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道程 番外編 その後

 

これは確か、SNSでキリ番リクエストで書いたものです。

 

是非、道程のその後が見たいです、と。

 

ウキウキして書いたのを覚えています。

 

何故か話が長くなるタチなので、一話なのですが長いです。

 

お時間が許すときにでも読んでくださいませ。 

 

 

 

 

 

 

***************

 

 

 

 

「ゆーりん・・・。」

 

王宮に王の寂しそうな声が響いた____。

 

 

 

 

************

 

 

 

 

 

「夕鈴!」

 

黎翔が産所に駆け付けた時、夕鈴は既に宝物を産み落していた。

 

「間に合わなかった・・・。」

「そんなに落ち込まなくても・・・。黎翔様は尊き御身です。本当ならこんな所に来れないんですよ?」

 

子を産む場所は穢れとされ、王が立ち会うなどもってのほか。

それどころか通常入ることも禁じられている。

 

「だって・・・。折角皆と同じように産むのならば、傍に居たかったんだ・・・。」

 

耳を垂れ尻尾をしょぼんと垂らした幻が見え夕鈴は苦笑いする。

 

「もう!黎翔様はどこまでも私を甘やかして!子を産むのは女の仕事です!信じてないのですか?」

 

口を尖らせて横になったまま見上げてくるお嫁さんが可愛くて、黎翔はそっと額に口付けを落とした。

 

「信じてるよ?でも・・・心配なんだ。」

「もう!・・・あり、がとうござい、ます。」

 

どちらからともなく手を繋ぎ指を絡ませてぎゅっと握り合い微笑む。

夕鈴の規則的に上下する胸の上で幸せそうに眠る子を、暫く二人で見つめ続けた。

 

 

 

 

 

「夕鈴。ありがとう。」

「え?」

「僕に家族をくれて。」

「・・・。」

「うーん、なんか違うな。えっと幸せな日々をくれて、かな?」

「黎翔様・・・。」

「警備は増やしてあるけど、心配だし寂しいから、早く帰って来てね?」

「はいっ!わ、わたし、も、・・・寂しい、です。」

 

最後は口ごもって小さな声になってしまっていたけど、頬を紅く染めて嬉しそうに微笑んでいる彼女は相変わらず破壊的に可愛い。

子を今さっき産んだというのに相変わらず初々しくて清らかさはそのままで。

だけども慈愛に満ちた瞳にはどうやっても勝てそうにないくらいの威力がある。

彼女にこれからも翻弄されるだろう未来を思って1人溜息をついたのは内緒だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

生まれた子は男の御子だった。

世継ぎが生まれたことは、夕鈴とそのお腹の御子を守り続けた下町にあっという間に伝え広がり次から次へと言祝ぎが届けられた。

老師があまりもの嬉しさから小躍りしてまた腰を痛めたのはまた別の話。

 

黎翔譲りの漆黒の髪に王族の証しである紅く輝く瞳。

名を章翔と名付けられた。

夕鈴が生まれ育ち、また守ってくれた優しい皆がいる場所である章安区。

そこで生まれた王族である息子に、素晴らしい民が付いていることを覚えていて欲しい。

民がいてこその王族であることを忘れないで欲しい。

その想いから二人で相談して授けた名であった。

 

下町の住民は夕鈴が自宅に戻ってからも精を付けろと毎日何か食べ物が届けられ、夜泣きが酷いと少しの時間でも寝れるようにと御子を預かってくれた。

時には浩大がちょっとアクロバティックにあやしたりして夕鈴に雷を落とされることもあったのは御愛嬌だ。

夕鈴は後宮にいる時並にのんびりできたし、章翔も皆の愛情に包まれすくすくと育った。

 

黎翔は相変わらず政務をするために王宮に通い、なるべく二人と共に過ごせるよう精力的に政務をこなしていた。

 

 

 

はずだった____。

 

 

 

 

 

***********

 

 

 

 

 

____数か月後。王都乾隴章安区。

 

「ゆーりん、まだ帰ってこないの?」

 

この国の王は難攻不落の正妃(予定)に手をこまねいていた。

 

