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柔らかく優しく甘く⑤

二人が一緒の場面を早く書きたくて、むきになって続きを書いていたのを思い出しました(#^^#)

 

あ、注意書きに書いたかな?

 

もちろんハッピーエンドですから!!←今更

 

さぁ!殿も回復したので仕事だ~((+_+))

 

今日も一日がんばりましょう!!(●^o^●)

 

 

 

 

 

*************** 

 

 

 

それからの日々はめまぐるしく過ぎていった。

 

日中は李順様のお妃教育があった。

所作は仕方ないとして、貴族と庶民では礼儀作法一つとっても違いがあるらしく、学の無さにため息をつきながらも根気強く教えてくださった。

眼鏡が光るととても怖い人だったが、思ったことをズバズバ言ってくるのでかえって気持ちいいくらいだった。

恐ろしく細かく、貴族の子女の高スキルを何故身に付けているのかは疑問だけど。

 

老師はというと、後宮の歴史とか在り方とか、陛下にとってのお妃様の位置づけとか。

まぁ兎に角、後宮の話で知らないことはないんだそうだ。

李順様に許可を貰い掃除をしていると必ずやって来て、そんな事よりも陛下を癒して差し上げろ、とか、どうやって誘惑するか、とか、おおよそ李順様が聞いたらメデューサ化しそうなことばかりを声高に叫んで邪魔をしてきた。

でも、私が偽物だとわかっている分軽口が叩ける相手だったので気が楽と言えば楽だった。

 

隠密だという大ちゃんは、囮である私の護衛らしかった。

紅珠様の為とはいえ、大切な民の命を危険にさらすわけにはいかないと、陛下直々の命だそうだ。

陛下の陰で暗躍する優秀な隠密さんらしい。本人が言うには・・・。

いつもニコニコ笑顔で私にいろいろと老師同様構ってくるけど、既に何度かお茶や食事に盛られていた毒を見つけて守ってくれたから、見た目とは違って本当に優秀なんだろうと思う。

 

こんな庶民にもちゃんと気を配って下さって、やっぱり狼陛下は怖いだけではなく、民思いの素晴らしい王様なんだなと少しほっとした。

かと言って陛下の顔を見ることは相変わらず怖くて・・・。

 

休憩を共にと四阿に呼ばれてもずっと口元を見て過ごした。

優しく囁かれる甘い言葉も、肩を寄せられた時の温もりも、全て仮初めの物ならば、顔を見ない方が逆に情もわかなくていい気がした。

 

陛下の方は、おそらく私が顔を見ていないことは気が付いているようだったけど、特に咎めるような事もなく。

寧ろ上手に私の視界に入らないですむように振る舞ってくれているようだった。

俯けば「初々しいことだ。」と甘く囁き、顔を背けると「君の見るもの全ては私であって欲しいものだ。」と腕の中に閉じ込められた。

 

一体どんな育ち方をしたらこんなに妃を甘やかすことが出来るようになるのかと感心する。

陛下の口で紡がれる妃への甘言は下町で耳にするそれのどれとも違っていて。

どこまでも甘く、底なしに紡がれる。

 

仕事だからと気を引き締めなければ、引きずり込まれて溺れてしまいそうだった。

 

そんな私の心中を知ってか知らずか、ほぼ毎日行われる妃教育の時間の中。

李順様は事あるごとに釘を刺してきた。

 

勘違いはするな、と。

 

あくまで演技のうちであること、を。

 

そして後宮のあちらこちらを掃除しながら、綺麗になっていく様を喜ぶ自分に気が付いてまた思う。

 

庶民丸出しの自分が何を想うと言うのだろう、と。

 

気を抜けば底なしの温かい泥沼に沈みこみそうな自分を見て見ぬ振りをした。

 

そうやって日々をどうにかやり過ごす中で少しずつ関係も変わってきて。

いつからか、陛下と共に過ごすときは侍女ではなく私がお茶を入れることが当たり前になった。

と言うのも、お茶に毒が入っていたことがあったため、侍女任せにせず自分で入れた方が安全だろうと言う李順様のお考えからだったのだけど。

宮中流のお茶の入れ方、作法から、お茶の種類、選び方、果ては毒が混入されているかどうかの確認の仕方まで、さすが李順様だわと感心せずにはいられない位、指導は細かく多岐にわたった。

