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柔らかく優しく甘く⑦

我慢のできない狼さんが大好きです!

 

いってらっしゃいませ! 

 

 

 

 

 

*************** 

 

 

 

 

あれから・・・。

 

気を失う様にして眠りについた翌日・・・。

 

「あら、お妃様。寵愛の印ですわ。素敵ですね。陛下のおっしゃられた通り、とても仲睦まじくいらして、私たちも嬉しいですわ。」

 

いつも支度を手伝ってくれている侍女さんがほぅっと頬を染め嬉しそうに一点を見つめていた。

 

「え?なにを・・・?」

 

鏡越しに彼女が見つめる先は首の付け根辺りで。

じっと見つめているそこに目をやると、ほんのりと赤くなっていた。

季節はまだ涼しいのに虫に刺されたのだろうか、と不思議に思っていると。

 

「あの後ゆっくりと過ごされたのですね?こうして印を刻むとは、陛下もお妃様の事を大事に想っているという事を皆に知らしているのですわ。昨日は紅珠様がいらして、その後お妃様が体調を崩されたことを私共も心配していたのです。陛下もきっとそうですわ。」

「む、虫刺されじゃないかと・・・。」

「いいえ!違いますわ!それは御寵愛の証でございます!見間違えるわけが御座いません!陛下はお妃様の事を大層大事にされているのでございますわ。」

 

瞳を潤せ頬を染め両手を胸の前で握りしめて恍惚と語られる。

 

_____つまり、陛下への悋気のあまり私が体調を崩し、陛下が私を気遣って跡を残した、とそういう事?

 

居た堪れない・・・。

と言うか、本当に口付けの跡なのか?

経験のない私にはわからないものの、妃として此処にいるのだから絶対違うと反論するのもおかしな話で。

 

「あ、ありがとう、御座い、ます・・・。」

 

よくわからないけど、侍女さん達の気遣いに感謝だけはした。

悋気を起こしたと言えばそうなので、心配をかけたなら悪いことをしたなと反省した。

偽物の妃が悋気を起こすなんておかしいのに。

侍女さんたちは私が偽物だとは知らないから。

ましてや私は後から来た者で、紅珠様の入宮はずっと前からの決まり事だ。

陛下のお嫁さんになることは、いや、王様にならなかったとしても、彼のお嫁さんになることは昔からの決定事項だ。

後宮に来るからには、皆寵愛を競う事は当たり前で、悋気がどうとかいう問題でもないだろう。

特に紅珠様は御正妃様になられるのだから、入宮してくる妃全てを統べなければならない。

悋気など御して生きていかなければならない世界だろうと思う。

やっぱり私にはよくわからない世界だな、と一人心の中で呟いた。

 

「今日の御支度は整いました。いかがですか?お妃様。」

 

1人思案の底に沈んでいると侍女さんに声を掛けられた。

 

「はい。今日もありがとうございます。」

 

李順様仕込みの妃演技用の優雅な笑みを浮かべお礼をいう事には慣れたけど。

 

 

 

 

 

いつもは一人で食べる朝餉、といっても給仕してくださる侍女さんたちに見守られながらの緊張する時間ではあったのだけど。

珍しく陛下から共にとの言付けがあり、気を取り直して侍女さんたちと準備をして待っていた。

 

「妃よ、おはよう。昨日はよく眠れたか?」

「はい、おはようございます。早々に床に就いてしまい碌にお相手も出来なくて申し訳ございませんでした。」

「いや、私がまた無理をさせてしまったからな。それよりも、もっと近くでその花のような笑顔を見せておくれ。」

 

朝っぱらから甘い狼陛下全開で手を伸ばしてきた陛下はあっさりと私を腕の中に捕えると、顎に指を掛け上を向かせる。

またか?と思いつつも、反射的に目を閉じると昨日感じたものと同じ感触が唇を辿る。

 

軽く触れ離れる。

 

「ふっ、そんなに目を閉じて、朝から私を誘っているのか?可愛いいことだ。」

 

背筋がゾクっとすると同時にまた唇を塞がれ舐められた。

 

「や、いや・・・。」

 

どうにか口にできた反論の言葉はとても小さなもので。

唇から熱が離れると、ギュッと抱きしめられながら耳元で囁かれる。

 

「ならば、私の目を見ろ。そうすればやめてやる。」

 

陛下の恐ろしく残酷な言葉もまた私にだけ聞こえるくらい小さなものだった。

 

それからはもうなんだか訳がわからない日々を過ごした。

 