「だって、私だって帰りたいんです!せ、正式に、黎翔様のお、お、お・・・。」

「お?」

「お、・・ふぅ。お、奥さんにな、りた、い・・・です。」

 

顔を真っ赤にして涙を瞳に湛える夕鈴に嗜虐心が湧く。

思い通りにならない彼女をどうしてやろうかと瞬時に憂い想いが頭をもたげ彼女の腰を攫い何時もの様に膝の上に誘い腕で囲い込んだ。

 

「れ、れ、黎翔様~~~~~?」

 

目をぐるぐる回して必死に手で囲いを破ろうと押してくるけど構わない。

逃がす気などないのだから。

そのまま旋毛に口付けて、驚いた拍子に上げた顔にも口付けを落とす。

片方の色付く頬に逃げられないように手を寄せて、震えるまつ毛に何度も口付けを落とす。

恥ずかしそうに真っ赤に染まった鼻にもちゅっと吸い付く。

 

「やっ!」

 

拒絶するような言葉を発した柔らかく色付く唇は塞いでしまうに限るだろう。

彼女が身を捩って逃げようとするのを押さえつけ、頭の後ろを手で押さえて固定すると拒絶する言葉ごと絡め取るように唇を重ねた。

角度を変え何度も何度も、わざと音が鳴るように口付ける。

何か言いたそうにもごもごしている唇の隙間から舌を挿し入れ、僕しか知らない彼女の内側に侵入する。

長い間触れていない場所を彷彿とさせて身体の中心が疼きだす。

 

____欲しい。

 

彼女を思うままに蹂躙し味わい尽くし啼かせたい。

止めてと艶を帯びた熱い目で懇願されそれでもやめてやれないだろう自分が容易に想像できて笑みが零れる。

 

____おぎゃー!ふぎゃー!

 

聞こえた瞬間それまで蕩ける様な顔で僕に身を預けていた君の瞳が見開かれ、ドンっと胸を強くおして膝の上から飛びのいた。

 

「ゆ、夕鈴・・・。」

「あ、や、う、・・・。うわーん。」

 

真っ赤な顔で口元を両手で押さえると正に脱兎のごとく章翔の元へ去って行ってしまった。

 

「ゆ、ゆーりん・・・。」

 

孤独な狼は柔らかく温かい兎を寸でのところで逃がしてしまい、息子にまで悋気を抑えきれない自分を持て余していた。

 

 

 

 

 

***********

 

 

 

 

 

「陛下。この案件は?」

「ああ、急ぎ取り掛かれ!もう待てん!」

「・・・これを、急ぎで?」

「ああ。」

「・・・。」

「方淵と水月にさせよ。他の案件は一切回すな!」

「・・・はぁ~。御意。」

 

黎翔の鬼気迫る様に側近の李順ですら意見をいう事が憚れ、と言うか、馬に蹴られてなんとやらになるのも面倒くさいと思い補佐官にそのまま投げることにした。

 

 

 

 

 

そして今日も王は下町の愛しい妻の元に通う。

 

「夕鈴、ただいま!」

「だからね、なんでそうなるの?」

「・・・。ゆーりん・・・。」

「どうして泣き寝入りするのよ!付けあがらせるだけだわ!私が行って・・・。」

「我が妻は愛しい夫をほったらかしにしてどこへ行くと言うのだ?」

「へ?あ、れい、李翔さん!すみません、気が付かなくて・・・。」

 

勇ましく握り拳を作って掲げた彼女の前には見たことのない少女がいた。

僕の存在に気が付かず雄弁に語っていた夕鈴の表情から赤みが消えたと同時に、その女の子も俯き青ざめ震えだした。

ここでは一応温厚な李翔で通しているが、当たり前に皆が黎翔を狼陛下だという事を知っている。

 

「あの、その、申し訳ございません。相談に乗っていたもので、つい・・・。」

「・・・。」

 

