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柔らかく優しく甘く ⑩

とんでもお久しぶりです!

放置してしまい申し訳ございません!

ちょっと、いろいろあって←

もう少ししたらわかると思うのでそれで許してくださいませ(>_<)

 

では久しぶりですが!

王宮に戻った夕鈴!!待ち受けるのはあの人です( *´艸`)

 

いってらっしゃいませ!

 

 

 

*************** 

 

 

「で?」

「え?」

「それさぁ・・・。」

「え?どれ?どっか汚れ残ってる?」

「いや、違くて。」

「は?何?私忙しいんだけど。」

「うん、そうだね。部屋は綺麗だよ。」

「もう!何なの?」

 

後宮に戻ってまたいつもの生活が始まった。

相変わらず陛下は甘くて、いや。

相変わらずなんてものじゃない気がする。

一度下町に戻って庶民の生活をしてきて、もしかしたら後宮に来る前の、陛下の優しい腕に囚われる前の私に戻ったのかもしれないけど。

以前にも増して陛下の睦言や態度は私を甘く縛りつけてくる気がする。

 

戻ってきた日なんて、妃衣装に着替え与えられている部屋に戻るや否や陛下がやって来た。

 

「やっと戻ったか。君のいない日々はまるで真冬の様に寒い毎日だった。」

 

とか何とか耳元で甘く囁いて来て、侍女の皆さんも下げてくれないし。

早速腰が砕けて、結局陛下の腕の中にまんまと囚われて、それで・・・。

そ、それ、で・・・。

侍女さんたちも、頭を垂れているとはいえ側に控えていたのに。

なのにまた口付けられて・・・。

侍女さんたちがいるから拒否できないのを見越しているのだろうけど。

唇が離れた時に拒絶する言葉を小さな声で言うので精一杯で。

 

「ふっ、や、やだ。」

「はぁ、君は私と離れていて寂しく思ってくれないのか?」

 

陛下から紡がれた言葉ははっきりと周りにも聞こえる様な言い方で。

私はどうしたらいいかわからず黙って俯いた。

 

すっと陛下の指が私の顎を捕え上を向かすと同時に腰を攫われ捕えられる。

すぐさままた唇を塞がれ甘くなぞられる。

息も絶え絶えになり朦朧としてきたところでやっと解放された。

 

「私は君が足りない。本当は政務などほったらかして君と過ごしたいのだがな。」

「は、はぁ、・・・。」

「ふっ、そんな顔をして私をこれ以上煽るな。」

「そ、そんな、こと・・・!」

「恥ずかしがらずとも良い。今宵、離れていた分も共に過ごそう。」

 

そう言うと私の濡れた唇を親指ですっとなぞって踵を返して出て行った。

 

相変わらず私に顔を見てもらう事に夢中のようで、ありとあらゆる嫌がらせのようなものは続いていた。

その最たるものが口付けというだけで。

以前にも増して共に過ごす時間を持とうと政務に精力的に取り組んでいるらしかった。

李順様にしたら、理由はわからないけど政務は捗るし、縁談除けにはなるしで一石二鳥だとかで。

私が陛下に口付けされていることは知らないようだったけど、我慢できるなら我慢しなさいと言われた。

我慢なんてする、しないではない。

嬉しく思うのは確かだった。

確かだったが、そこに感情がないのなら、ただ悲しいだけだった。

王様に対して何を想うのかと自嘲するものの。

初恋は叶わない、そう明玉も言ってたけど。

やっぱり初めての口付けは、想いが通じ合った相手が良かった。

好きな相手なだけマシなんだろうけど。

そこには何の感情もなく、まるでゲームの掛けの様に、手段の一つとして行われるそれに心がどんどん疲弊していくのを感じた。

 

心の平常を保つために、時間が開いたときはより一層後宮の立入禁止区域の掃除に夢中になった。

ここに来て本来の自分に戻る時だけが、安らげる時間だった。

 

 

 

 

 

「で、さあ、りんりんちゃん?」

 

物思いに耽っていると大ちゃんが隠密らしからぬほど大きな声で話しかけてきた。

 

「もう!何よ!!」

「それさぁ、どうしたの?」

「それって?」

「・・・。」

 

大ちゃんは黙ってじーっと一点を見つめている。

顔、じゃないわね。ん?

