながら言った。

 

「降格をしてもか?」

「・・・。はい。貴方の傍に居られるならば。お願いします。御慈悲を。」

「祖国に戻った方が幸せではないか?」

「いいえ!いいえ!この地に居たいのです!!」

「・・・ほう。この白陽にか?」

 

父王が自分を死んだというのなら、戻ったとしても間違いなく命はない。

それならば、愛しい人のいる国に残りたいと思った。

受け入れられそうな気配を読み、桜華の顔に希望の光が浮かんだ。

 

「はい!」

「ふむ。なれば、妃位は剥奪、輿入れした事実は抹消の上処遇が決まるまで王宮で待機せよ。」

「は、はい!ありがとうございます!!」

 

黎翔は酷薄な笑みを浮かべると頷いた。

 

「衛兵!!この女を連れて行け!!」

「はっ!!」

「え?衛兵?なんですって?どうして私が!!王宮待機と仰ったではないですか?」

「ああ、王宮、と言ったのだ。我が臣下でも民でもないものが王宮待機と言ったら牢に決まっておろう?」

「だ、騙したな!!」

「騙してなど居らぬ。其方が勝手に思い違いしたのだろう。私がその子を腹に宿した其方を許すと本気で思ったか?甘く見られたものだ。・・・連れて行け。」

「いや~~~~!!!!!黎翔~~~!!!」

「二度と私の名をその口で紡ぐな。次は頭と胴が離れると思え。」

「~~~っ!!」

 

錯乱状態に陥った桜華は両脇を衛兵に抱えられ引きずられるように謁見の間を後にした。

そして、輝蘭国から桜華と共にやってきた侍女たちもまた衛兵に引き連れられていった。

 

 

 

*************

 

 

 つづく

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