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柔らかく優しく甘く⑥

そして、こちらも!!

酷い陛下ですねぇ。

いっつも酷い陛下書いてますが、私、陛下大好きですから~(#^^#)←大事

 

では、いってらっしゃいませ!

 

 

 

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「妃よ、今戻った。」

 

女官の先導も、先触れもないままに陛下は夕鈴の居室に現れた。

 

夕刻、様子を見に来てくれた紅珠様とのお茶会をそろそろお開きにしようと思った時に四阿にやってきた陛下。

その陛下の紅珠様への接し方を見て、自分の心が陛下に囚われつつあることに気が付き、二人の様子を見ることが出来ずに逃げるように自分の部屋に帰ってきた。

あの時間から紅珠様と過ごされるのであれば今日はいらっしゃらないだろう。

その方が此方にとっても都合が良い、と夕餉も取らず早々に寝台に潜り込もうとしていた時・・・。

 

陛下はいつものようにやって来た。

いつものように、と言うには早い時間に。

 

「あ、も、申し訳ございません。出迎えが遅れまして・・・。お、帰り、なさい、ま、せ・・・。」

「ああ。夕餉も取らずに早々に休むからと侍女たちも下げてしまったと聞いたのでな。大事ないか?」

「は、い。御心配をおかけして申し訳ございません。少し疲れが出た気がしたので早めに休ませていただこうと・・・。陛下は遅くまで御政務に励まれていらっしゃるのに申し訳ないとは思ったのですが。」

 

後から追いついてき侍女さんたちの手前、偽りの夫婦演技をしなければならない自分の立場が辛かった。

それを知ってか知らずか陛下はいつも通り甘く囁いてくる。

 

「いや、気を遣うな。君を毎日疲れさせているのは私だからな。その分私は日々癒されている。」

 

なんてことをこの人はサラッと言ってくるのだろう。

いくら私が色恋に疎いとはいえ、房事を仄めかしていることぐらいはわかる。

現に顔を伏せて控えている侍女さんたちの頬が私に負けない位赤く染まっている。

 

「陛下のお役に立てているのでしたらこの疲れも嬉しいものですわ。」

 

日々の甘い言葉攻めで実際疲弊しているので嘘ではない。役に立って嬉しいのは陛下の為ではなく、あの愛らしく微笑む紅珠様の為だけど。

 

とそこまで考えて、ツキンと胸が少し痛んだ。

紅珠様の役に立ちたい。

青慎の為に高給であるこのバイトをすることに異議はない。

けれど・・・。

この幻に囚われそうになっている自分が辛い。

さっき、逃げるようにして四阿を去った後、遠くの回廊から二人が過ごしている方を眺めていた。

遠くからだったから、二人の表情は見えなかったけど。

そこから醸し出される雰囲気は紛れもなく王と王妃のそれだった。

高貴な者だけが持つ煌びやかで尊い、目には見えないもの。

2人が並んだ時にまざまざと見せつけられたそれに、そんな権利もないのに傷ついている自分がいた。

 

物思いに耽って俯いていると、陛下の足元が傍まで近づいていることに気が付いた。

と同時に手首を握られもう片方の手で腰を引き寄せられ腕の中に閉じ込められた。

訳が分からず目をまわしていると顎に指が添えられ上を向かせられる。

顔を見てはいけないと反射的に目をギュッとつぶると大きな溜息が聞こえた。

何かものものすごく怒らせてしまっている気がして怖くて身体が自然に震える。

離して欲しいのに、いつまでたっても顎を捕えたまま吐息のかかる距離に陛下がいることが感じられ、目を開けることも出来ずに腕に閉じ込められたまま固まってしまった。

 

「私は妃の瞳が見たいのだが・・・。」

 

いつもは私の視界になるべく顔が入らないよう考えてくれるようだったのに、その時は違っていた。

いつまでたっても話してくれず、食い入るような視線が外れる様子もない。

 

「わ、私には恐れ多くて・・・。陛下のこの温もりだけで十分でございます。」

「ほう・・・。そうか。では、もっと私を欲しがってもらえるよう頑張らねばなるまい。」

 

背筋がゾクっとするようなことを耳元で囁かれたと思った瞬間、腰をぐっと引き寄せられ、唇を生暖かく柔らかいものが覆った。

 

な、に・・・?

