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道程29

 

さぁ!最終回ですよ!

 

 

 

***************

 

 

「駄目ですったら駄目です!!もったいないです!!」

「で、でも夕鈴!!!」

「でも、も何もありません!兎に角駄目です!」

「・・・」

 

ああ垂れた耳と尻尾が見える気がする・・・。

でもここで私が折れたら国庫が怖い、と言うか李順さんが怖い、気がする。

 

「と、兎に角!私は下町で出産します!大袈裟です!産所とかいりませんからね!最初からその予定ですし。」

「でも、やっと皆に認めさせたし、夕鈴の居場所を取り戻したんだよ?」

 

尻尾をぶんぶん振って褒めて、褒めてと上目遣いで覗き込まれる。

でも、でも、でも・・・。

 

「それについては、ありがとうございます。とても、本当にとても嬉しいです。陛下の御傍に居られるなんて、幸せすぎます。ですが、陛下・・・。」

「・・・陛下・・・。」

「あ、いえ、黎翔様。」

「なぁに?夕鈴。」

「後宮を全て解体して建て直す、と言うのは贅沢すぎます。」

「そうかなぁ。他の妃なんか娶らないという意思表示にもなっていいと思うんだけど?」

「それは・・・そうですが、あの、必要箇所だけ残して壊すことは出来ないでしょうか?それか、何か他に使うとかですね。建物自体は素晴らしいのですからもったいないです!!」

「ふ~ん。じゃあ何かないか考えてみるよ。で、夕鈴は帰ってこないの?」

「こちらだと王宮にいらっしゃる侍医の方しかおりません。産婆さんを連れてくるにも、下町にも妊婦さんはいっぱいいらっしゃいますし、私の為に独り占めすることは出来ません。」

「一国の正妃だぞ。何よりも大切にされるべきだ!国母になるんだよ。」

「いえ、正妃だから、です。大切な民であり、これからの白陽を担う者を生むかもしれない女性の皆さんが安心して出産できないなんて、私、嫌なんです!」

「・・・夕鈴。」

「我儘なのはわかっています。黎翔様が心を砕いてくださっているのもわかってるんです。貴方の傍に居たい。でも・・・。」

 

本当はいつも黎翔様の傍に、近くに居たい。

でも、お世話になった下町の皆の為にできることはしたい。

黎翔様が少しでも悪く言われるようなことはしたくない。

私が陛下のお嫁さんに無事になれる様応援してくれた皆に御子を見せてあげたい。

黎翔様に無事に御子を抱かせてあげたい。

 

色々な気持ちが溢れて考えが纏まらずに涙が溢れだすと黎翔様がギュッと抱きしめてきた。

そのまま頭のてっぺんに口付けされる。

顔を上げて恐る恐る目を合わせると鮮やかに笑う貴方がいた。

 

「わかったよ。君は今まで通り、下町で出産に備えてくれて良い。但し、出産後は落ち着いたらすぐに戻ってきてね。」

「へ、陛下~~~~あ、ありがとうございます。」

「もう、僕ってどんだけ君に甘いのかな。でも、我が民も心優しい后を持って幸せと言うものだな。だからこそ君だ。」

「~~~~~。」

「ほら、もう泣かないで。僕もこれまでと同じように君のところに帰るよ。出産までもう少しだし、ね。」

「す、すみません。ご負担をおかけしてしまって。」

「ん~。でも僕、君に振り回されるの結構好きなんだよね。」

「な、なんですか?それ。私がいつも振り回されていると思います!!」

「君ほんとわかってないよね。」

「それはそっくりそのまま黎翔様に返します!」

 

そう言うと二人で笑って、優しく黎翔様の腕に囚われて胸に顔をうずめる。

 

「黎翔様、大好きです。」

「うん。夕鈴、愛してるよ。」

「わ、私も、あ、あ、愛してます・・・。」

 

耳まで熱を持ったかのように熱く感じる。

 

____カプッ。

 