自宅で適当に沸かしたお湯を入れ蒸らす時間も適当に飲んでいた時とは雲泥の差の事で、色々大変なんですねぇ、と言うと、これが普通です。と冷たく言われて冷や汗をかいた。

そんなこんなで、私がお茶を自分で入れていると聞きつけた陛下が、いちゃいちゃ演技の一環として妃の入れたお茶でなければ飲みたくない、などと言いだし今に至っていた。

美味しく入れられた時はお褒めの言葉と共に謝辞までいただくこともあった。

王様にお礼を言われるのも変な感じがして一度お断りをしたのだけど、やってもらったことが嬉しかったらお礼を言うのは当然だと言われ、それ以来、お言葉を頂くことにした。

 

お茶を飲んだ後一瞬だけど、雰囲気が和らぐのが嬉しいことは内緒にしておいた。

近くに居て感じたけど、朝早く後宮から出て行って、夜遅くにしか帰ってこない。

帰って来ても妃の部屋でずっと書簡と睨めっこをしていて雰囲気が和らぐことがない。

狼だからと言われてしまえばそれまでだったけど、ずっとこうなのかと思うとなんだか可哀想にも思えた。

私は仮初めで、本物ではないけれど、いつかこの人を癒してくれる人が来るといい。

いや、紅珠様が早く安心して此処に来れたらいいと思う。

此処が、陛下が気を抜くことが出来る場所になれるようお手伝いが出来ればと思う。

その為にも囮であることを頑張って、早く紅珠様を迎えられるようにしなければ。

 

胸の中にある小さな痛みに気が付かない振りをして決意を新たに日々を過ごした。

 

 

 

 

 

*********

 

 

 

 

 

「夕鈴!お久しぶりですわ!お元気にしてますの?」

 

こっちへ来て2週間ほどたった頃、紅珠様が『お妃様へのご機嫌伺い』と称して様子を見に来て下さった。

 

「はい!紅珠様!とても良くしていただいています。ご飯もとんでもなく美味しくて、まあいつも冷たいのは仕方ないんですが、お菓子も見たことのないものばかりですし、作ってみたくてうずうずしてしまいます。」

「ふふ、夕鈴はお料理上手ですものね。私も夕鈴のお料理が食べれなくなって寂しいですわ。」

「そんな、嬉しいお言葉を言っていただけて光栄です。でも、此方に居る間に腕が落ちないか心配なんです。お掃除だけはさせていただいてるのですが・・・。」

「え?お掃除されてるんですの?」

「はい。後宮は今まで使われていなかったせいか結構埃が溜まっているようだったので、李順様に頼んで時間のある時にさせていただいてるんです。」

「ふふ、夕鈴らしいわね。それで綺麗になって?」

「はい!とっても!って自分で言うのもなんですが。綺麗な装飾がされた机や棚なんか、もうぴっかぴかで気持ちいいです。紅珠様がいついらしても大丈夫なように頑張りますね!」

「ありがとう。頑張ってね、夕鈴。」

「任せてください!」

 

2人目を合わせて笑いあう。

やっぱり紅珠様はとても可愛らしいお方だなぁと思う。

陛下の御顔は見れてないけど、きっとお似合いの二人なんだろう。

 

久しぶりに見る彼女の愛らしい姿に癒されると同時に、自分の事を知っている女の子との気兼ねしなくてもいい会話が嬉しくて、気が付くと時間が随分と過ぎていた。

 

「紅珠様、そろそろ日も落ちてまいりましたし風も冷たくなってきました。」

「そうね、とても楽しかったけど、そろそろお暇しなければ。」

「ではお送りいたします。」

 

そう言って立ち上がった瞬間だった。

向かい合った紅珠様の目が見開かれ一点に注がれた。

一瞬にして瞳が潤みだし、頬が赤く染まったのが分かる。

両手は胸の前で握りしめられ、口元は何か言いたげにわずかに開いた。

背後からざっざっと聞きなれた足音が近づいてくる。

背中の方からすっと手が伸びて来て、反射的に目を閉じた。

 

「~~~~~~、?」

 