 

「あ。これ?」

「そう、それ。」

 

大ちゃんが指を指したのは髪に挿していた、翔から貰ったあの簪だった。

 

「これは~、そのね、貰ったの!」

「誰に?」

「誰だっていいでしょう?今は掃除婦なんだし、何つけてたっていいじゃない。」

「まぁそうだけどさ。」

 

納得できないと言う顔で此方をなおも見つめてくる。

と、ニヤッと口角を上げて笑顔になった。

 

「それ、好きな人にでも貰った?」

「い、え?あ?な、なんで?」

「こっちにいる時はいっつも付けてんじゃん?」

「あ、う、そう、ね。」

「そっかー、いい人いないなんて言って、いたんだぁ。」

 

ニヤニヤしながら顔を覗き込まれる。

くっそー、私きっと今ものすごく顔が赤いに違いない。

 

「仮にも妃に想い人が・・・。っぷ。」

「仮ですから!私の心は私の物です!」

「陛下が知ったら・・・。」

「陛下は関係ありません!!もう、あっち行ってよ!これから肉饅頭作るんだから!」

「お、久しぶり!オレの分もある?あるよね?」

「あんまり意地悪言うとないわよ?」

「言いません!言いません!下さい!!」

「じゃあもう行って!できたら呼ぶから顔出してよ。」

「はい、はい!」

 

浩大は窓枠を蹴って屋根に逃げる様に上るとニヤッと笑いながらも複雑に思った。

 

____あれ、へーかだよな。

____りんりんちゃんは気が付いてないみたいだったけど、へーかの印が彫られてたぞ。

____ふっ、何やってんだか。どうなるのかなぁ。

 

そういえば、臨時妃が休暇の間、陛下はよく行方不明になって李順が探し回っていた事を思い出しほくそ笑む。

これは楽しくなりそうだな、と。

 

 

 

 

 

*********

 

 

 

 

 

「大ちゃーん、こーだーい!!」

「はい、はい。そんな大声出さなくても聞こえるよ。」

「あら、それは悪かったわね。ほら。」

「うわ!すっごい湯気!出来立てじゃん。ウマそう!!いっただきまーす。」

「今日はね、ちょっとお野菜の配合を変えてみたのよ。どう?」

「ん、ほっ、あちっ、んむ、んむ・・・。」

「・・・。」

「うめぇ!なにこれ?今までで一番だよ。」

「本当?やったぁ!」

「もっとちょうだい。」

 

言うが早いか浩大は卓の上にまだ残っていた肉饅頭に手を伸ばした。

 

「ちょ、ちょっと!駄目よ!李順様の分なんだから。」

「ちょっとくらいいいじゃん。」

「駄目~。いつも陛下と共に政務をこなして、更に私の妃教育まで休む間もなく働いてるんだから。食事位はちゃんととってもらわないと。」

「少しくらい食べなくても平気だよ。」

「ちょ、ちょっと・・・。」

 

夕鈴の手が制する前に、当たり前だが浩大の隠密としての動きが勝り肉饅頭の大半を奪われてしまった。

 

「じゃあ、ごちそうさま~。」

 

夕鈴が呆然としている間にさっさと窓際まで逃走し颯爽と屋根の上まで逃げおおせてしまった。

 

「こんの~~~~~!!!!!」

 

下町で伊達にお転婆と呼ばれ、嫁ぎ遅れと言われてるわけじゃないのよ!

馬鹿にして~~~!!!くっそ~~~!!!

 

 

 

 

 

「ちょっと!こーだい-----。」

「へ?ちょ、待っ、りんりんちゃん、何し・・・。」

「何しにじゃないわよ!返しなさいよ!!」

「いや、もう食べちゃったし?」

「なにぅお?」

「いや、勇ましいにもほどがあるよ。一応女の子なんだし戻ろうよ。ね?」

「も、戻りたくてもどうやったら戻れるかわかんないわよ!」

「いや、普通上ってこないし・・・。」

「どうしてくれんのよ!」

「あっ、やばいよ。」

「何よ!」

「あちゃー、見つかった。」

「???」

 

肉饅頭を奪って屋根の上に逃げ出した浩大を追いかけて、半ば意地で上ったまでは良かった。

冷静になってみると思っていたよりも風は強いし、高いしで足がすくんで動けない。

浩大の声に振り返るととんでもなく黒い冷気を振りまいた陛下が地上から此方を見上げているのに気が付く。

麗しく黒い前髪の向こうは鋭く睨み付けているようで背筋に嫌な汗が伝う。

肩がビクッとなった瞬間、体勢を崩してしまった。

 

「っ~~~~。」

「っ、あっぶね~。セーフ~。」

 