「へ、陛下~~~~。」

「だって、美味しそうに色づいてたから。」

「だからって、耳、耳、~~~~~。」

「あははは。」

 

やっぱり陛下には適わない。惚れた弱みってやつかしら。

でも、これでいいと思う自分もいて。

一生お互い振り回し、振り回されていくのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして私は下町に戻った。

 

私の出自を明らかにしたのに、紅珠は是非会いたいと下町までやってきた。

私を見るなり抱き付いて来て、泣きながら会えて嬉しいと何度も言って、二人で泣き笑いした。

身分なんか関係ない、私が私であればそれでいいと、黎翔様のようなことを言ってきた紅珠の話を聞いて、後で黎翔様がやきもちを焼いたことは彼女には内緒だ。

 

出産まで何度も訪ねてきた紅珠が妄想を爆発させ、『ある王国の王と正妃の出会いの物語』なるものを執筆し貴族の子女の間で爆発的な人気を博したのはまた別な話。

 

でもそれの影響か、下町に来る貴族子女が増え、それを狙った貴族の子息もやって来て下町はとても賑わいだした。

身分の違う者同士の交流が少しずつ増えて、中には恋仲になっている者たちもいると言う。

 

そうなってくると今度は基本的な教養を下町の女性に教える所も出て来て、下町には学問ブームのようなものまでできた。

 

「黎翔様、あの、ちょっと友達に・・・。」

「ん?」

「女性の為の学問所があったらいいねって、その、陛下にお話しできないかと頼まれまして・・・。あの、すみません!やっぱりいいです!聞かなかったことにしてください!」

「ああ、大丈夫だよ。最近の下町の動向は僕の耳にも入ってきている。僕は官吏の道を全ての民に開いたのは、ゆくゆくは民全体に学ぶ機会を与えたかったからだ。既に女性にも最低限の学を修める環境を整えるべく指示してある。・・・でね、夕鈴。」

「はい?」

「前、言っていたでしょう?後宮の要らない所を何かの役にって。」

「はい・・・あ!」

「うん、後宮は女性しか入れないからね。女性専用の学問所を作ろうと思うんだ。そして、後宮で働きながらであれば無料で授業が受けられるようにしようと思ってる。そうすれば身分や収入に関わらず沢山の民が学べるだろう?」

「わぁ!陛下!すごいです!!それは素敵です!!皆喜びます!!」

「うん、そうだといいな。君にも喜んでもらえたようだし。」

「はい!!」

 

そんなこんなで民の間にいろいろな変化をもたらした二人の成婚はすっかり国民に支持される様になって、古狸どもは寄る年波には適わず、変化に付いていけずにすっかり隅に追いやられてしまう事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして____。

 

 

 

「おぎゃー、おぎゃー。」

「はっ、はっ、はぁーーー。」

「よく頑張ったね、夕鈴ちゃん。ほら、見事な御子じゃよ。」

「あ、おばさん、ありが・・・あ、男の子。」

 

生まれたての御子を産婆さんが夕鈴に見せると夕鈴は涙をつーっと一筋零して綺麗な笑みを浮かべた。

 

長かった。

 

臨時花嫁となって、恋を知り。

無理やり身体を繋げられ、それでも愛しくて大切で護りたかった人と心を通わせることができた奇跡。

そして今、大切な宝物をこの手に抱くことができた。

 

道程は遠く、間違えたかもしれないけれど、これから先は間違えない。

 

ずっと共に____。

 

馬の駆けてくる音が響く。徐々に産所に近づいてくる。

 

愛しいあの人がやって来る。

 

「夕鈴!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

道程 完

 

 

 

************

 

 

おしまいっ!

 

長編にお付き合いくださりありがとうございました!!

 

番外編と、本当の初夜話もあるんですけど読みますか?

 

読まないって言われても近日公開予定!!(#^.^#)

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コメント

ああ!何度読んでも感動が蘇る!!