言い訳を始めた夕鈴に何も言わず近付くと腰を攫い腕の中に閉じ込め有無も言わさず唇を奪う。

一度重ねると歯止めが利かず腕の中で可愛い抵抗を試みる夕鈴を更に強く抱きしめ薄く開いた唇の間から侵入する。

歯列をなぞり舌先を尖らせて上顎をすっと撫でると夕鈴の腰が揺れ出した。

その様に煽られ唾液を全てなぞり取るように咥内を舌で蹂躙し吸い尽くす。

隠れて密かに震えている夕鈴の舌を見つけ出し己の舌で絡めとり吸い付き撫でると夕鈴がかくっと膝から崩れ落ちた。

唇をそっと離すと美味しそうに色づく頬に口付けを贈り抱きかかえた。

突然の刺激に気をやっている彼女をいいことに抱き上げ、先程まで相談に乗っていたと言う少女に目をやると口をあんぐりと開け真っ赤になって固まっていた。

まだどちらのかわからない唾液が口元に残っていたのを思い出しペロリと舐めると努めて優しい笑みを作った。

 

「ごめんね。また明日来てくれる?」

「っ、す、・・も、申し訳ございませんでした~~~~~~~~!!!!!」

 

少女が出て行ったのを確認してから長椅子に座り彼女を膝の上に下ろしてその温もりを確かめながら棒茶に輝く髪を指で梳いた。

 

「へ~か~、ちょっとやりすぎじゃネ?」

「・・・うるさい!」

「正妃ちゃん(予定)が相手してくれないからってさぁ。」

 

言い終わるのが早いか否か浩大の耳元すれすれに小刀が飛んでくる。

 

「・・・死にたいか?」

「いいえ!」

「わかればよい。警戒は怠るなよ。」

「リョーカイ!」

 

相変わらず一言多い隠密は狼の冷気に晒され早々に気配を消して闇にまぎれた。

 

 

 

 

 

黎翔の機嫌は最悪だった。

王宮ではブリザードが吹き荒れ、例の件を任された水月と方淵は魂が抜ける一歩手前でどうにか踏みとどまっている状態であった。

それと言うのも、二人が急ぎその案件を纏めない限り自らの安寧も訪れないと分かっている官吏達は全員が一丸となってその案件に協力していたために倒れずに済んでいるという綱渡りの状態であったのだが。

先の粛清の件で狼の唯一が王宮に現れなくなってからの黎翔の機嫌は下降の一途を辿り、今やお小言を言うのが仕事の李順ですら何も言えないほどとなっていた。

下町で安全に守られ、日々黎翔は通っていると伝え聞いているのに黒いオーラは一向に減ることなく増え続ける。

それを危惧した官吏達により補佐官2人は支えられ、通常にない速さで草案を仕上げた。

 

「陛下、これを。」

 

目の下に真っ黒に隈を貼り付けた人身御供となった方淵と水月が青ざめながら精魂込めた書簡を差し出す。

黎翔はゆっくりとそれを受け取るとばさっと卓に広げいつも以上に真剣な面持ちでそれを読み進めた。

黎翔が時折眉間に皺を寄せるたびに補佐官2人の背に嫌な汗が流れ、様子を伺う官吏達は震えあがる。

 

いつにない緊張を強いられる時間は静かに流れた。

 

 

 

 

 

「ふむ。悪くない。」

 

黎翔の満足げな声に2人は顔を上げた。

 

「この短期間でよくここまで仕上げた。ご苦労であった。では急ぎ発布、そして施行の準備に移れ。施行までは最短期間で行け。」

「「御意!」」

「それから、いつでも追加、訂正ができるようにしておけ。まだ手探りの案だからな。より良いものにしていくぞ。」

「「はっ!!」」

 

その時黎翔の顔には久しぶりに笑みが浮かび、王宮の温度は大分上がったと言う。

外に控える官吏達も安堵し歓声が上がる。

2人に対し、次々に労いの言葉や感嘆の声が上がる。

 

政務室が1つになった記念すべき日となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____数か月後。

 

其れほど時を待たずして二人の仕上げた法案が施行された。

それは白陽国初の民法であった。

民同士の諍いを法的に判断しようとしたもので、相談所をはじめとし、調停する場を設ける等、誰の目から見ても判断理由を明確にし、感情を介在させない、客観的に判断する場を作り上げた。