視界が回る瞬間、浩大の手が伸びて来て引っ張られ浩大と共に屋根に転がった。

かろうじて落ちずに済んだ。

ホッとしたのも束の間、下から冷ややかな声が響いてきた。

 

「浩大・・・。」

「は、い・・・。」

「・・・。」

「あー、了解しました。老師の部屋に戻ります。ってことで、戻ろうぜ、りんりんちゃん。」

 

何かよくわからないけど、見たこともないくらい青ざめている大ちゃんは陛下と目で会話したのか老師の部屋に戻って陛下の訪れを待つことになった。

 

 

 

 

 

*********

 

 

 

 

 

「それにしてもあなたは!仮にも妃が!屋根に上る等・・・。私は何処から怒ればいいのかわかりませんよ。」

 

老師の部屋に戻ってしばらく、陛下が李順様と共にやって来た。

李順様もまた陛下同様黒いオーラを纏い、怒りの頂点と言った風体だ。

あまりもの怖さに目を逸らすと、その先では陛下がこちらに背を向けて大ちゃんを叱責しているらしかった。

いつもニコニコと隠密らしからぬ大ちゃんだけど、膝をつき冷や汗をかいているところを見るからに、彼にとっても陛下は相当怖い相手なのだろう。

 

「聞いてるんですか?夕鈴殿?」

「す、すみません・・・。」

「謝ってもやってしまったことは元には戻りませんよ!大体、なんで!どうして!!屋根になど上ったんですか?」

「えっと、それはですね。」

「・・・。」

 

煌めく眼鏡の奥の潜む瞳に睨み付けられ竦んでしまうが、これは、これだけは言わなければならない。

 

「だって・・・。」

「だって、なんですか?早く仰い!」

「は、はい!あの、肉饅頭・・・。」

「は?」

「李順様の分の肉饅頭、大ちゃんが持って行っちゃったんです。それで・・・。」

「・・・。」

 

眼鏡が一層光り輝き、殺気が一層鋭く空気を切り裂いた気がした。

 

「浩大?貴方・・・。」

「いや、ほら、オレ、うんと、美味しかったから・・・?」

「美味しかったら私の分も食べていいという道理が通るとでも?」

「ん~、っと、通らない、かな?」

「通りませんね。」

「だよね~。」

「だよね~、じゃありません!私の肉饅頭を、貴方!!」

 

さっきまで妃はお淑やかにとか色々説教していたその人が食い気で隠密を追いかけ回すその様はあまりもの光景で、目が点になりつつ事の成り行きを見守っていた。

 

散々追いかけ回したものの、結局捕まえきれずに李順様は諦めたようだ。

まぁ、大ちゃんはこれでも陛下直属の優秀さらしいので李順様といえども捕まったりはしないだろう。

 

それでも目を吊り上げて大ちゃんを睨み付け、息も絶え絶えに肉饅頭の行方を確認する。

 

「はっ、はっ、そ、れで、肉饅頭は、ないのですか?」

「・・・。」

「夕鈴殿?」

「え、はい、一つ、は残ってますが・・・。」

「じゃあそれを頂きますよ。」

「えっと、でも陛下もいらっしゃいますし・・・。」

「何言ってるんですか、貴女は。陛下に小娘が作ったものなど食させるわけがないでしょう。」

「で、ですよね・・・。」

 

そりゃそうだ。

陛下はこの国の贅を尽くした料理をいつでも好きなだけ食べられる立場だ。

とは言え、必ず毒見が入り、食べても問題ないと確認されたもののみ口にされる。

私なんかが作った物なんて恐れ多くて、確かにとんでもないことを口にしてしまった。

 

「じゃあ、頂ますよ。」

 

李順様が嬉しそうに只一つ卓に残っていた肉饅頭に手を伸ばした時だった。

 

「えー、僕の分ないの?ゆーりん。」

 

此処にいるはずのない、聞き覚えのある声が部屋に響いた。

 

 

 

 

****************

 

 

ええ、このシーンのこのセリフを書きたいがために書いたんですの( *´艸`)←アホ

 

 

一緒に楽しんで頂けたら光栄です!

 

 

 

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コメント

この饅頭の為に浩大を追い回す李順さん、なんだか可愛いですよね~(〃艸〃)♡
夕鈴の美味しいお饅頭、私も食べたいから気持ちはわかりますが(´∀`*)
ほっぺ 様

そう!この李順さんは陛下よりも夕鈴と仲良くしてる分多少おちゃらけてるんですよね。
大人な李順さんも好きですが、本当は年相応なところもあるんじゃないかと思います(#^^#)

わたしもゆーりんの饅頭食べたい!!

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