 

考える間もなく、その温もりは離れてはまた与えられ、また離れてはついばむように触れてくる。

 

ちょ、ちょっと、待って・・・。

まさか・・・。

 

自分の思考に心が付いていかず、苦しくて口を開けると生温かいものが隙間から入ってきて咥内を余すところなく蹂躙していく。

縦横無尽に腔内を貪ると夕鈴の舌に絡みついてきて吸い付かれる。

やっとのことで震える腕で胸を押し返すも彼の人にとってはなんの抵抗にも感じないようで咥内での動きが止むことも、後頭部を抑える手を緩めることもない。

その間にも歯列をなぞられ唇を啄まれ抵抗する意識をも奪われていく。

 

そのまま夕鈴の意識は闇に沈んだ_____。

 

 

 

 

 

************

 

 

 

 

 

気が付いたとき、夕鈴は後宮に与えられた自室の寝台の上だった。

窓から外を見やると空が白みかけていることに気が付き、早朝なのだろうと思った。

 

いつ寝たんだろう?記憶が曖昧だ。

眠り過ぎたのかなんだか身体が怠い。

 

昨日は確か紅珠様とお茶会をして・・・、そう、陛下がいらっしゃって。

ふふ、わたしったら、しても仕方のない嫉妬をしてしまったんだわ。

それで居た堪れなくて逃げて、早めに寝ようと・・・。

寝ようと・・・?

 

_____はっ!!!

 

お、思い出した!

寝ようとしたら陛下が来て、それで、なんだかわかんないけど・・・。

わかんないけど!!

多分、く、口付けされた・・・のよね?

何で?

えーっと、確か瞳が見たいとか言って。

じゃあ、あれは顔を見ない私への嫌がらせ?

口付けすれば驚いて目を開けるんじゃないかって?

はぁ?どういう事よ。

いくら王様だからって人の初めての口付けを奪うなんて許せない!!

ムカつく!酷い!!

 

でも、老師が言う後宮ってところはそういう所、なのよね?

陛下は王様で、王様が妃に何をしようが、寵を与えようが、たとえ見向きもしなかろうが、誰も何も文句は言えなくて。

王様が言う事が全てで、皆は寵を得るために必死になる。

私は偽物だから、それに当てはまらないけど。

私がこのことに関して文句を言うのはきっと良くないんじゃないか。

第一、目を閉じていて見ていないから想像の域を出ないし。

途中で気を失ったのか目を覚ましたのは寝台の上で一人きりだった。

って、途中って?途中って?何の?

 

もう、いや~~~~~!!!!!

 

か、考えるのは止めよう。

きっと気のせいだ。

あれは口付けなんてものではなく、きっとからかって何かを唇に当てたんだ。

口の中に入ってきたのも、きっと指かなんかに違いない。

そうだ。

庶民の子娘なんかに王様が口付けするわけはない。

大体、老師が言っていた。

王族は余程信頼していない限り、口付けはしないって。

毒を盛られたり、舌を噛み切られたらいけないからって。

わ、忘れよう。

忘れなきゃ演技なんてできそうにもない。

それにあの人は私が好きになってもいい人じゃない。

何があっても、何を言われても、何をされても。

兎に角心を奪われてはいけない相手だ。

それに紅珠様だって・・・いるもの。

いずれ正妃として此処に来られるあの可愛らしいお姫様。

彼女の為の囮である自分。

 

私は偽物。

陛下の言葉も態度も温もりも、全ては幻。

 

夜がすっかり明けるまで、自分に何度も言い聞かせた。

頬に流れ落ちる雫には気が付かない振りをして・・・。

 

 

 

 

 

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切ないよ・・・(>_<)

 

 

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