陛下は政務の間に少しでも休憩が取れると私を呼び出した。

その度に腰を攫われ膝上に囲われては口付けを与えられた。

後宮の四阿だったり、私の居室だったりならまだ良かったけれど。

いや、良くはないんだけど。

時には王宮側の四阿だったこともあった。

まさか臣下のいる所ではと油断した私を嘲笑うかのように、更に甘く激しく施される口付けに気が付けば溺れそうになる自分がいた。

 

その度に耳元に落とされる声。

 

「早く私の顔を見つめておくれ。」

 

寂しそうに聞こえるのは私の耳が壊れているのか、心が勝手にそう聞こえて欲しいからなのか。

口付けた後に愛しそうに私の頬を辿る指先が心地よいと思ってしまうのは、もっと触れて欲しいと思ってしまうのは・・・。

離れていく熱を寂しく思ってしまうのは、縋りついてしまいたいと思うのは・・・。

 

顔を見てしまったら、きっと最後。

恋心は抑えられなくなってしまう。

今ですら甘い束縛と抱擁に溺れてしまいそうなのに。

 

でも・・・。

顔を見れば、もう口付けはされずに済む。

 

違う・・・。

口付けされなくなるのが、嫌、なんだ。

 

どっちをとっても自分にとっては困ったことになる。

顔を見れば口付けをされずに済む。

それは愛しいと思う人に嘘でも触れてもらえなくなるという事。

顔を見なければずっとこのまま口付けられるのだろう。

それはそれで気持ちが溢れ出してしまいそうだった。

いつかは帰らなければいけないのに、戻れなくなりそうな自分が嫌だった。

 

どっちに転んでも、自分は陛下が好きで仕方がなくなることに違いはなかった。

 

もう限界だった。

 

取り敢えず、ここを少し離れよう。

少し気持ちを落ち着かせれば、気のせいだったと思えるかもしれない。

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

 

「李順様!お願いがあります!!」

 

お妃教育の時間が終わり、皆で老師の部屋で軽い食事を楽しんでいた時。

夕鈴は思い切って休暇をお願いしてみた。

 

「弟も気がかりですし、少し、お休みを頂きたいんです!!」

「ああ、そういえば、貴女には官吏を目指す弟がいましたね。」

「そうなんです!この肉饅頭も弟の好物です!」

「りんりんちゃん、これうめぇよ。」

「ありがとう!!大ちゃんはいつもいい食べっぷりで嬉しいわ。」

「私にはちょっと塩っ辛いですがね。」

「掃除娘!年寄りにはもう少し優しい味付けにせんかい!」

「・・・姑、小姑。」

「何かおっしゃりましたか?休みを頂きたくなくなったと?」

「いえ!何でもありません!次はもう少し薄くします!!」

 

最初は掃除だけを空いている時間にやっていた夕鈴だったが、最近では戻った時に料理の腕が落ちていると困る、と言うのと、陛下に合わせると食事の時間が無くなると言う李順の為というのでお妃教育のある日は老師の部屋で軽く食べられる料理を作ることが常態化していた。

李順の時間が少しでも空けば妃教育がなされるので、ほぼ毎日といってよかった。

その為毎日共に軽食を取る中で気心も知れ、授業さえ終わってしまえば気の抜けるお気楽な会合でもあった。

と言っても食べ方一つとっても妃として食べる様に言われめんどくさいことではあったけど。

 

「ふむ。そうですね。囮として何件かもう役に立っていただいてますし、一度宿下がりとして休暇を取っていただいても構わないと思います。まぁ、一応妃なので、陛下の決済が必要ですが、問題ないでしょう。その間、紅珠様に来ていただけば、氾の顔も立つでしょうしね。」

 

居ない間に紅珠様が陛下をご訪問される・・・。

 

震える両手を握りしめて言った。

 

「ありがとうございます!休暇楽しみです!」

 

 

 

 

***************** 

 

 

 

つづく 

 

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コメント

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ボナ 様

あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!

コメントありがとうございます!本当に嬉しい!!!
夕鈴サイドが終わり次第、陛下サイドへ移行します。
早く書きたくてうずうずしていましたね。
夕鈴サイドだけだと酷い陛下ですものね( ̄∀ ̄)

でも陛下にも秘密があるんです(●´ω`●)
次のお話くらいで少し謎が解ける…かも?

更新頑張ります!
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楓 様

あけましておめでとうございます(o^^o)

亀更新で待たせていますが、楽しんで頂けているようで嬉しいです〜。
切ないけど甘い陛下が大好物なんです〜。
同じですね!

あれもこれも転載がんばりますね!
コメントありがとうございました!

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