愛しい人の名を呼ぶ陛下で終焉。
このドラマティックな話にあまりにも相応しくて、初めて読んだ時に唸ってしまいました。
感動する話に出会うと、涙が出るよりも雷に打たれたようになってしまうんで(汗)

長編の転載お疲れ様でした♪
勿論番外編も待ってますとも!
読みたいっ!
おまちしておりまする。
ついに最終回まで!(*´艸`)
一気に転載されるから読むのに忙しいですよ…!←嬉しい悲鳴
アチラで何度も読みました。
でもまた読んでる!そしてこれからも何度も読みます❤︎

悲しみから大逆転のハッピーエンド、大好きです。素敵なお話をありがとうございました!
やっと読めました (*´-`*)
向こうでまんまるこさんのお話読み漁った時を思い出しましたヽ( 'ω' )ノ

やっぱりこのお話も素敵!
番外編他楽しみにしています(*゚▽゚)ノ
私も何ッッ回も読みました〜!
でも何回目でも、夕鈴のツラさに序盤はガチ泣きかましますww
でも甘くなって、幸せになって…、もうほんとに大好きです!このお話!
そもそもまんまるこさんのお話は全部大好きではあるんですが!

近日公開!?やったあああ\(//∇//)\
novello様

久しぶりにのべさんの名前ちゃんと書きました←
コメントありがとうございます!!
そんなに褒めてもらえたら嬉しくてすぐに木に登ってバナナ食べますよ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
そして上からのべさんに雷を落とします〜♪(´ε` )
避雷針にはなりませんよ←話がずれてる

やっと転載が1つ終わってホッとしております。
またのべさんに雷を落とせるようなお話が書けるよう頑張ります!!
ありがとうございました!!( ^ω^ )
くみ様

はーい!!
早めに持ってこれるよう頑張りまする!( ´ ▽ ` )ノ

こっちにも来てくれて嬉しいです〜(≧∇≦)
さり奈 様

うわーん、コメントありがとう〜(≧∇≦)
頑張ったよ!私、頑張った!!←自分で褒める

ちょっと時間が取れたので一気に載せました。
少ししか手直ししてないのにまた読んでくれるなんて嬉しい!!
何度も!何度でも!!なんて嬉しいお言葉!!(T ^ T)←嬉し泣き

また頑張ってあれとかこれとか転載します!!
リクのあれ、先に持ってきたらみんなビックリするかなぁ、とか思いつつ(≧∇≦)

ありがとうございました!!
花愛 様

コメントありがとうございます!
みんなまた読んでくれてるみたいで嬉しいです☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
って、私も忘れてて←読み返しながら手直ししてたんですが、長いよ、自分…とか思いながら(⌒-⌒; )

素敵って言っていただけて嬉しいです(≧∇≦)
みんな私がすぐに木に登るの知ってますね?
この調子で番外編も早めに持ってこれるよう頑張ります!!

ありがとうございました!
志緒様

コメントありがとうございます!
なんっ回も?ありがとうございます〜(T ^ T)←感涙
ガチ泣き!!( T_T)\(^-^ )
でも嬉しいお言葉です。
夕鈴の心情がうまく伝えられているのかな?って思うと嬉しいです。
話全部大好きなんて…やだっ!照れるじゃないですか\(//∇//)\
うがー、嬉しい!!♪───O(≧∇≦)O────♪←踊りだした

番外編も早めに持ってこれるよう頑張ります!
ありがとうございます!!
はじめまして。長編 お疲れ様でした。
このお話は とても読み応えがありました。
番外編や諸々も 楽しみにしています。
みかんママ様

コメントありがとうございます(*^^*)
読み応えありましたか?
嬉しいです♪───O(≧∇≦)O────♪

番外編も早めに持ってこれるようがんばります!!
長編にお付き合いくださりありがとうございました!

でも、次はもっと長いんだよね…
連載するごとに何故か長くなる謎…???
またお付き合いくださると嬉しいです(*^^*)

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