何も起きない・・・

そっと目を開けると、伸びてきた手は紅珠様の頬に優しく触れていた。

 

「久しぶりだな、紅珠。今日来るとは聞いていたが、時間が合わないから会えないと思っていた。随分話が盛り上がったようだな。」

「はい。夕鈴と久しぶりでしたので、色々お話することがあって、つい長居してしまいましたの。」

「ふっ、おかげで会うことが出来たのだな。夕鈴、礼を言うぞ。」

「あ、ありが、とうございます・・・。」

 

お礼を言われることでもない。

ただ紅珠様と過ごす時間が楽しかっただけで、決して陛下の為ではなかった。

そんな私の憂い気持ちなど関係ないように会話は続いていた。

 

「もう帰るのか?」

「そのつもりでしたが・・・。」

「せっかく会えたのだから、少し私に時間をくれぬか?」

「こ、紅珠様!私お茶をお入れさせていただきます。是非陛下と共に過ごされてください。」

「そう?折角だしそうしようかしら?黎翔様、お時間頂いてよろしいですか?」

「構わぬが、なんだ。彼女が勧めたから私と共に過ごす気になったのか?妬けるな。」

「ち、違います!そんな事あるわけないではないですか。私だって黎翔様と一緒に居たいです。」

 

居た堪れない____。

 

声色も甘ければ言っていることも甘い。

勿論態度も甘々だ。

私が陛下と演技をしている時、きっと侍女さんや近くにいる官吏の方々もこんな気持ちなのかもしれない。

 

いや、違う・・・。

 

きっとそれとは違う。

 

さっき、陛下の手が伸びてきたとき、私は完全に自分があの腕に囚われるか触れられるものだと思ってしまった。

それが当たり前になってしまっていたのだと、とっさにそう勘違いしてしまうほど陛下に慣らされてしまっている。

しかも仕事とはいえ自分はそれを甘受してしまっていた。

あの柔らかく優しく甘い檻に囚われることが当たり前になってしまっていた。

そこが自分の為の場所ではないとわかっていたはずなのに。

溺れないように気を付けていたはずだったのに、既に囚われていることに気が付いてしまった。

 

そう。これは嫉妬だ。

 

恥ずかしい。

顔も見たことのない相手に。

決して恋をしてはいけない相手に。

なのに言葉と温もりに囚われてしまった。

 

「そ、それでは、私は下がらせていただきますのでごゆっくりお過ごしくださいませ!」

 

お茶を入れるとすぐ逃げるように自室へ向かった。

何か後ろで紅珠様が言ったようだったが聞こえないふりをして一目散に逃げた。

 

兎に角、本物の夫婦になるであろう二人の幸せな空間に居ることが溜まらなかった。

 

 

 

 

**************

 

 

 

つづく

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コメント

確か昨晩は③まででしたよね。
このお話、こちらで読むと必ず続きが読みたくて某国に読みに行っちゃうんですよねぇ・・・。明け方まで読んでました。仕事なのに眠い・・・。尤も仕事をする気はないのですが・・・。
ますたぬ 様

はい!③まででした( ̄∀ ̄)
今朝ちょっと時間あったので、続きをあげてみました。
実は自分も読みたくて、あげられるときにあげようと思いましてϵ( 'Θ' )϶
明け方までありがとうございます!
大丈夫ですか?いや、もう、書き手冥利につきます。
嬉しい!!!
このコメントは管理人のみ閲覧できます
ボナ 様

うふふ。
それがね、うふふ←気持ち悪い
いや、もうネタバレになるので何も言いませんとも!!!←思わせぶり
泣くよりもニヨニヨすると思います(●´ω`●)

なるべく早めに持ってきますね!!!
続きまた読みたいけど転載待ってます〜(*^o^*)
前に読んでるけどドキドキしながら読ませてもらってます!
花愛 様

コメントありがとうございます(//∇//)
続き…ほんとに、ね。
実は私も読みふけってました←オイッ
ふけっている場合ではなく、転載しなきゃだしたね(OvO)
年末年始は旦那の目が厳しいのでちょっと難しいかもですが、なるべく!
書きたいのもあるし!!間に合うか?私!
転載がんばりますー╰(*´︶`*)╯♡

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