一から作り上げたそれは、新しい諍いが起こると協議が持たれ、新しく法を付けたし整備する成長する法律であった。

 

それが整備されるにつれ、商売上でも善悪が明確化されたことにより、白陽での商売はやりやすいと評判になり物流が盛んになる。

売買契約や婚姻等、今までならば泣き寝入りしていたところにも幅広く対応した法律は人の流入も促した。

元より、庶民出の正妃、しかも唯一と王が宣言する国であったため、次第に身分制度の廃止へと動いていく。

広く開かれた王室を自然に作り上げたため、他国からの視察も多く、交流も盛んであった。

 

こうして、冷酷非情と揶揄され、一人孤独に生きていた狼陛下の世は、温かく慈悲にあふれた施政を行ったとして、後世広く賢王として慕われ続けることになる。

また、その隣でいつも慈愛に満ちた表情で王を支える正妃の数々の元気すぎる逸話も数多く残される。

 

 

 

 

 

その全ての始まりが、王の悋気から始まっているなどとは誰も知らない。

 

 

 

 

 

夕鈴がその人の好さから下町で巻き起こる問題のあれこれに首を突っ込み次々と解決に導く様に、次から次へと相談がひっきりなしに来て後宮に戻れないことから始まった立案。

 

「ふぅ、これで名実ともに我が妻だ。」

 

1人胸を撫で下ろした王がいたことは歴史には残されていない。

 

 

 

 

**************** 

  

 

 

こうして陛下はかけがえのない人をその腕に取り戻し、温かな国政を執り行い素晴らしい賢王になったのでした。

  

夕鈴がいないとだめだと思うの。

 

いなくてもきっと夕鈴を思っていろいろ決めると思うけど。

 

そんなもやもや陛下も見てみた気もしますね(●´ω`●)←いぢわる

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コメント

こちらでこのお話を全部読めて幸せでした。連載時のドキドキ感を思い出しつつ・・・。次はあの長編でしょうか?
ますたぬ 様

お付き合いくださりありがとうございます!
幸せを少しでも届けられたなら嬉しいです(*^^*)

次はあの長編をと思っていたのですが、ちょっと会長のリクが来ているので、そっちを先に転載するか迷っています。
このお話の後に会長ってどうなの?と思いつつ。
もう数日悩もうと思います(⌒-⌒; )

いつもありがとうございます!
このコメントは管理人のみ閲覧できます
ますたぬ 様

嬉しい~( *´艸`)
ここにも会長のファンが!!すんごくうれしいです!!
そう、わたしもぴゅあ会長を忘れていて、こないだ気が付いたんですよ←
もちろんこっちに持ってきますよ(#^^#)
やっぱり最後はああなっていかないと嫌ですものね(●´ω`●)

転載頑張ります。
このコメントは管理人のみ閲覧できます
ボナ 様

コメントありがとうございます!
励みになります(#^^#)

夕鈴に的を絞った後の陛下は甘えん坊だしきかんぼうだし、子犬全開でしたね~。
酷いことした自覚があるから強く出れなかったんでしょうね。
長いお話に付き合ってくださりありがとうございます!
一人時間を少しでも楽しく過ごすお手伝いができていたら嬉しいです(●´ω`●)

次回転載予定はちょっと毛色の違ったお話で本誌沿いが好きな方にはちょっと苦手な方もいらっしゃる、鬼畜会長が出てくる現パロの予定です←すでに意味不明
リクをいただいているので、こちらで公開したくて、先に転載させていただく予定です。
もし苦手でしたら避けてくださいね(;´∀`)

その後本誌沿いパラレルを持ってくる予定です。
これもまた長いんですよね・・・(-_-)

少々お待ちくださいませ!

あと、リレーはまだ先かなぁと・・・
でも続けますので待っててくださいね!
このコメントは管理人のみ閲覧できます
ボナ様

…ただの現パロじゃないので、ドン引きされたらすみません(o_o)
先に謝っておきます。
賛否両論あるので…
わたしはもちろん気に入ってますけどね( ̄▽ ̄)

もしもこちらに持って来た際は十分注意してお進みくださいねf^_^;

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